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催眠誘導のメカニズム

191202_神経科学モデル

 催眠状態とは簡単に言うと、意識レベルの低下した状態ですが、もう少し詳しく言うと、大脳新皮質が全体的に休んだ状態です。
 体の各器官からの信号のうち嗅覚以外はすべて脳幹を通ります。そして脳幹の脳幹網様体賦活系は、この信号は新皮質のここへ、その信号は新皮質のそこへと振り分けます。信号の来ない新皮質の個所はお休みします。
 ですから各器官の信号レベルを下げ、新皮質の大部分を休ませると、催眠状態となります。
 信号が来なくても新皮質が休まないと、常に新皮質全体が働いているため新皮質の発熱量が、血液で冷やしきれないほどになってしまいます。すると脳全体の温度が上がりすぎ、蛋白質が変性して、脳が機能しなくなり、人は死んでしまいます。
 催眠状態では新皮質が休んで、大脳辺縁系と脳幹のみが機能しているため意識レベルが下がり、暗示が無意識に入っていきます。
 各器官の信号レベルを下げる方法の一つに、感覚遮断があります。アイソレーションタンクに入ることで、催眠状態となり、人によっては幻覚が生じることもあります。
 通常の催眠では、先ず目を閉じさせ視覚による信号を減らし、さらに暗示により各器官からの信号を減らします。
 凝視法の場合は、一点を凝視させることで、視覚野のみに信号を伝え、他の新皮質を休ませます。次いで暗示を言い、目を閉じさせ視覚野も休ませます。
 このように脳の生理現象を用いるのが、古典催眠と言うことです。

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