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認知症患者からお金をもらう

父には愛人がいて、私の知る限りで20年近く続いている。とは言え、相手と会うことはないし、何かしてくれることもない。反対に彼女は毎月のようにお金を無心し、父は自分の意志で送金している。

家庭不和の大きな要因なのは疑いないので腹立たしく、止めたこともあったが怒らせるだけだった。

けれど今は認知症で預金残高の把握ができないし、医療費を払うのすらギリギリでも、お金が足りない理由が理解できない。
彼女も父が認知症だとわかっていながら催促を続けていて、父の口座にお金が入る日には携帯に矢のような催促がくるほどだ。額も安くなくて、総額では家が買えてしまう。

父の財産を守るため法律に頼ろうと調べたが、これがまた難しい。正攻法でいくならば成年後見制度を利用して本人以外がお金を管理し、以後の送金は返還請求すれば良いとなる。
けれど肉親でない第三者が後見人となった場合は生活が煩雑になるし、成年後見・補佐となった場合は資格制限によって地位を失ってしまう。補助であれば制限はないけれど、3種のいずれとなるかは選べないと権利擁護センターから教わった。

であれば詐欺や窃盗で訴えられないかとなるけれど、表面上の仲を壊してまでやることかという心情・倫理的なところと、本人の意志で送金した場合は贈与にあたり、貸し借りでなければ返済の義務はない。贈与額によって贈与税を国から請求させることぐらいしかできないのだ。

法に頼らず、私がお金の管理を申し出ても一蹴されるだけだ。持ち歩く現金を少なくしてほしいという要望にも応えてくれないのだから。

私が彼女に直接話をすれば解決するかもしれないが、父と私の関係が壊れてしまう。送金を止めるよう父を説得できる時もあるが、元々目的のためなら人を欺くところがあるし、認知症のため忘れてしまう。そして彼女からの頻繁な電話の前には無力だ。

父方の、相手方の説得に障害があり、法に頼れば地位を失い生活が壊れる。その地位にふさわしくないのだから仕方が無いと割り切るには、相手方のやり得で納得がいかない。

彼女に良心はないのかと想像を働かせても、事情があるのかもしれないし、向こう側に男性がいるのかもしれないし、憶測ではわからない。
ただ、亡くなった妹は「お父さんは騙されている」と、20年前から私に訴えていた。解決しなければいけない時期なのかも知れない。


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