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【自動車工学】インタークーラ

 面白いページを見つけました。第二次世界大戦時のアメリカ陸軍戦闘機P47のターボやインタークーラを含めた吸排気系が良く分かります。

 自動車だとエンジン本体とターボは近接させますが、P47ではエンジンから7~8mも離れたところにターボがあります。自動車はエンジン回転数や負荷変動が激しいですが、飛行機は左程でもないから許されるレイアウトなんでしょうね。
 インタークーラはターボと同時に、アメリカが最初に実用化し、アメリカ陸軍機に採用しました。上記のP47にP38、B17、B29ですね。
 そしてインタークーラには空冷と水冷がありますが、飛行機では空冷、船舶では水冷が使われ、自動車は空冷から始まりました。それは水冷がエンジン水温程度(60~70℃)なのに対し、空冷は大気温(20~30℃)なので、空冷のほうが、吸気が冷えるからです。
 それでも今では、自動車でも水冷インタークーラが主流になりつつあります。これは過渡特性を気にし出したからです。
 自動車をリアルワールドで走らせると、燃費も排ガスも予想値よりも悪くなります。これは予想のベースが定常状態での計算値ないしは実験値だからです。つまり過渡状態では、定常値よりも値が悪くなるのです。
 主因はターボ応答遅れと空冷インタークーラ応答遅れです。動的部品がない空冷インタークーラで応答遅れがあるのか? これを冷却系統の概略図で説明しますね。

 時速40kmで平坦路を走っているとします。エンジン回転数は1200rpmくらいです。そして急坂に差し掛かったので、アクセルをベタ踏みします。燃料の噴射量が増え、エンジン回転数は上がりだします。でも急坂を登るためにシフトダウンしているので、車速は40km/hのままです。
 しばらくするとターボの回転数も上がり(最初の毎分1万回転くらいから毎分8万回転くらいになる)吸気量も増えてきます。当然この吸気は、空冷インタークーラで50℃くらいに冷えていないといけないのですが、車速は相変わらず40km/hなので、風速風量が足りません。
 しかも水の比熱が高いせいで、水温はまだ上がっていないので、電動ファンも回っていません。
 つまり過渡的には、空冷インタークーラでは吸気が冷やせないということなのです。これが空冷インタークーラ応答遅れです。
 水冷インタークーラですと、水の比熱が高いので水温変動が少なく、吸気を常に冷やすことができるので、過渡時でも定常に近い性能になるのです。

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