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東京モーターショー2019と近未来のクルマとVTuber

キズナアイがPR大使に就任したが…

東京モーターショーはほぼ毎回行っていますが、今回はバーチャルYouTuberのキズナアイちゃんがPR大使に就任したということで、二重に楽しみにしていました。

イベントコンパニオンにとって最もステータスがある仕事は、東京モーターショーだとコンパニオンさんから聞いたことがあります。キズナアイちゃんが東京モーターショーの顔になるというのは凄いことでしょう。

でも実際に会場に行くと、思ったよりもキズナアイちゃんの存在感は薄かったのですね。公式パンフレットに載っていましたが、あとはポスターがちらほら貼ってある程度でした。ポスターにGoogleレンズをかざすと動くという趣向はありましたが。

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例えば、巨大モニターのキズナアイが迎えてくれるとか、ブースで未来のクルマとからめた展示があるとか、そういうのを期待していたけれど、無かったのが残念だし、その他のVTuberにからんだ展示も無かったと思えます。本来この記事は「東京モーターショーでVTuberがこんなだった」という内容を書きたかったのですが、無かったので、「VTuberとクルマをからめる方法がもっとあるだろう」という記事になります。

今回のモーターショーの特色

モーターショーには毎回特色となるものがあって、例えば6年前は燃料電池車やそのインフラの展示が目立っていていたし、前回の2年前は電気自動車や音声アシストなどが目立っていました。今回のモーターショーの特色については、私が書かなくても良い記事があります。

 これによると、今回のテーマは「CASE」だと。これは4つの単語の頭文字で、
 Connected(つながる)
 Autonomus(自動運転)
 Share(シェア)
 Electric(電気自動車)

です。まとめると、「自動運転される、ネットに接続された電気自動車を、シェアする」となりますが、実際そういうものが多かったですね。

「シェア」がピンとこないかもしれませんが、海外では自動車のシェアが普及していて、例えばUberのようなライドシェア(個人が自分のクルマでタクシーをする)もあるし、TUROのような、個人が自分の車をレンタカーのように貸し出すサービスもあります。アメリカに出張した時に、一緒に行った人が遊びでレンタカーを借りたいと話していたら、アメリカ人がTUROを勧めていて、当たり前に普及しているんだなと思いました。

自動運転が普及することで、クルマのシェアはますます当たり前になるでしょう。使いたい人のところに勝手に行って、乗せて、勝手に帰ってくるということができるわけです。事故られる心配も少ない。

またCASEは「若者のクルマ離れ」の切り札でもあって、運転する必要がなく、手軽にシェアできるのであれば、若者も車に戻ってくるはずです。

そうなると、クルマに求められるものも変わるので、カタチなども変わります。各社、CASE時代にはこうなるだろう、という車を展示していましたが、車の中でリビングみたいにくつろげるとか、映画などエンタテイメントを楽しめるという提案が多かったですね。写真はスズキの「HANARE」で、家の離れのようにくつろぐというコンセプトカーです。

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これはこれで良いけど、でもこれはクルマを楽しんでいるのだろうか、と、クルマ好きの私は思います。自動運転で運転の楽しみは無くなるとしても、知らない土地の風景に入り込めるとか、地図上の好きなポイントに気の向くままに行けるとか、そういうわくわくした楽しさがクルマにはあるはずです。そういう、CASE時代での「クルマで移動することの楽しさ」について考えたとき、「VTuberという手もある」と思うのです。

VTuberがクルマにできること

以前にSHOWROOMの「因幡はねる大好き芸人」という番組に出演したとき、まだキズナアイちゃんと東京モーターショウのコラボが発表される前でしたが、VTuberの企業案件の相手として自動車メーカーは狙い目であると話しました。日本の企業の売上高1位と2位は自動車メーカーで、とても儲かっています。でも安泰とは思っていなくて、今はCASEに見られるように100年に1度の変革期であって、既存の巨大自動車メーカーが一夜にして時代遅れになる「カーマゲドン」が訪れることを恐れています。

私はソフトウェア開発が仕事なのですが、開発会社に「プログラマー5人くらい回せませんかね」と聞くと、「自動車メーカーが100人単位で持って行きますんで」と言われたりします。自動車メーカーはそれくらいソフトウエアに投資しているので、そこに入り込む余地があるはずです。

因幡はねる大好き芸人2

上は番組で使ったスライドですが、車がドライバーと会話する、いわゆるAIエージェントで、トヨタなど各社が展示していました。でもこれはVTuberのキャラクタが組み込まれています。ドライブしていて、男女がビーチで楽しそうに遊んでいる様子が見えたとしましょう。AIはそれを認識して、VTuber因幡はねるのキャラクタで「陽キャは皆殺しじゃー」とかしゃべると楽しいだろうという例です。わざと物騒な例を出したのは、人間の魂から作られたキャラクタのほうが、AIのクリーンなキャラクタよりも親しみが湧くはずだからです。トヨタがAIエージェント「YUI」を搭載したクルマを展示していましたが、私に言わせればキレイすぎます。

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VTuberならではのサービスとして、普段はAIがしゃべっているけれど、イベントなどでVTuberが本当に(バーチャルで)同乗してくれるサービスもありえるでしょう。

VTuberが、自分のキャラのクルマがどこを走っているかをマップで見て、乗りたいクルマに乗れるというのも面白いのでは。行きたいところにバーチャルで行けるわけで、話のネタにもなるでしょう。

また、自分がVTuberになって車から発信するという形もあります。「REALITY」のような、誰でもVTuberになってスマホから配信できるアプリがありますが、そんな感じでクルマからVTuberとして配信して、さらにリスナーはクルマに同乗します。窓の外の風景を見ながら、一緒にバーチャルドライブする感覚はきっと楽しいでしょう。

CASEのE

CASEの頭文字の意味は上に書きましたが、最初の3つ(Connected, Autonomus, Share)がサービスに関することなのに対して、Eだけが「電気自動車」と物理的なものなのが違和感でした。Eは「エンタテイメント」であるべきではないでしょうか。クルマで移動すること自体、モビリティ自体をエンターテイメントとする方法を、自動運転時代でも考えるべきで、その一つとしてVTuberを活用してはどうでしょうか、というのが私の提案です。

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