マーヴェルをつまみ食い

自分の価値基準だけだと優先順位が低かったものを、人との付き合いとかで、摂取(という言葉が一番近いがピッタリはきてない)することがあって、そういうことが、自分の価値観の幅を広げてくれることがある

人に誘われて、普段観に行かない映画を観たり、ライブを見たり、美術展を見たりするのが、この話の第一義であり
次に食べ物や場所や人の集まりといったものが第二義になり、次に料理を作る、楽器を触る、スポーツや運動を始めてみるといった参加という第三義まで、この話は含まれるのだけれど、だからこそ、摂取や接触や体験という三つの要素をうまく言い表せる言葉を見つけたいところ

”味見”とか”つまむ”は、少し軽い感じでそぐわないんですよねぇ

先日、マーベル作品をDVDで見ました
タイトルは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」とその続編『~:リミックス』

まずマーベル・コミックとはアメリカのコミックであり、日本でいうところの『少年ジャンプ』なのかしら・・・いや、この喩はかなり危険というかアメリカと日本の漫画雑誌の歴史と言うことは知っているので、あくまでわかりやすい喩えとして受け取って下さい

スパイダーマン、アイアンマンが有名でアベンジャーズというクロスオーバー作品・・・東映マンガ祭りのマジンガーゼット対デビルマンみたいなものなのですが(これもあくまで喩え)が映画でヒットしたのは記憶に新しいでしょうか

アメリカにはもう一つDCコミックスというのがあって、これがスーパーマンとバッドマンであり、今公開されているアクアマンもDCコミックスで、ジャスティスリーグというのがクロスオーバー作品でいろんなヒーローが出てきます

日本は集英社のドラゴンボールやシティハンター、小学館のドラえもんや名探偵コナン、講談社は・・・進撃の巨人や美少女戦士セーラームーンとしておきましょうか
いや、いろいろ違うけどまぁ、日本もアメリカもコミックス原作の作品が映画市場を騒がしているのは同じであるわけで

で、僕はそういう流れに乗り損ねたというか、乗りたくない派

原作原理主義でもないし、娯楽映画が嫌いなわけでもないのですが、なんというか、子供の頃にクリストファー・リーヴのスーパーマン(1978年)を見て、恋人の命を救う為に地球を逆回転させて時間を戻してしまうヒーローには、どうも感情移入できなかったし、バッドマンはテレビシリーズのおちゃらけた雰囲気と広川太一郎のイメージが強すぎて、ヒーローというよりコメディスターだったわけで、スパイダーマンに関しては、もうレオパルドなわけで・・・

1989年からのバッドマン及び2002年からのスパイダーマンの映画シリーズは何作かつまんでみましたが、それほど口には合わず、以後、アメリカン・コミック原作の映画は積極的には観ていない

とはいえ、2008年のダークナイトやアイアンマンは愉しめはしましたが、そればっかりになっていく勢いに、どうもついていけなくなったわけです

さて、ここからが本題
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が公開されたのは2014年で、その当時から、評判は聞いていました
それは僕の交友関係というより、ネットの記事などで非常に高い評価がされているという噂レベルなんですけどね

「マーベル史上最高の映画」
という賛辞を聴いたところで、それは苦手なカテゴリーで最高級ということなのですから、手を出すのもためらいます

うっかりそんなことも記憶の隅から消えるところだったのですが、過日、交友のある方と映画を一緒に観る機会があり、これが期待以上にすごくよかったので、その方が勧める映画をDVDで何本か見る流れから、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を勧められました

実はその方も”アメコミ原作の映画は全部同じに見える”と言っていたのですが、この作品だけは純粋に楽しめたということだったので、それならばと観ることにしました

まず、この物語には”ろくでなし”しか出てきません
そのろくでなしはそれぞれ”自分の居場所がない”といった境遇にあり、自分だけを頼りに生きてきたような”荒くれ者”、”変わり者”、”お尋ね者”、”復讐者”たちで、チームワークなどという都合のいいなれ合いなど存在せず、いい人は騙され、命を落とす世界で”しのぎを削るという真面目さ”もゴミ箱に捨てて、鼻歌を歌いながら大砲をぶっ放す連中の物語なわけです
ここまで褒めてないね

”2016年10月、イギリスの保険比較サイトGo Compareにより発表された、1940年代以降の映画で描かれる殺人集計数によると、本作での画面上で登場した死者の数は8万3871人であり、歴代1位であるという(クライマックスの空中戦で約8万人のパイロットが死亡)”
wikiより抜粋

この8万人のパイロットが死亡するシーンは、ガンダムでいうところのアクシズの地球への落下を防ごうと、連邦やネオジオンのモビルスーツのパイロットが隕石を押し戻そうとして機体が持たずに撃滅してしまうような流れなんですが、規模が半端ない(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)
真面目な奴は多かれ少なかれ、酷い目に合わされるのがこの映画

全編にわたって下品なセリフと無慈悲で理不尽な行為に溢れているのだけれど、主人公が愛用してある母親の形見のウォークマン(初期型)から流れる懐かしい70年代から80年代のヒット曲~
デヴィッド・ボウイ、10cc、ジャクソン5、 ザ・ランナウェイズ、マーヴィン・ゲイ & タミー・テレル・・・

そして劇中のセリフで”ケビン・ベーコン”、”フットルース”なんて言葉が出てきちゃうと、もう青春時代が蘇って映画の中でどんなネタがぶっこまれるか、わくわくして見ている自分がいるわけです

続編のリミックスには多くのカメオ出演があり、シルベスター・スタローンとかもう、たまらないわけですが、まずはこのオープニングがやばい

ELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)のミスター・ブルー・スカイに乗せてベビー・グルートが最高のダンスを披露します


つまみ食いのはずが、すっかりはまってしまったという感じでございます

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