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【自動車工学】燃費向上策

 出力計算エクセルシートを使って、圧縮比、過給圧力比、冷却損失、機械損失(摩擦損失)だけを変化させた場合の、燃費率に及ぼす影響を観てみました。

 圧縮比を上げるのが、燃費率低減に一番効果があります。ガソリンの場合はノッキングが課題で、マツダSKYACTIV-Xの圧縮比16.3、日産可変圧縮比の14あたりがトップレベルです。
 ディーゼルは排気(特にNOx)との兼ね合いです。NOxを下げるため、圧縮比15~16程度と低いものもありますが、後処理をSCRとしてしまえば、圧縮比を上げて燃費に振って、圧縮比20くらいにする傾向です。
 なおパワーボートとか戦車のディーゼルでは、圧縮比10くらいと低くして筒内圧を上げすぎないようにしています。始動(特に低温時)がとても大変です。

 過給圧力比だけを上げても燃費率が良くなるのは、相対的に機械損失(摩擦損失)が減るからです。
 過給率を上げるといっても、乗用車クラスのターボは効率が悪いので、排圧が上がってしまい、燃費率が左程良くなりません。そのため高過給エンジンでは、2段過給やツインエントリーターボ(ツインスクロールターボとも言う)にする等の工夫が見られます。

 冷却損失は減らせれば良いのですが、なかなか難しいです。35年くらい前にセラミックエンジンが各国のエンジン会社、自動車会社で流行りましたが全滅しました。圧縮時の筒内温度が上がりすぎて、上手く燃焼しなくて、それで燃費が良くならなかったのです。
 実際のところ、小ボア&ロングストローク程度しかないです。ただピストン頂面、シリンダヘッド下面、吸排気弁下面に軽遮熱する方法は残っていますね。

 機械損失(摩擦損失)低減に関しては、トヨタがピストンで、日産がシリンダボアで画期的なことを量産しています。ちなみに僕はいすゞ自動車で10年くらいやって40%くらい減らしました。そのときはピストンリング、シリンダボアで画期的発明をして、特許はもちろん取りましたが、量産化できなかったのが残念です。

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