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モブサイコⅡOP制作秘話①
監督の立川譲です。
おおげさに秘話となってますが、制作メモみたいな物です。僕が元来忘れっぽいので、記録的な意味合いもあり文章としてntoeに公開する事にしました。近いうちに②も書きたいと思ってます。
コンセプト
今回は時間も無いのにやたらと「パワーダウンしたら嫌だなぁ」と悩みました。ほとんど無駄な時間でした、すみません笑 結果的に「超能力感の溢れる中毒映像」「びっくり箱」という前回のコンセプトは引き継ぎ、さらに「錯視」をコンセプトに追加することにしました。
ちなみにキービジュアルのテーマも錯視ですが、どこか別の機会でまとめておきたいと思っています。
ゾートロープ
冒頭を飾るのはアニメの原点でもあるゾートロープが良いかなと、すぐにこのカットが浮かんで来ました。 1番はじめに書き終えたのもこのカットです。
初めは手書きのつもりでしたが誰もやりたがらず(そりゃそうか)あえなく断念し、CGに変更。
でも結果的に良かったと思ってます。CGはチープめに発注、LEGO風なイメージを持ってましたが上がってきたのは初期バーチャファイターでした笑
久しぶりのローポリに無性に笑えたので採用し、現在の形になりました。ビルまで踊らせてくれたのはCGさんのアドリブです。ありがたや。
ちなみに本当に錯視で動いて見えるようにしたかったですが、アニメのフレームレート(24k)では難しいとの事で、30フレームで作業してもらうべきだったなと反省してます。まぁ、それでもかなり高度な計算が必要だと思うので実現可能かは分かりません。 ジブリ美術館みたく、誰か立体化してくれないかな~~
ルービックキューブ
普通にキャラ紹介するのも、モブサイコらしからぬと思って定番のおもちゃをモチーフにしました。
このカットでは一片を立体として描き、次のカットは平面に扱うことで錯視感に寄与すると思ったんですが、そもそも映像自体が平面だし、そういう意味での効果は無かったですね笑
何回まわせば、顔が切り替わるか条件を考えたんですが、それを守ると動きがかなり地味だったので、理屈よりは画の面白さを優先しています。10GAUGEさんありがとう~。
モブと霊幻の他に、律・テル・エクボも亀田くんが書いてくれました。コンテからも細部が色々変わっています。
スライドアニメーション
オプチカルアニメーションとも呼ばれたり色々名前はありますが、かなり昔からある技術ですね。子どもの絵本などにも使われているので、そこから着想を得ました。
このカットは実際に錯視のおかげで動いて見えるようになっています。
条件が揃わないと動いて見えないため、テストをしたところ9kサイクルでしか成立しない事が分かったので、バーの通過速度と合わせてタイミングがずらせない状態での作画となりました。
実際の処理は、動きの中割りをすべて表示し、シルエット化。それをバーをマスクにして抜く、みたいな事をやっています。 (意味不明かもしれません)
ドミノ
このOPで最もしんどいカットになりました。ドミノキャラ40体を3人の方、通過するオブジェクト、スピーカー風の感情爆発など複数のアニメーターに分けて発注しています。
ドミノだけでも1キャラ8枚で倒れるので、8×40=320枚ですね。うーん、カロリー高いですね。
キャラを作画で倒れていくようにしたいと言ったら、正気ですか?みたいな怒りの電話がきましたが、ゴリ押しで突き進みました笑 しれっとコンテに「2列に分かれたら止めをパース倒し」とか書いてますが、ありゃ嘘でしたね笑
作画のおかげで賑やかで豪華な感じになったと思います。
キャラごとに倒れる事に対するリアクションを入れています。良かったら細かく見てみて下さいね。
倒れる手前のキャラのせいで、一部作画が見えないのが残念ですが、ドミノを遅くすると音楽とのマッチングが微妙だったため、泣く泣くこのタイミングにしています。
奥で街が集まっているために、背景的にも細かい素材の分けが必要でした。作画・美術・撮影と様々なセクションにとって負担になったカットだと思います。
②に続く予定です