29歳のクリスマス【感想】

胸にグッときた。
今は廃れかけてる女気(男気もあれば女気もあってもいいと思う)がめちゃくちゃ詰まってた。
マウンティング?っどーーーでもいいね!って思った。

良いドラマには捨てキャラがいない。
全ての脇役に、カメラには映らないドラマが見える。
これもそんなドラマだった。
主役は3人だけど、それぞれが良いとこばっかじゃない。
やなやつも出てくるけど、嫌な部分だけじゃない。
それって結構すごいことだと思う。
だって、主人公以外のやなやつは、「やなやつ」のレッテルをはっつけてトラブルメーカーであればそれでいいんだから。
その方が制作側にも視聴者側にも都合がいいし、簡単だ。

いろんな人生があって、いろんな人がいる。
それで、いいじゃないか。

ひとことで表せばそんな感じ。
でも、それをドラマで表すってすごく難しい。

主人公の典子はバリバリ働くキャリアウーマン。
でもクリスマスの日に彼氏が浮気していることを知り、会社でも左遷され、
踏んだり蹴ったりなところからこのドラマは始まる。
友人の彩は不倫中。
もう一人の友人けんちゃんは同級生とはだいぶ差をつけられた職場に勤め、パッとしない自分に憤りを感じている。

しかしひとたび3人が集まると、そこは笑いに満ち溢れる。
くだらないことや、愚痴、恋愛話なんかをしながらぐだぐだこたつで飲んで食べる。
それぞれの寂しさを抱えながら。

あぁ、これこそ人生だと。
いやなこと、辛いこと、さみしいこと、腹立たしいこと、くやしいこと、
そんなんをぜーんぶ忘れられる一瞬のために、人は生きてる。
むしろその瞬間を美味しく味わうためのスパイスに過ぎないのだ。
そうして、いろんな味付けをされた、いろんな味の人生を美味しく味わえばいい。
酸いも甘いも、辛いも、苦いも、うまみも全部ぶちこんで私だけの味が出る。

あたしには酸っぱさしかない。
おれには苦味しかない。

そう思ってる人は、結局その味が好きなんだよ。
その味が好きで好きで、浸っていたいんだよ。
悲劇のヒロインが大好物なの。
みんないっぱい酸っぱい思いも苦い思いもしてきてるの。
だけど無理やり前向いて、その中にもなんとか甘味やうまみを見つけて自分を奮い立たせてるの。

酸っぱいだけのやつ、苦いだけのやつは往々にして自分の味しか信じてない。
人にどれほどの苦みがあるのか、理解しようともしない。
その人がどうにかこうにか作りだした甘味やうまみの方ばかりをうらやんで、
自分からそれを作り出そうともしない。
人の幸せに敏感な人は、自分の幸せに鈍感だ。

このドラマのオープニングにマライアの曲と共に流れているモノクロのいろんな女子たちを写した写真。
毎回ちがうんですよね。
普通にめんどっちーから毎回飛ばしてたけど、
最後、エンディングにそれが急にカラーになるんですよ。
それがもう秀逸で。
そもそもこのドラマを最後まで観た後にオープニングを観るとかなり違った見方ができると思うんですが、
それがカラーというね。
エンディングのいろんな女の子の写真を見てるだけで本当に泣けてくるんですよね。
色んな意味が込められていると思います。
今よりもっと女性が生きにくい時代だっただろうから、女の子へのエールもこもってるだろうし、
一人一人がこんなにも一生懸命光ってるんだよ、という意味もあるだろうし。

なんか最近心がくさくさしてたので、ものすごい心洗われました。
なんか、人生がんばろ!と思った。

次は北の国からを観ま~す(←もう何回目かわからんくらい観てる)

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