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【自動車】出力かトルクか(続き)

 クルマにおいては、トルクは加速、出力は車速維持と昨日話しました。これは厳密ではありませんが、実用上はこの考えで問題ありません。
 なおトルクと出力は、下式のように回転数により関連付けられます。

191008_出力とトルク換算式

 エンジンにおいては出力でしょうか? それともトルクでしょうか? この問題を複雑にするのはトランスミッション(以下ミッション)です。
 エンジン単独では回転数のレンジ(幅)が狭くて、車速に対応できないので、ミッションを使います。

タイヤ回転数=エンジン回転数÷ミッション変速比÷ファイナルギヤ比

 昔のアメ車のように、大排気量(7リットルとか)で回転レンジの狭いエンジンの場合には、変速比レンジの広いミッションを使います。するとエンジンの回転レンジが狭いので、トルクだけ考えておけば、実用上は問題ありません。
 欧州車や国産車のように、排気量が小さく(2リットルとか)トルクは小さいが、回転数で出力を稼ぐエンジンの場合には、ミッション変速比やファイナルギヤ比を大きくして、タイヤでのトルクを大きくします。
 結局のところ、ミッションとファイナルを上手く設定すれば、エンジン単独では出力重視でも、トルク重視でもどちらでも良いということです。ただしMTの場合には極低速トルクはある程度大きいほうが、運転はしやすいです。例えば発進時のクラッチミートがラフでもエンストしないですし、渋滞でも3速固定で運転できます。
 これはプロにしか知られていませんが、特にMT、AMT、DCTで結構重要なのは出力点以降の回転の伸びです。ノーロードマックス回転数が高いほど、ギヤ段間のつながりがよくなります。
 CVTには段間がないですし、ATではトルコンが段間をつなぐので、関係ないですけどね。

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