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自社の社会との関係を問い直す7つの質問。社会的課題解決と事業戦略の融合

「SDGs(持続可能な開発目標)」が新規事業やイノベーション界隈のビックワードに成っているように、多くの企業が「持続的に社会的責任を果たしていく」という切り口で事業を立ち上げようとしている。「社会的責任」その言葉を多様している。でも大事なのは興味でも思想でもなく、実際に行動に移すこと。「SDGs(持続可能な開発目標)」を流行りごとにしてはいけない。

本noteは「BCG 未来をつくる戦略思考: 勝つための50のアイデア」より示唆を得ているが、現在の日本の状況に合わせて独自の視点も入れていることを予めご了承していただきたい。

社会的取り組みに関わる3つの罠

多くの企業が
・企業の社会的責任
・企業責任
・持続可能性

これらの概念の曖昧さに悩んでいる。
事業面と社会的側面を統合することにより得られる優位性を構築できずにいる。

企業の中には3つの罠がある。

①財務偏重

「財務指標が健全=自社の事業が社会にプラスの価値をもたらしている」
と考えている企業。この思考は社会的リスクやチャンスに明確に対処することはできない。結果ビジネスモデルの持続可能性を徐々に弱らせてゆく。

②中核事業からの乖離

社会的課題に対しての世間の認知はあっても中核事業とつながりがないケース。あるいは、事業とは別のスタッフ部門により、根本的な事業戦略とは関係のない方針に基づき主導されている。

③不適切なインセンティブ

不適切なインセンティブ体系も、上記と同じく企業のビジネスモデルの持続可能性を徐々に弱らせてゆく。

企業と社会の持続的共存を図る戦略

大事なポイントは「自社の事業戦略と社会戦略をうまく整合させ、前述のような3つの罠を避けることが前提となる。

それには以下の3つのステップで整理をしていく。

第1のステップ
自社の事業のより広範な社会的背景を認識し、理解すること

第2のステップ
自社と各ステークホルダー間の価値フローを見極める。
ポジティブとネガティブのフローの両方を特定し、その量や程度を測定し、将来の状況を予測する。

第3のステップ
事業とその社会的背景の間の価値フローをうまく調和させ、最大化する統合戦略を策定する。

これを達成するための主な戦略は次の3つがあげられる。

①社会的永続性を高める

有形、無形含めて再生できない資源を守り育てること。
具体的には、
・自然資源の保護
・信頼のような社会的資源の維持・構築、ブランド

②倫理的プレミアムを得る

顧客の社会的価値や環境面の価値を見極め「未充足ニーズ」としてこれらの価値の実現に取り組み、こうしたニーズに対応するビジネスモデルを構築する。

③新市場を創造する

革新的な商品・サービスにより、社会的に置き去りにされていた消費者層のための新しい市場をつくる。

先進企業の取り組みの例

ゲーム業界も、若者たちの座ってばかりで非社交的なライフスタイルを助長しているという批判を浴びている。そんな否定的見方がある中で、任天堂はWiiFitを開発し、エクササイズやフィットネスを促進するという新たな価値を生み出した。WiiFitは、習慣的なフィットネスとゲームを組み合わせた商品で、同社のリーチは従来の若者市場をはるかに超えて、以前は
ほとんどゲームをしたことのないセグメントにまで広がった。

自社の社会との関係を問い直す7つの質問

①自社の現在のビジネスモデルによって、どれくらいの社会的コストと環境的コストが生じているだろうか

②誰がそれらのコストを負い、その結果どんなことが起こる可能性があるか。現在のビジネスモデルはどの程度、持続可能だろうか

③従業員、顧客、サプライヤー、規制当局の自社への信頼は、どのくらい構造的に堅固な水準にあるか

④自社の社会貢献は、中核事業のミッションや目的とどの程度統合されているか

⑤重要な資源を保護したり信頼を向上させたりするチャンスはどこにあるか。収益のとれる方法で顧客の社会的期待に応えるチャンスはどこにあるか。新たな社会的市場に取り組むチャンスはどこにあるか

⑥どんな障害がこれらのチャンスを妨げているのか。自社はどんな罠に陥る危険性があるか

⑦自社が業界エコシステム(生態系)を形成し、ソーシャル・アドバンテージを構築できる可能性があるのはどこか

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「BCG 未来をつくる戦略思考: 勝つための50のアイデア」のtipsを整理するnoteシリーズの目次

勝つための50のアイデアTipsシリーズまとめ|BCGアイデアTips

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