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LIFE IS A JOURNEY 〜僕の原体験の旅〜

クック諸島の暖かい風を浴びながら、ふと思い立ち書いています。
きっかけは2年前に四角大輔さんとTABIPPOが出版した「The Journey」という一冊の本。
まさに旅中の僕が今更ながらこの本を読んで、いろいろな「原体験の旅」の物語に感化され、自分のこれまでを旅を中心に振り返ってみようと思いました。

僕の「原体験の旅」
それは近所の冒険

今までの人生を思い返して思い当たる最初の旅は、小学生の頃放課後や週末に自転車で近所を探検していたことです。
友達との遊びの約束やサッカーの練習がない日、僕は自転車に身一つで家の近所を走っていました。

遊んでくれる友達に会えないかと友達の家の前を通るルートを自分で考えて、途中知らない道があったら入ってみたりして、範囲はそんなに広くないものの一時間くらい一人で小さな冒険を楽しんでいたのを覚えています。
今思えばあの時の好奇心と刺激が今の僕の原点になっているんだなと思います。

何の変哲も無い少年時代
見えていたのはたった一本の道

今ではふらふらしている(ように見える?)僕も近所の公立小学校、公立中学校、そして近くの公立進学校へと通い毎日サッカー漬けの日々を送る何の変哲も無い少年でした。
そして周りと同じように大学受験をし、一浪を経て京都大学へと進学します。
入った学部は理学部。当然のように学部に4年通って院まで進み、そしてどこかの会社に就職するんだろうなと思っていました。
僕の目にはその一本の道しか見えていなかったんです。

始まった大学生活
最初に下した大きな決断

大学に入った僕はまず部活・サークルの新歓の嵐に巻き込まれます。
ずっとやってきたサッカーを続けるかなあと思っていた僕は、いくつかサッカーサークルをまわってみたもののここだと思えるチームがなく、全く体育会に入るつもりなんてなかったのに、新歓の時期しかできないスポーツもしてみたいなという軽い気持ちで行ったボート部に気づいたら入部していました。
そんな風に言うと何も考えずに入部したように思われるかもしれませんが、この時僕は一つの大きな決断をしていました。

僕は小学生の頃から見ていたテレビ番組をきっかけにいつか日本を旅してまわりたいと思っていました。しかし、部活に明け暮れる中学高校時代にはそんなことをする暇もお金も気持ちの余裕もありませんでした。
大学に入って今まで以上の自由と時間を得て、旅するなら大学にいるうちだなと考えていました。

しかし、ボート部での生活は大学4年間を毎日の練習と週5日の琵琶湖生活に捧げるものでした。
ボート部に入部するということはすなわち旅をするという夢を諦めるということを意味していました。
僕は何度も先輩と話し、ボート部の魅力を聞き、本気で日本一を目指している先輩たちの姿を見て、何度も何度も考えた結果、旅を諦めボート部の一員として一緒に日本一を目指すことを決めたのです。

自分の心に向き合った
二度目の決断

そこから始まった僕のボート部生活は厳しい練習と眠さと戦いながら受ける講義のとても充実した毎日でした。
仲間たちと同じ目標を目指し切磋琢磨する生活はそれまでずっと体育会でやってきた僕にとってとても楽しいものでした。
そんな僕に転機が訪れたのは一回生の冬でした。

秋に開催の一回生が主役のレースを終えそれまで一回生だけでしていた練習を上回生に混ざってするようになり、そのタイミングで辞める同期がいたり、段々と厳しさを増す寒さに耐えながら4ヶ月以上先のシーズンに向けてひたすらトレーニングに打ち込む毎日に、モチベーションが下がっていた時期。
そんな僕の心の隙にちらつくものがありました。
それは一度は完全に諦めたはずの旅への欲求でした。

一度現れたそれは消えることはなく次第に大きくなるばかり。
このまま残りの大学生活をこの生活に捧げていいのか。
本当に僕がしたいのは、本当に僕が求めているものは、一体何なのか。
ぐるぐるぐるぐる考える日々。
そんな時にTwitterで呟いた

「やっぱり日本一周したいな」

それに反応した友達がいました。

「しようぜ」

そのあとその友達に直接会って話した時に僕は決断しました。

僕はボート部を辞めて日本一周する。

僕の人生を狂わせたのは
旅先で出会ったたくさんの人生

実際にボート部を辞めたのは二回生の6月末。そこから旅に出るまでの1ヶ月はあっという間に過ぎました。
その時の僕は免許を持っていなかったし、歩いたり電車を使ったりという考えもなく、小さい頃から好きだった自転車で旅をするというのがごく自然な選択でした。
荷物を準備し、自転車をカスタマイズし、ルートを考え、行きたい場所をチェックし最初の宿だけ決めて行く。
そうして始まった自転車での日本一周は、二回生の夏休み56日間(8,9月)と翌年の春休み56日間(2,3月)の計112日間になりました。

僕がこの旅で大事にしていたのは三つの出会いでした。
「景色との出会い」「美味しいものとの出会い」「人との出会い」
この中でも「人との出会い」が僕にたくさんのことを教え、気づかせてくれました。
宿で会った人、同じ場所で野宿した人、居酒屋で会った人、道端で声をかけてくれた人・・・
いろんな人と話し、いろんな人の人生を聞くことで、自分の中に新しい道が次々と見えてきました。

中卒で働いている人、高卒で働いている人、仕事を辞めて旅をしている人、定年退職して旅をしている人、台湾と日本を自転車で旅している72歳のおばあちゃん(見かけたときは「は、まじかよ」って思った、てか多分声に出てた)、とかあげればきりがなくて出会った数だけ今まで考えもしなかった人生を知れて、それまで僕の前に一本しかなかった道が分岐して広がって、たくさんの道となって目の前に現れ始めたんです。

そうして4ヶ月の旅を終えてたどり着いた一つの答え。それは、

「人生の豊かさは、選択肢の数に比例する」

というものでした。選択肢というのは自分の目の前に広がる道のことです。
それは絶対に選ばないであろう道でもいいと僕は思っています。
ただ自分事のように考えられるかどうか、考えた上で選ばないという決断を自分で下せるかどうかが大事だと思います。
自分でその決断を下した上で今の道を進んでいると思えることが、その人生を自分のものにし、豊かなものにすると思うんです。

中卒で働くっていう道もあったんだな(まあ選ばなかったけど)、高卒で働くこともできたんだな(もう遅いけど)、大学中退することもできるんだな(しないけど)、先生になるっていうのもありか(なりたいとは思わないけど)、医者にだってなれるな(なりたいとは思わないけど)、就職しても辞めることができるんだな、就職しなくても生きてはいけるな、地域おこし協力隊っていうのがあるのか、ワーホリっていうのがあるのか、ゲストハウスやったら楽しそうだな、、、

こうして選択肢が増えれば、同じ道を選んだとしても、一本しかないからその道を進むのか、たくさんの中から選択して進むのかで人生の豊かさが変わってくるなと思えたのです。そして一番重要なのはその道を自分で選んでいるという感覚です。

それを教えてくれたのは「人との出会い」であり、そのきっかけをくれたのが旅でした。

「やりたいから」が理由でいい
意味はあるものじゃなくて見つけるもの

今の僕がたどり着いている答えがもう一つあります。それは、

「意味はいつでも後付け」

ということです。人は何かをしたり、始めたりするときに、それをすることにどんな意味があるのかを考えてから行動しがちですが、意味なんてやってから気づく事の方が多いし、そうやって見つけたものの方が大事だったりします。やる前に見える意味なんて大抵陳腐なものです。

これをしてもどんな意味があるかわからない、だからしない。というのはとてももったいないと思います。
やりたいならやればいい。それをする意味が見つからなかったって、やる理由なんて「やりたいから」で十分です。
やった後、すぐか、一ヶ月後か、一年後か、十年後かわかりませんが、きっとあの時やったことにはこんな意味があったんだなと思える日が来ます。

日本一周だってやる意味があるからやったわけじゃない。ただやりたかったからやっただけです。
4年経った今になって新しく見つける日本一周をした意味もあったりします。
振り返る時期によって意味が変わったりします。
でもそうやってやり終えてから見つけてきた意味が今の僕を形作っているんです。

もうすぐ僕は一年間のNZワーホリを終えようとしています。
ワーホリに出た唯一の目的は「日本じゃない国で生活する」こと。
それを終えた先にどんな意味が見つかるかなんて見当もつきませんでした。

でも実際にやってみたいま見えてきた意味が確かにあります。
海外でも生きていけることを知れた。
海外に移住するという選択肢(道)が新しく自分の中に生まれた。
外から日本という国を見れた。
よりコーヒー文化やカフェに興味を持てた。
英語へのハードルが下がった。
自分の英語レベルを知れた。
中国語に興味を持てた。
などなど。

考えれば結構出てきます。
そしてそれらはやる前には見えなかったことばかりです。
まさかNZに来て中国語を勉強するとは思わないでしょ。笑

そして一年後にはまた違った意味が見つかることだと思います。

旅で人生が変わるわけじゃない
変えるのはいつも自分だ

旅が人生を変えてくれる。そんな受け身な考えじゃ人生なんて変わりません。
旅はただきっかけを与えてくれるだけです。
自分の人生を変えられるのは親でも友達でも旅でもなく、他ならぬ自分だけです。
それに気づかせてくれるのが旅です。

旅に出てみて、受け身じゃ何も変わらないと知って、自分から動いてみて、だんだん自分の人生も動き始めて、最終的に自分で自分の人生を変えた。っていう一連の流れの「旅で人生は変わる」だと思います。

日本一周の前と後で僕の人生は大きく変わったと思います。
が、僕の人生を変えたのは日本一周ではなく僕自身です。
日本一周は僕にきっかけを与えてくれたに過ぎません。
僕の選択肢を増やし、その中からより良いなと思える道を見つけたから自分で方向転換した。

そう考えると、人生を生かされているのではなくて、自分で自分の人生を生きているんだなって思えてなんか楽しくなるんですよね。

回り道をしたっていい
Life is a Journey

自分の軸や大きな目標を見失わなければ多少の回り道はしたっていいと思います。
北に行きたいなら、まっすぐ真北に進まなくとも、北の方に向かっていればよし。
そんな風に生きていけたらいいなと。

二年間休学したのも、ワーホリに来たのも、ゴールではなくただの手段であり回り道です。
でもこれからの自分にとって意味のあるものになったなという確信があります。
新しく得られた知識があって、新しく知れた自分がいて、新しくできた繋がりがあります。
間違いなくこれからの人生にプラスに働いてくれるでしょう。

今の僕が目指している目標の一つは「たくさんの人生に出会える場」を作ること。
僕が旅を通してたくさんの人と出会い、人生の選択肢を増やしていったように、旅行者も地元の人も、子供からお年寄りまで老若男女が集える空間を作り、そこで今まで知らなかったような人生に出会い、新しいつながりや創造が生まれ、人生が豊かになるような場所を作りたい。
それを実現する一つの手段として僕は宿というハコを持てたらいいなと考えています。
実現するのはまだ先のことになると思いますが、その目標を失わずに回り道もしながらこれからも自分が選んだ道を進んでいきます。

ワーホリを終えた後は来年の3月に卒業するまでの時間の大半を旅にあてる予定です。
それも行く意味があるからではなく行きたいから行くだけです。

4月以降のことは未だに全くの白紙ですが、そろそろ一旦働きたいなという気持ちがあるので、そういう道を探っていこうとしているところです。

今日はどこに泊まって、明日はどこに向かって、ここではこれをするって考えたり、急遽予定を変更してみたり、突然のハプニングに見舞われたりする旅のように、自分の人生も楽しんでいけたらいいなと思います。

まさに「Life is a Journey」

いつまでもワクワクする人生がいいですね。


アイキャッチ画像:Rarotonga, Cook Islands 2018.8.27.


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