TUBEOUT! Vol.2 は映画館だけどAR(拡張現実)だった

VTuberの銀河アリスなどが出演するライブイベント、TUBEOUT! Vol.2 に今日行ってきました。独特な演出で、すごく可能性を感じたのでそれについて書きます。

TUBEOUT! Vol.1 との違い

今回のは2回目ですが、1回目のイベントにも行きました。そのときは「ARライブ」と銘打っていて、透過スクリーンにVTuberの3Dモデルが映し出される形式でした。ボーカロイドのライブでもよくある形式です。

この方式は、VTuberがそこに存在するようなリアリティがあって良いのですが、欠点もあります。スクリーンがあまり大きくできないとか、背景が暗くないと映らないので(ハーフミラーだから)、演出に制約があるとか。

Vol.2 (第2回)は映画館(池袋HUMAX)で開催されるということで、なるほど、映画館なら見えやすいのは良いなと思いました。上の写真でもわかりますが、Vol.1は会場が平坦で、かつスクリーンの位置が高くないので、かなり見にくかったんですね。映画館ならばそれは解決できる。

でもそのため、今回はARライブと銘打っておらず、AR(拡張現実)感が無くなるのは残念だなと、その時は思っていました。

疑似AR感を出すための演出

でも実際に画面を見ると、疑似的にAR感を出すための工夫がされていることが分かりました。下の写真を見ると分かりますが、スクリーンの奥にステージがあるかように描画されていて、リアリティを出すために足元にはモニタースピーカーがあり、上には照明のブリッジが見えます。奥のスクリーンと手前のスクリーンの間は舞台の出入り口になっています。この仮想スクリーンが立体的に配置されている手法は絶妙です。

VTuberは常に等身大で描画されていて、演出でアップにするときにはスクリーンのほうに映すようになっています。これらの効果で、最初は「映画館のスクリーンに映っている」という意識で見ていましたが、次第にそこにステージがあって、VTuberが立っているように思えてきました。もうこれは、ほぼARじゃないかと。

透過スクリーンではないので、背景の(仮想的な)スクリーンを全面使って、派手な演出をすることができます。照明も仮想的なものですが、派手に当てられます。

さらに、楽曲の背景映像はどれも凝っていて、この舞台装置を存分に生かしていました。それも、このイベントの満足度が高かった理由です。

ライブイベントならではの一体感

VTuberの主な活躍の場は、Youtubeなどでの動画配信ですが、ライブイベントに来ると、これもいいなと思います。聴衆と演者とが一緒になって、この空間を作っている感覚があるから。

銀河アリスちゃんが事前に、自分の曲でのペンライトの使い方にリクエストを出していました。下の動画の1分30秒あたりからですが、『Brand New Days』の最後のサビの前でペンライトをいったん切って、サビに入ったところでまた点灯してほしいと。

会場ではみんなちゃんとやってて、確かに演出効果あったし、アリスちゃんも「みんなが本当にやってくれてて泣きそうになったよ!」と言っていました。こういうのはライブイベントならではですね。

あ、初公開の新曲『Link』も良かったです。

VRライブとの違い

最近、VR空間プラットフォームの『cluster』でのVTuberのライブを見たのですが、確かにVRライブはどの場所からでも見られるといった利点はあります。でも技術的な制約で、会場に一度に入れる人数は100人もいないようで、それ以外の人はゴースト参加(演者や他の人からは見えない)になってしまいます。僕はそのときずっとゴーストだったのですが、(バーチャルな)ペンライトを振っても誰にも見えてないから虚しいし、演者が「みんな見えてるよー!」と言ってても自分は見えてないわけだし、参加型企画にも参加できないし、とても残念な気持ちでした。これが解決されない限りは、ライブに参加する感覚の点で、VRライブよりもリアルイベントであるARライブにアドバンテージがあると思えます。

技術的な課題はまだある

初めてやることが多いからでしょうけど、裏側はかなりトラブっていたみたいで、開始がかなり遅れたし、途中で映像が止まったり、調整のために中断したりということはありました。音よりも映像が少し遅れていて、ダンスのフリが合ってないなと思っていました。最後のほうで改善されましたが。これらは慣れれば解決されるでしょう。なんにしても最大で7人をリアルタイムにモーションキャプチャで動かす技術(設備)はすごいです。

3D映画みたいに3D映像で見られるとさらに良さそうですが、席の位置による視差の違いがより気になるかもしれませんね。どうなのかな。

この形式のライブを、VTuberはどんどんやって欲しい

この形式のライブは、映画館を短時間借りれば済むので、ライブハウスを借りたり、透過スクリーンを使ったりするよりコストが低いと思えます。今回の会場のキャパは480人くらいでしたが、平均チケット単価は7千円くらいありそうなので(グッズ付きチケットの率が高い)、ペイしたのではないでしょうか。

ここまで演出とか設備とか頑張らなくてもいいので、VTuberさんはこういう形式でどんどんライブをやるといいのではと思います。ライブハウスでコンサートを見たのと同等な満足感があり、開催側のコスパが良いと思うので。

一方でTUBEOUT!は、いろいろチャレンジしているので、次回もとても楽しみです。

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