グライダーと飛行機

思考の整理学の話その4「不幸な逆説」の話。空を飛ぶ自分はグライダー型?飛行機型?

週末4週連続の「思考の整理学」の話。最近私は「私自身の思考はどのようになっているのか?」に興味あります。今回の話は「不幸な逆説」という小学校から始まる教育の話。

空を飛ぶ能力。グラインダーと飛行機

「飛ぶ」という視点で考える。

いまの学校教育はグライダー、風を受けて飛び、滑空する。
でもそんなに自由には飛べない。空を飛ぶならエンジンが付いた飛行機がいい。自由に空を飛びたい。

今の学校教育はグラインダー教育。
グライダーの能力を身につけられても、自由に空を飛ぶ飛行機能力は身につけられない。

でも不幸なのはグライダーを飛行機と誤解していること。

試験の答案にいい点をとると、飛翔力ありと早合点してしまう。
これが多くの混乱を招いているかしれない。

週末のお供の本「思考の整理学」

「不幸な逆説」

小学校へ入る子供は、まだ、勉強がよくわかっていない。ものを知りたい気持ちはあるけれども、どうしたら知識が得られるか、見当もつかない。
とにかく、先生に言われるように勉強しなさい、となる。ひっぱるものがあるから、動き出す。自分で動くのではない。受身だ。

本来の学習がそうであってはいけないのはわかり切っているけれども、制度としての学校ができてしまうと、各人の自発的な学習意欲を待っているわけには行かない。就学年齢がきまっている。そのときいっせいに学習への準備ができているはずはないけれども、ひっぱるのには、いっせいでないと不便だ。ひっぱられる方は、なぜ、ひっぱられているのかよくわからないままひっぱられる。このはじめの習慣は学校にいる間中ずっとついてまわる。強化されこそすれ、弱まることはない。そればかりか、社会へ出てからも、勉強とは、教える人がいて、読む本があるもの、と思い込んでいる。

思考の整理学「不幸な逆説」より

学校の優等生が社会で成功するとは限らない

学校はどうしても教師の言うことをよくきく生徒に好意をもつ。
勝手な方を向くのは欠陥あり、と決めつける。

さて、どうしたものか?
30年前から言われている問題。今も変わっていないのでは?

さて教育に関心がなかった時代の話

いわゆる学校のない時代でも教育は行なわれていた。
その当時は、学校教育教育を受けようとする側の心構えも違った。
なんとしても学問をしたいという積極性がなくては話にならない。
意欲のないものまでも教えるほど世の中が教育に関心をもっていなかったからである。

まず教えない、というか教えることすら拒む。

昔の塾や道場はどうしたか?
入門しても、すぐ教えない。
むしろ、教えるのを拒む。
これが実は学習意欲を高める役をする。あえて教え惜しみをする。
じらせておいてから、やっと教える。

すぐにすべてを教えない。

すぐにすべてを教え込まない。
なかなか教えない。
陰湿のようだが、それが教わる側のためになる。
それを経験で知っていた。

秘術は秘す

愛弟子にでも秘す。
弟子は教えてもらうことはあきらめて、なんとか師匠のもてるものを盗みとろうと考える。

ここが昔の教育のねらいである。

学ぼうとしているものに、惜気なく教えることはしない。

師匠の教えようとしないものを奪いとろうと心掛けた弟子は、いつのまにか、自分で新し い知識、情報を習得する力をもつようになっている。

これが大事

今の学校は教える側が、積極的すぎるから依存心を育ててしまう。

教える側が積極的で親切。
何が何でも教えてしまおうとする。

となると学習者は、ロさえあけていれば、欲しいものを口へ運んでもらえるといった依存心を育ててしまう。

学校だけではない。社会も同じ状態が溢れている。
「教えてる」と思っている時点で思考停止ではないか?

不幸な逆説

学校が熱心、知識を与える側が有能なほど、学習者を受身にしてしまう。
 すなわち本当の教育には失敗するという皮肉なことになる。

詰め込み教育への反省

詰め込み教育への反省がおこる。
が大事なのは、詰め込みがいけないのではない。

意欲をそぐ詰め込みが悪いのである。

はじめから意味を教える教育

いまの言葉の教育は、はじめから意味をおしつける。
疑問をいだく、つまり好奇心をはたらかせる前に教えてしまう。

意味だけではない、文章を書いた作者についても予め、こまごましたことを教えようとする。宮沢賢治はどういう信仰をもっていたか?を教えられる。

感想文の宿題。子供の感想を育てる教育ではなく、作者が、宿題を採点する先生が、何を考えているのか?を忖度する練習なのか?とは言いすぎだろうか?

私も小・中学生のときは本当に感想文が嫌いだった。
思ってもいないことを書かされていたから。
高校のとき「小論文の書き方」の類の本を読んで、書き方のフォーマットを覚え、そこに言葉をパズルの用にハメ込めば良いのか!と悟った以降、感想文や小論文の成績が良くなった。

空を飛ぶ、グライダー人材と飛行機人材

学校がどんどんグライダー人材を社会へ送り出すから、グライダー人材があふれる。飛行機はグライダーにとって迷惑な存在である。創造性がやかましく言われ出したのは、わずかながら、これではいけないという反省が生れつつあるのを物語っているとしてよかろう。ただ、まだ、本当の創造の方法はほとんど考えられていない。

さて、本が出版されてから30年。
相変わらず、グラインダー人材が多いのでは?と思うのは考えすぎだろうか?

「思考の整理学」noteシリーズ

自力で飛翔するためのヒントが詰まった「思考の整理学」

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