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VTuber因幡はねるのサンリオピューロランドイベントは、彼女の「原風景」への旅だった

大願成就

本日2019年11月10日、VTuber因幡はねるのイベント「因の者オフ会 第二陣 -大願成就- 」が、サンリオピューロランドにて行われました。広いホールを使い、700人以上のファンを集めた盛大なものでした。因幡はねる(以下ねるちゃん)は昔からサンリオ、特にポムポムプリンくんのファンで、デビュー放送で既に「ポムポムプリンくんとコラボするのが夢」と言っていたので、その夢が叶った日でした。

デビュー時の話などは、こちらの記事にも書いています。

イベントのタイトルに「大願成就」とあり、会場にもそののぼりが誇らしげに翻っていました。ちなみにこの字は、書道系VTuberでもあるねるちゃんの直筆です。ファンシーなピューロランドの中で、ここだけ異質でした。

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ところで「大願成就」って、本来は仏教用語で「(仏が)人々を幸せにする」という意味だそうです。それが転じて、個人的な願いが成就したときにも使うようになったのですが、今回の「大願成就」は原義的な意味でも合ってると言えるでしょう。ねるちゃんの願いが叶って、それがファンのみんなの願いでもあったのだから。

ただ、、、「ピューロランドでのイベントが決まった」と聞いたときの気持ちを正直に言うと、「よかったね!」という嬉しい気持ちと、「ピューロランドかー、しんどいな」という気持ちが半々でした。ピューロランドの近所には用事があって、前をよく通るのですが、中に入りたいと思ったことは一度も無いからです。自分には縁のない世界だと思っていたし、おっさん一人で入るのは恥ずかしいなと。

ねるちゃんもそんな空気が一部にあることを感じていたのか、「私がやりたいだけで、私のわがままでピューロランドに来てもらうことになって、それは申し訳ないと思ってる。でも、私が好きなものをみんなに見てほしいから」と言いました。そういうことなら、ねるちゃんが大好きなピューロランドを、しっかり見なくてはいけないなと思いました。

ピューロランドは素晴らしかった

チケットにはピューロランドのパスポートも含まれていたので、イベント自体は午後からですが、午前中からピューロランドに行き、パレードを見たり、KAWAII KABUKI(カワイイ歌舞伎)を見たりしていました。

いや、素晴らしかったですね。まず非常にショーアップされていて、エンターテイメント性が高い。ストーリーは子供向きではあるけど、シンプルなメッセージがとてもいい。例えばパレードは、悪い心に打ち勝つためには「カワイイ」「思いやり」「仲良く」の3つのハートがあればいいというメッセージでした。確かにそうかも。
KAWAII KABUKIは、普通の人と違うところがあっても、それはむしろ良いことなんだというメッセージでした。

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今の子供達は、生まれた時からインターネットがあり、スマホやタブレットに触れていている「デジタル・ネイティブ」と呼ばれる世代です。かつて無かった現象なので、それが子供にどんな影響を与えるかという研究が盛んにおこなわれています。

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これはBobo Dollという、児童心理学でよく使われるキャラクター人形なんですが、例えばこれを殴る映像を見せて、子供にどんな影響があるかといったことを調べます。分かってきたこととして、コンテンツの内容よりも、親などがそれにどう解説をつけるか、のほうが重要だということです。Dollを殴る映像を見せて、「おもしろいね、もっといじめたいね」と解説すると、攻撃的な傾向になりやすいし、同じ映像でも「かわいそうだね、どうして仲良くできないのかな」と解説すると、攻撃傾向は大きく下がります。

ピューロランドのショーを見て、それを思い出していて、これは子供にとても良いなと思いました。戦いのシーンはあるけれどメッセージがはっきり伝わるし、デジタルではない実在のキャラクタがそれを語っているということで、より説得力があるはず。さらに映像やダンスやステージの仕掛けなど、全体のクオリティが高くて盛り上がるので、大人の私でもうるっと来るものがありました。

因幡はねるの原風景

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そして本番のイベントです。歌があったり参加型の企画があったりで、そこまではいつものイベントでしたが、途中からゲストとしてポムポムプリンくんが登場して、一緒に「カワイイフェスティバル」を歌って踊りました。ねるちゃんの夢が叶った瞬間です。

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そのあと、ポムポムプリンくんへの手紙を朗読しましたが、これが今回のハイライトでした。

「私は幼いころ内気で、友達もいなくて、笑わない子供だった。どの写真を見ても、笑ったものがほとんどない」
「でも、時々ピューロランドに連れてきてもらって、その時の写真はいつも最高の笑顔だった」

文学論で、文学作品を理解するにはその作家の「原風景(げんふうけい)」を理解することが重要だと言う人がいます。原風景とは、自分の中で最も古い印象に残っている風景やイメージ、のことで、例えば戦争で焼け野原の風景とか、そういうものです。作家性はそれで決まるという人もいて、それは極端かもしれませんが、人間を作る要素として「原風景」があるというのは分かる気がします。「ピューロランドでだけ笑っている自分」というイメージは、言わば、ねるちゃんにとっての「原風景」なのだろうと思いました。

これに気づいて、僕の中で全部が繋がった気がしました。だからねるちゃんは、こんなにピューロランドが好きなのかと。だから僕らにピューロランドを見せたかったのかと。「私が好きなものをみんなに見てほしい」と言ったのかと。因幡はねるという人を知るには、ピューロランドを見ることが必要なんですよ。これが彼女の原風景なのだから。

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イベントが終わって、展示物を見ていると時間がかかりそうだったので、遠目に見るだけに済ませて、レストランでご飯を食べて、クリスマスのショーとイルミネーションのショーを見て、ピューロランドを満喫してから家路につきました。

ねるちゃんのことが昨日よりも少しわかったような、そしてさらに好きなところが増えたような、そんな一日でした。


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