メルシーベビー

言葉の国、文字通り、本棚6番街に住んでいます。

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  • 詩を紹介するマガジン

    主にドイツ、フランス、それから日本の詩をご紹介していきます。訳は基本的に拙訳。詩の背景や作者にも言及しつつ、自分の感想なども書いていきます。不定期更新。

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    仕事が中心のエッセイです。建築業界、不定期連載。

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最近の記事

「婚活のNG」に思うこと

 むかし結婚相談所でバイトしていたせいで、いまでもその手の記事をよく見る。近頃は店舗を持たない、ネット型の結婚相談所が増えてきたな~とか(店舗型より安くていい)。アバターでバーチャルデートができるアプリが出たんだな~とか。    で、「結婚したいなら○○すべし」「××はNG」みたいな投稿もたくさん見かける。正直このへんはケースバイケースなので、鵜呑みにする必要がないのも多くある。たとえば「お見合い後、初回のデートで手を繋ぐのは厳禁」という内容に関しては「初回からそれやって、あ

    • SNSで「夫さん」という表現を見たり、リアルで「あなたの夫は」と言われたり。他人の配偶者には「旦那さん」「ご主人」を使うものかな、と思っていたけど、ここに「夫/さん」も参戦しているのか。 一方で、人に対して言う「妻さん」「あなたの妻は」という表現は見聞きしない。なんだか不思議。

      • 言ってみる。おいしい、好き、そのままでいて

         食べたチョコがおいしかった。パッケージの箱の内側に「このチョコレートのこだわり」みたいな記載があり、読むと勉強になる。おいしさの秘密というのはいろいろあるんですね。自分は初見だったけど、旦那さんにとってはご贔屓のチョコらしい。    せっかくなので企業に「おいしくて、また勉強になりました。主人も気に入ってます」的なことをメールで書いて送る。しばらくして企業の方から返信があった。「ご夫婦そろってのご愛顧ありがとうございます。他にもいろいろこだわってます、ふふふ(意訳)」と書か

        • 架空の旅、一瞬

           妊娠も後期で、どこにも旅行に行けないから……というのは嘘で、もともと旅行はおっくうな性質なので、旅のエッセイを読んで気分だけ行った気になる。読書好きのおばさんがくれた、若菜晃子『旅の彼方』を読んでいる。    お菓子が好きな人らしい。甘味の話が折に触れて出てくる。中でも食べてみたいのがインドの「ジェレビー/ジャレビ」と呼ばれるおやつで、油と小麦粉と砂糖でつくる、ドーナツに近い何か。   インドに行ったことはない。これから行く予定も特にない。ただ旅行者の話を聞いたり、投稿を

        「婚活のNG」に思うこと

        • SNSで「夫さん」という表現を見たり、リアルで「あなたの夫は」と言われたり。他人の配偶者には「旦那さん」「ご主人」を使うものかな、と思っていたけど、ここに「夫/さん」も参戦しているのか。 一方で、人に対して言う「妻さん」「あなたの妻は」という表現は見聞きしない。なんだか不思議。

        • 言ってみる。おいしい、好き、そのままでいて

        • 架空の旅、一瞬

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        記事

          "いつもニコニコ"へのモヤモヤ

           妊娠していると、「理想のお母さん像」について考えることがある。きっと自分が無意識のうちに、そこを目指してしまうだろうもの。でもたぶん達成できないもの。だって理想はあくまで理想だから。    いつもニコニコしていて、なんかウェーブががったロングヘアをしていて、化粧はきつくなく見苦しくなく、ちょっとしたお菓子をパパッと手づくりできる……みたいな。着ているものは高くないけど清潔で、「生活感がにじんでない」という意味で「きれいな」人。    そんなお母さんどこでも見たことないのに、

          "いつもニコニコ"へのモヤモヤ

          もしも叶うなら

           「すべてなかったことにしたい」という気持ちがどこかにあることを考えている。SEKAI NO OWARI「タイムマシン」を聴きつつ。  そうだなあ。タイムマシンに乗れてなんでもできるとしたら。だとしたら、自分が生まれなかった世界を見てみたい。最初からすべて、なかったことになっている世界。    兄の次に生まれた自分は、両親からすれば想定外の子どもだった。2人目を育てる気はなかったのに、と言いつつ、とりあえずはできたから育てた子ども。もし予定調和に兄だけ生まれていたら、家族は

          もしも叶うなら

          耳が痛くなる話

           妊婦に向けた本──というのは、怪しいものから単に身体的なアドバイスまでいろいろあるのだけど、読んでいるとこんな文章があった。「親に問題があるうちは子どもを望むべきではない、まず自分の境遇と向き合い解決すること」。    なんか漠然とした内容だ。「問題がある」の線引きはどこにあって、その線は誰が引くんだろう。そもそも一切の問題がない人っているのか。そういう人しか親になってはならないとすれば、ずいぶんハードルが高い。    それでも、言っていることがわからないわけじゃない。たと

          耳が痛くなる話

          今日はSEKAI NO OWARI「タイムマシン」を聴いていた。 https://www.youtube.com/watch?v=PSG9SMj0ACE 3月11日。それまではなんでもなかったはずが、多くの人の共通の記憶となってしまった日。テレビ欄がニュースで埋め尽くされた当時の新聞と、この時間に至るまで何事もない今日。

          今日はSEKAI NO OWARI「タイムマシン」を聴いていた。 https://www.youtube.com/watch?v=PSG9SMj0ACE 3月11日。それまではなんでもなかったはずが、多くの人の共通の記憶となってしまった日。テレビ欄がニュースで埋め尽くされた当時の新聞と、この時間に至るまで何事もない今日。

          美しさの価値、芸術の価値

           「美しい」の内訳というのは、まったく人によってさまざまなのだけど。    自分の場合それは、「俗世を離れている」ことと密接に結びついている。まるきり俗を感じさせないものは、「美しい」の──十分条件ではないけれど──必要条件を満たしている。    夏目漱石の『草枕』にもそんな描写があったっけ……。  自分の感性が夏目さんから影響を受けているというより、けっこうな数の日本人に共通の感覚なんじゃないかと勝手に思っている。損得利害を超越することの美しさ。俗な世間を離れていられる贅

          美しさの価値、芸術の価値

          キラキラ資本主義ができない

           「家事代行を雇ったら最高だった!とっても楽でした!」という記事をときどき見かける。「お料理も掃除もしっかりしてくれて助かりました✨」「こういうサービスはお金持ちだけのものじゃない、もっと普及してほしい」。そんな声の数々。    これだけ言われているとなんだか気になる。それで、産前なのをいいことに、自治体が補助金を出しているホームヘルパーさんをお願いしてみた。業者によっては「体調の悪い人じゃないと助けません」と言われるものの、中には来てくれるところもあった。    試しに、水

          キラキラ資本主義ができない

          追悼・鳥山明。 「♪きったぞーきたぞアーラレッちゃーんー♪」のメロディが、ずっと頭の中を巡っている。漫画も買ってアニメも見ていた。平成日本に生まれながら、ポケモンすらよく知らない自分にとって、それはすごく珍しいことだった。子どもの頃のヒロインといえば、この彼女しかいなかったのに。

          追悼・鳥山明。 「♪きったぞーきたぞアーラレッちゃーんー♪」のメロディが、ずっと頭の中を巡っている。漫画も買ってアニメも見ていた。平成日本に生まれながら、ポケモンすらよく知らない自分にとって、それはすごく珍しいことだった。子どもの頃のヒロインといえば、この彼女しかいなかったのに。

          一緒に食べよう

           「共食」というのは、読んで字の如く「共に食べる」であって、ひとりじゃなくてみんなで食事をする、そういう行為。いいことがいっぱいあるというので、農林水産省も勧めている。  子どもがいる家庭だったら、食事のマナーを身に着ける機会になる。成人なら、誰かと食卓を囲む回数が多いほうがストレスが緩和される。共食が多い人は、孤食(ひとりで食べる)人よりも、自分を健康だと感じているらしい……    などなど、メリットはいっぱいある。ただ、こんなのひとり暮らしの人はどうしろって言うんだよ…

          一緒に食べよう

          【詩を紹介するマガジン】第19回、Jacques Prévert(ジャック・プレヴェール)

           どういう詩なのか、映像で見るとこんな感じ。  映像では女性が主人公になっているが、男性バージョンの訳も見たことがある。ここでは書き手が女性ということで話を進めるけれど、どちらで考えてもらっても詩の価値が損なわれることはない。  ジャック・プレヴェールは、映画『天井桟敷の人々』のシナリオを書いたことで知られる。映画は10代のころに一度見て「わからん」「でもわかるような気がする」「これがフランスか」と思った。  上で挙げた詩にはちょっとした思い出があって、別に美しい思い出

          【詩を紹介するマガジン】第19回、Jacques Prévert(ジャック・プレヴェール)

          価値観の違い

           よく離婚の理由で挙げられるものに「性格の不一致」とか「価値観の違い」といったものがある。赤の他人が、このふたつにおいて完全に一致することなんてない。ないけれど、「許容範囲内のズレ」と「耐えられないズレ」があって、離婚に至るのは後者なんだろう。    かく言う自分も、旦那さんを見ていて「自分とは別の人間だな(あたり前)」と思うことはある。倹約家の彼は、たまにこんなことを言う。   「損はしたらアカン。1円損するのは、寿命が1秒縮むのと同じやねんで」    わたしは不思議に思う

          価値観の違い

          ある女の一生

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          今年の目標、みたいなそんな

           遅ればせながら今年の目標が決まる。目標というか、心がけ。今年そうしたいなっていうふんわりした希望。「一見ムダなことをする」。    それはつまり、最低限必要「ではないもの/こと」にお金や時間、手間をかけるのを意味する。いままでなら10分で済ませていた何かに1時間かけてみるとか、いままでならお金を払ったことのないものに払ってみるとか。    たとえば、簪(かんざし)を使って髪をまとめること。これはヘアゴムでまとめるより若干、時間がかかる。一本結びという、一番簡単なやり方であっ

          今年の目標、みたいなそんな