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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をようやく観に行けた

今回はこの映画を観た感想を書きたいと思うのだけれども、ネタバレありなので、こちらを読む方は自己責任でお願いします

この映画はネタバレしてから見ると間違いなく魅力が半減します
しかし、はじめっから観る気がない人がこれを読んだとき、やっぱり観てみようという気持ちになれるように心がけて書き進めて行きたいと思います
※ネタバレ開始位置は<ここからネタバレ注意!>と記載します

映画の概況

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(以下FFH)はマーベルコミックス原作の『スパイダーマン』の映画としては7作目ですが、再始動した新シリーズとしては2017年の『スパイダーマン:ホームカミング』(以下HC)に続く第2作目になります

Point-1
つまり続き物としては2作目

なのですが、トレーラーを見て頂ければわかるとおり、劇中にアイアンマンやマイティ・ソーの名前が出てきます。それらマーベルコミックの実写映画を同一世界に統一して展開しているのがマーベルシネマティックユニバース(MCU)となり、そのシリーズとしては23作目

Point-2
MCUの22作目『アベンジャーズ/エンドゲーム』の続きであり、24作目の『Guardians of the Galaxy Vol. 3 (原題)』に続く作品でもある

Point-3
配給はソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントであり、ソニーは前年『スパイダーマン: スパイダーバース』を制作し第91回アカデミー賞長編アニメ映画賞受賞しているが、FFHの制作はHCと同じマーベルスタジオである

監督:ジョン・ワッツ
2014年、ホラー映画『クラウン』を手がける。2015年、ケヴィン・ベーコンを主演スリラー映画『COP CAR/コップ・カー』が公開(wiki)
※MCUは若い監督をよく起用します。それもホラー出身が多い?

キャスト
ピーター・パーカー / スパイダーマン:トム・ホランド
クエンティン・ベック / ミステリオ:ジェイク・ジレンホール
ニック・フューリー(元S.H.I.E.L.D.長官):サミュエル・L・ジャクソン
マリア・ヒル(元S.H.I.E.L.D. 副長官):コビー・スマルダーズ
ミシェル・“MJ”・ジョーンズ(クラスメイト):ゼンデイヤ
ネッド・リーズ(クラスメイト):ジェイコブ・バタロン

Point-4
カメオ出演
J・ジョナ・ジェイムソン:J・K・シモンズ
ミッド・クレジット・シーンのニュース映像に登場。
ミステリオ / ベックが遺した映像からスパイダーマンを殺人犯として批判し、その映像を公開してスパイダーマンの正体を世間に報道したデイリー・ビューグルの編集長。
シモンズはサム・ライミ監督の『スパイダーマン』3部作の他、『ザ・シンプソンズ』、『アルティメット・スパイダーマン』でもジェイムソンを演じた(wiki)

これまでMCUのカメオ出演といえば、原作者のスタン・リーでしたが、彼は昨年11月に永眠したので、今後はどうなるのかなと思いきや、まさかのサム・ライミ版のスパイダーマンで同じジェイムソンを演じたJ・K・シモンズが現れるとは!

それも映画が終わり、「ハッピーエンドね」というところでどんでん返しのシーンでいきなり現れるから二度びっくり

ストーリーうんちく
映画はいきなり追悼シーンから始まります
それはこの世界での直前での出来事、簡単に言うとサノスという宇宙人が人類の半分を魔法で消し去り(アベンジャーズ/インフィニティ―ウォー)、その五年後アイアンマンやキャプテン・アメリカらアベンジャーズが奮闘しサノスを打倒し、消え去った人々は5年前のまま生還

しかし激しい戦いの中、アイアンマン(トニー・スターク)を始め、ブラック・ウィドウ、キャプテンアメリカ、ヴィジョンらは帰らぬ人となった

という映像をピーターの通うハイスクールの校内放送で流されていてBGMがホイットニー・ヒューストンの「I will Always love you」

いやいや、この曲ってケビン・コスナーとホイットニーが主演した映画『ボディガード』のテーマ曲で配給はワーナー
ワーナーといえば、スーパーマンやバッドマンなどのDCコミック作品を手掛けている会社じゃないか・・・ある意味喧嘩を売っているのかと思ってしまいました

MCUはこのような音楽の小ネタが結構あって、80年代洋楽好きな自分には本当にたまらない

<ここからネタバレ注意!>
この映画のヴィラン(悪役)はミステリオ
トレーラーだとスパイダーマンの味方を演じていますが、原作を含め、彼の能力はハイテク技術を使った演出・・・って何よって話なんですが原作では

”俳優・監督としてスターになれるような容姿にも才能にも恵まれていなかった。そんなある日、友人からの助言を聞いたクエンティンは、特殊効果と映像作りの才能を利用してスーパーヒーローになれば有名になれると気づいたのだった”(wiki)

そしてMCUではトニー・スタークに憧れながらも、彼に認められず逆恨みをした挙句、トニー亡き後に彼のハイテク技術を自分のものにしようとピーター・パーカーを騙す壮大なプロジェクションマッピングとドローンによる現実感の演出を計画し、見事に成功する子悪党なわけです

いや、しかしですね
映画を観るとわかってもらえるんですが、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード主演の名作『スティング』にも似た”盗人の爽快感”がたまらなくて、騙されたピーターはかわいそうなのだけれども、騙した側に賛辞を送りたくなるような演出が憎たらしい

そしてトニーの形見であるサングラス(トニーのハイテクを使いこなすデバイスになっている)は、ピーターがかけると、まぁ、似合っていないけど、ミステリオがかけると、いい感じの髭面がトニーを彷彿させて、まぁよくにあう事

しかし、この子悪党のやっている犯罪は、よく考えるとめちゃくちゃ怖いんですよね

映画の冒頭が校内テレビ放送であり、アイアンマン亡き後、スパイダーマンは”親愛なる隣人”からアイアンマンの意志を受け継ぎ、スーパーひーろになることを世間が期待している風潮
そしてミステリオを新しいヒーローとして紹介するニュース
それを逆手にとってプロジェクションマッピングとドローンによってエレメントという怪物を演出するミステリオ
秘密を知ったピーターを誘い出し、現実と虚像の区別がつかない世界で徹底的に痛めつけられ、ニックに助けられたと安心したところも、すべて罠

そして映画の最後はまたしてもフェイクニュースが流され、スパイダーマンの正体が世界にばらされてしまう

劇中、ピーターとクラスメイトの間で「動画をアップ」「ニュースの言っていることは間違いない」などといった現在を風刺するセリフがところどころ出てきます

更にエンドロールが終わったあとのおまけ映像でええー! あれも嘘だったの!となる演出も憎たらしいが小気味いい

この映画の一つのテーマが現実と虚像であるとするならば、もうひとつのテーマは恋愛と人間関係

トニーに憧れたピーター
ピーターに後を託したトニー
そんなふたりを親とも違う親戚のおじさんのように見守るハッピー
そのハッピーはピーターの保護者である叔母のメイと恋仲に
ピーターはクラスメイトのMJに恋をし、この夏休みになんとか告白をしようと計画を立てる
ピーターがスパイダーマンであることを知っているクラスメイトのネットは、そんなピーターに適当で雑なアドバイスをしつつ、自分は自分でちゃっかりクラスメイトのベティ・ブラントと恋仲に

僕は原作のスパイダーマンを知らないのだけれども、ああ、これは70年代末~80年代初期に流行った”童貞物語”だと思いました

奥手の男の子がなんとか一人前の男になろうと奮闘するドタバタコメディ

MJに思いを伝え、お互いに気持を確かめ合った二人のぎこちないキスは、きゅんとさせられるものがあるのですが、すぐに”ああ、このキスは日本の童貞にはできないわ”というハリウッドなキスに発展するのもおかしかった

恋愛のオチとしてはネッドとベティに”ダブルデートしよう”とピーターが帰りの空港で二人に誘うと”僕らはもう終わったんだ”という、謎の大人な対応

そしてメイおばさんとハッピーの関係も片やひと夏のアバンチュール、ハッピーはこれからも発展したいというすれ違い

蓋を開けてみると、これだけ痛快に楽しめた映画なのにもかかわらず、実はめでたいことはMJとピーターの恋が発展したことだけだ・・・と思いきや、最後のどんでん返しで二人の関係が今後、どうなるかわからなくなるというオチ

最後に、僕が一番印象に残ったシーンを紹介して終わりたいと思います

コテンパンにやられたピーターは”僕はアイアンマンにはなれない”と窮地を救ってくれたハッピーに漏らします
ハッピーは”そうさ、君はアイアンマンじゃない”といい、実はスタークもいろいろと苦悩をしながら、”アイアンマンであろうとした”とピーターが知らないスタークの弱い一面を話します

ピーターは友達を守るため、世界を守るために、そしてスタークの形見を取り返すために一念発起し、自分のスーツを飛行機の中で作りはじめます

その姿はまさにスタークそのもの

それを見たハッピーは”BGMはオレに任せろ”と言ってAC/DCの『Back in Black』を流しますがピーターはそれを”ツェッペリン、最高!”と言います

彼は映画オタクではありますが、音楽にはそれほど詳しくなかったのでしょうか

そういえば、ミステリオを味方だと思っていた頃「作戦は?」と聞かれて、普通に受け答えをしていましたが、スタークとのときは「古い映画なんだけど”エイリアン”ってしっている?」となんでも映画に例えてスタークに話しかけ、そのたびに叱られていました

スタークとピーターの二人の間には、本当に特別な何かがあり、それをお互いに尊重し合っていたのだと、改めて想い、それを見守るハッピーの視線と僕の視線が重なった時、涙がこぼれてきたのでした

今後映画館、またはレンタルでこの作品を観る人は、是非アイアンマン2を見てから、この映画を観てほしい

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