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毒にも薬にもならない

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食べたことばかり覚えている

食べたことばかり覚えている

 食べたことばかり覚えている。
 小さい頃よく親に言われた言葉だ。家族旅行で行った土地や、した事を言われても全く思い出せないのに「ほら、あれを食べた時だよ」とすぐに記憶が甦ってくるのだった。

 大人になった今では、流石に観光名所に訪れたことだとか、川下りをしたことだとかも記憶しておけているのだけれど、そうは言ってもやはり人生の幸せな記憶は大体食べることと結びついている気がする。

 例えば、実家

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断片の供養①

断片の供養①

ノートにメモをとっている。
道を歩いている時や、本を読んでいる時にふと思いついたことがあると、ノートアプリを立ち上げて書き留める。
面白いアイデアばかり、という訳ではない。
むしろそんな有益なメモは全くない。
思いついた時には「これはいい文章の核になるぞ」だとか「後でゆっくり考えよう」と思って、いそいそと書いているのだけれど、見返してみて文章に落とし込めるようなものはほんの一握りだ。

ということ

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人生はちょろりんピック

大学生の後半から社会人序盤にかけて、自分を見失いがちだった。

他人に対して攻撃的になって、不機嫌であることが正しいかのように振舞っていた。
見知らぬ他者の落ち度をあげつらう事が、世間に対する義務であるかのような顔をしていたと思う。

平日夜の地下鉄のホームで、酔っ払って周りにぶつかりながら歩くサラリーマンを見て、

「自分の許容量も分からずに飲んで周りに迷惑かかるなんて馬鹿じゃん。」

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日常的に死ぬ── 虚無とたたかう

「虚無とたたかう」という言葉は僕のものではない。

とりいさんが12月の頭からクリスマスまで定期的に更新していた一群の文章の大見出しとして使われていたものだ。

そこでは虚無の説明として、

”人間が安心して眠ることを妨げる「今日も何もできなかった」という焦り”

”やるべきことを見つけられないまま人生を終えるんだろうなという諦め”
  

   (とりい「「虚無とたたかう」アドベントカレンダ

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帰り道のコンビニでシュークリームを買うのをやめたい

 要らない習慣ばかり身についてしまうよね、という話を友人とした。

 要らない習慣というのは、
例えば夜布団に入ってからだらだらスマホをいじってしまうことや、仕事帰りのコンビニでそんなに食べたいわけでもないシュークリームを買ってしまうことだったりする。

 もちろん、良くないのは重々承知だ。

 スマホをいじるほど睡眠の量と質は下向くし、夜間の糖分は脂肪になりやすい(更にこれまた睡眠の質を下

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ホットカフェラテの注文方法

▼コンビニでホットカフェラテを購入する方法

① レジでホットカフェラテ用のカップを購入します。サイズはSとMから選ぶことができます。

② 受け取ったカップをコーヒーマシンのカフェラテ抽出口にセットし、ボタンを押します(誤ってブレンド抽出口に置かないよう注意しましょう。虚空を流れるカフェラテの滝を眺めるはめになります)。

③ ボタンを押している間に、商品のレジ通しが終わっているので会計をしまし

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炊飯器をまぜないきみと暮らすこと / 『風にあたる』感想

 去年7月にでた山階基さんの歌集『風にあたる』を読みました。

 枡野浩一さんが帯分に寄せている「もといくんの歌集の中で暮らしたい ゆくてのシャツを乾かしながら」という短歌の通り、日々の生活の様子を書き留めたものです。

 一連の歌の中で、主体は恋人ではない人と2人暮らしを始めるのですが、ぼくはこの他者である人たちが共に暮らしていこうとする姿に強く心を惹かれました。

卯の花がすきなあなたと手を

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男子100mブーケラン

男子100mブーケラン

花束を持って街を走りたい。

時間帯は夜がいい。ショーウィンドウの光や街路灯に照らされて駆けるのが様になりそうだからだ。

服装はやっぱり黒のスーツか礼服が望ましい。本来激しい動きをするように作られていない服で、あえて全力疾走している所にドラマ性を感じる。諸々をかなぐり捨てて目の前のことに真剣に挑んでいる人間の格好良さとでもいうのだろうか。

当然、花束の形にもこだわりたい。花キューピットによると

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君はココアにソフトクリームを落としてもらったことがあるか。

君はココアにソフトクリームを落としてもらったことがあるか。

ココアにソフトクリームを入れるとミルキーの味になる。

ということに気がついたのは、春先の喫茶店だった。

その日僕は学生時代に付き合っていた友人とサンマルクカフェに来ていた。

晩御飯を食べてから、キャンパスをふらふらしたり、かつての下宿先まで散歩したりした後のことだった。

散歩の途中、微かないい匂いを感じて見回すと道端の家屋の柵から花が飛び出していたので、知っている花の名前を並べ上げて当てよ

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街でキャラバン 丸の内

街でキャラバン 丸の内

2019年2月2日(土)

休日を100%楽しめないことに悩んでいる。金曜日はだいたいお酒を飲んで帰ってくる。すると土曜の朝のスタートがだいたい遅くなってしまうのだった。

前日に晩酌をしていない日曜の朝も遅いので、お酒のせいにするのはお門違いかもしれない。

いずれにせよ、昼過ぎに起きてしまった休日のだるさは休日を台無しにするのに充分なパワーを持っている。

今更動き出したところで世間のみ

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スクールカーストってなんだよ

スクールカーストってなんだよ

スクールカーストってなんだよ。

Twitterでスクールカーストに関するツイートを見た。

「学生時代スクールカーストが低かった子が、実は学内で評価されないすごい才能を持った人で後にそれが評価されて輝いている。こんなに素晴らしい人が埋もれる学校のカーストって残念だなあ」
といった内容だった。

集団内の立場を分かりやすく固定化しようとして、人間の一部分だけを切り取るスクールカーストという制

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街でキャバラン_湯島

2019年1月20日(土)

今日は髪を切りに行ったついでに、
湯島一帯を散歩してきました。

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僕は美容室の太客だ。
なんと、3週間に1度散髪に行っている。

なぜこんな短いスパンで整える必要があるかというと、
僕の髪の毛は量が多い上にハリガネのように固いからだ。

ちょっとでも気を抜

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眼科が苦手だ。

眼科が苦手だ、と言うと不思議な顔をされる。

痛い・苦しいというイメージがある歯科や耳鼻科に比べて、眼を診てもらうことに痛みは伴わないからだろう。

歯を削る時の振動や音に不安になることもない。
粘膜を採るという名目(?)で、
鼻に綿棒を突っ込まれることもない。

そもそも、眼科では直接体に触れられることが少ない。
コンタクトを手に入れるために眼科に行った際も、だいたいの場合人に一切触

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