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平均有効圧の上限は何で決まるのか?

 ガソリンエンジンの大敵はノッキングで、酷いとピストンやシリンダボア内面が溶けて、焼き付いたり穴が開いたり、エンジンが大破します。筒内圧や筒内温度が上がると、ノッキングが起きますので、これで最高筒内圧の上限すなわち平均有効圧の上限が決まります。
 排気や燃費を気にしなかった時代は、ノッキングを防ぎつつ平均有効圧を上げるために、高負荷時には過濃混合気とし、ガソリンの気化潜熱で筒内を冷やしていて、兼坂弘さんはそれをガソリン冷却と呼んでいました。
 今は排気浄化のため全域ストイキ(ストイキオメトリー)すなわち理論混合比で燃焼させているので、過濃混合気はありえませんが、キャブレターから筒内噴射に進化したため、それによる冷却効果はあって、それで圧縮比が9から10~11へと上がっています。圧縮比を上げたのは、平均有効圧だけではなく燃費を取りたかったからです。このあたりには時代の要求が絡んできます。
 そして全域ストイキのため、体積効率も平均有効圧の上限を決める要素となっています。
 無過給ディーゼルエンジンは、燃焼の原理上スモーク(黒煙)が出てしまうので、その量で燃料噴射量の上限が決まり、すなわち平均有効圧の上限が決まります。昔のディーゼルエンジンが黒い煙を吐いていたのは、このへんの兼ね合いだったのです。
 過給ディーゼルエンジンでは、空気が豊富にあるので、スモークはあまり出ません。今どきのトラックやバスの後についても、黒い煙に気づかないでしょう?
 そのため構造部品の強度から最高筒内圧すなわち平均有効圧の上限が決まります。

まとめ
 ガソリンエンジン
  ノッキング
  体積効率
 無過給ディーゼルエンジン
  スモークリミット
 過給ディーゼルエンジン
  最高筒内圧すなわち構造部品の強度

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