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千と千尋の神隠し『いつも何度でも』歌詞読解・曲解

映画「千と千尋の神隠し」を子供達と観に行き、それ以来、木村弓さんの「いつも何度でも」(作詞は覚 和歌子さん)に、はまった。

・・・ほんとこの曲、深い。

一番で迷いのある姿を見せ、
二番で「かなしみ」に負けず、力強く地に足をつけ、
自分自身を取り戻して生きる姿勢を打ち出している。

桑田佳祐さんの「白い恋人達」もそういう構成。
最近のいい曲は、絶望のままに終わらせないね。
「希望」を含ませている。

80年代の曲は
「退屈な毎日に嫌気がさすぜ。
くだらない日常をブッ壊そう!」みたいな、ただ文句たれてる歌詞が多かった。
それが「カッコイイ」みたいな風潮もあった。

90年代以降、湾岸戦争や阪神大震災、地下鉄サリン事件、
最近ではアメリカでの同時多発テロ・・・

考えられないようなことが、ある日突然、起こる。
その災いが自分自身の身に降りかかっても全く不思議ではない状況を
新聞、テレビ等の情報を通じて目の当たりにし、
「ごく普通の日常の有り難み」を知った人は多いのだと思う。

♪呼んでいる 胸のどこか奥で
♪いつも心踊る 夢を見たい

いつもドキドキ・ワクワクして生きていきたい。
トクトクと速く胸を打つ鼓動を感じていたい。

目の前に、花が舞うような幸せな瞬間。
足元が宙に浮かぶような夢見心地のひととき。

そう。
私の胸の奥には、手を伸ばしてつかまえたい希望がある。
とても大切な、私だけの・・・夢。

光射す雲の上にある夢。
私は天に向かって首を伸ばす。

そんな少女のような私が胸の奥にいる。

♪悲しみは 数えきれないけれど
♪その向こうできっと あなたに会える

誰の心の中にもあるように、
私にも「悲しみ」は、いっぱいある。

辛いこと。
頭に来ちゃうこと。
もう、いやんなっちゃうような うっとぉーーしいこと。
思い出すと、涙が出そうな想い出も。

きっと、私だけじゃないね?
悲しいのは。

悲しみに押しつぶされたらいけないのね?
先が見えず、暗いけれど、
この暗闇の向こうに光が待っている。

私を抱きしめてくれる あなたが そこに。

あなたに会いたいから。
もう少し、がんばってみようかな?

♪繰り返すあやまちの そのたびひとは
♪ただ青い空の 青さを知る

私って、本当にダメだ。
どうして、こんなに不器用なんだろう?
何度、同じ失敗を繰り返せば、賢くなれるんだろう?

こぼれる涙で曇って何も見えない。
誰とも会いたくないよ。
部屋に一人でいる。

膝を抱えてベッドの上に一人。

そんな私の部屋の窓のカーテンを
あなたが、サッと開けてくれた。

射し込む日差し。
うららかな空。

ああ、空はこんなに青かった・・・・

もう二度と日は昇らないような気さえしていたけれど
今日も、こんなに空は青い。

穏やかに微笑むあなた。
そうだね。
空は青い。
まだ少し悲しい色にも見えるけど、
大丈夫。
私は大丈夫。

♪果てしなく 道は続いて見えるけれど
♪この両手は 光を抱ける

昨日今日明日・・・
毎日毎日毎日、淡々と続いているような気がするけど

時々、すごく嬉しいこともあるよ!

今日と同じ日は二度と来ないね。
大好きな人達に囲まれて、楽しく幸せな毎日。
ずっとこのままでいたいけど、
この当たり前のような幸せも、
いつかは形を変えてしまうものなの?

そうだとしたら・・・
今日の、この幸せに感謝したい。
この、ささやかな私の幸せに満足したい。

♪さよならのときの 静かな胸
♪ゼロになるからだが 耳をすませる

世の常に習って、別れを告げる。
この体を脱ぎ捨てる時のことを想像してみる。

♪生きている不思議 死んでいく不思議
♪花も風も街も みんなおなじ

人はどこから来て、どこへ帰るの?
この世にあるもの全て、移りゆく。
私も自然のひとつとして、
自然に生きて行けばいいのね

♪呼んでいる 胸のどこか奥で
♪いつも何度でも 夢を描こう

「もうダメだ」とくじけたことが何度あっただろう。
消えてしまいたいと祈った夜もあった。
だけど、ちゃんと私は起き上がったよ。
胸の奥で、「負けたくない!」と小さく叫んでいる私がいる。
「もう一度!」の声に立ち向かう力が私にはまだ、ある。

♪悲しみの数を 言い尽くすより
♪同じくちびるで そっとうたおう

愚痴とか文句とか・・・つい、言っちゃう。
その後で、いつも、弱い自分が嫌いになるよ。
だから、なるべくならやめよう。
代わりに、この歌を口ずさもう。

♪閉じていく思い出の そのなかにいつも
♪忘れたくない ささやきを聞く

辛かった、長年、私を苦しめた思い出も
やっと「過去」のものにできそうよ。

グチャグチャに絡んだままだった思い出の糸を
ゆっくりと、ゆっくりと時間を掛けて
丁寧に解きほぐし、一本のまっすぐな糸にできた。

今となっては、つまらないことだったとさえ思う。
こんなに悩むほどのことではなかったと。

だけど、だけど、
やはり、思い出す度、胸に冷たいしずくが落ちる。
少女だった私の気持ちが蘇る。

とても悲しく、切なくて、つらいけど、
私の大事な思い出。
彼を好きだった気持ち。
どうしようもなく気持ちが擦れ違って、戸惑ったことも。
彼を彼女に奪われ、絶望した、あの夜も。

もうずっと前のことなのに、
思い出すと、涙が溢れる。

♪こなごなに砕かれた 鏡の上にも
♪新しい景色が 映される

家の前に公園がある。
そこに植えれられている決して大きくない一本の木。
その木が、4年前のある日、荒っぽいせん定をされ、枝を失った。

無惨な姿だった。
こんなに切られてしまっては枯れるんじゃないか?と思った。

しかし、その後、その木は二股の枝を伸ばし、
少しずつ葉をつけて行った。

バッサリと頭を落とされ、年輪の見える切り口の
そのすぐ下から二本の小さな枝を伸ばす木。

・・・・それは、「私」のような気がした。
一度は、もう生きていられないと思ったけど、
やっぱり、しぶとく生命を維持して、
二人の娘を得た。

木の二本の枝も、今ではこんもりと葉が茂り、
一度は全ての枝を落とされた、あの時の面影はない。

・・・やはり、あの木は「私」かもしれない。

♪はじまりの朝の 静かな窓
♪ゼロになるからだ 充たされてゆけ

ずっと、つきまとっていた苦しみ

・・・・どうして私を愛してくれなかったの?
・・・・どうして、私を裏切ったの?
・・・・謝って欲しい。
・・・・後悔していると言って欲しい。
・・・・もう一度、私に愛を誓って欲しい!

忘れたいのに。
もう、とっくの昔の出来事なのに、
全く過去の物にならず、突然、フラッシュバックする。

そのたび、いまだふさがらないままの胸の傷口から
鮮血がしたたるのを感じ
・・・そんな自分にげんなりする。。。

この苦しみは永遠に私につきまとうのだろうか?
私が私である限り、
地獄に堕ちても、きっと、きっとついてきて
私を責めるに違いない・・・・。

そう悩んでいたのが4年前。
あれから、少しずつ少しずつ・・・
友人の力にも支えられ、
やっと、落ち着いて振り返ることができるようになった。

苦しかった気持ちが消えていく。
迷宮の中でもがいていたけれど、やっと出口を見つけられた。

こんなふうに生まれ変われる日が来るとは思わなかった。

♪海の彼方には もう探さない
♪輝くものは いつもここに
♪わたしのなかに 見つけられたから

もう一度、あの人に会いたかった。
もう一度、笑って話せたら。
愚かだった私を許してもらえたら。
私のことを本当に愛していたと、それだけを言ってもらえたら・・・

ずっと、そればかりを願っていた。
それができるまでは死んでも死にきれない、とさえ。
だけど・・・

「あの人」はもうどこにもいない。
私が求めているのは「あの日、あの時」の彼。
この世に存在しているのは、
もしかしたら、もう結婚してパパになっているかも知れない彼。

その彼と、もし会ったって・・・話すことなんてない。

それに・・・
本当は私だって知っている。
彼が私を心から好きでいてくれたことを。
どんなに大切にしてくれていたかを。
結末は辛かったけど、確かに心が結び合っていた瞬間だってあった。
その想い出は、この胸の奥にちゃんと大切に残っている。

別れも・・・
残酷だったけど、
・・・誰のせいでもない。
人を恨んだこともあったけど、
今ならわかる。
誰も悪くなかった。
彼も、私も、そして彼女も
それぞれに精一杯だった。

私は今、とても幸せ。

私を必要としてくれる子供らがいる。
私に抱かれて目を閉じ眠る娘達が。

私の声に優しく応えてくれる人達もいてくれる。

一方的に体重をかけて、もたれかかるのでなく、
支え合って、
助け合えていける人達が。

生きていくこの道は、良いことばかりじゃない。
時につまづき、膝をすりむいたり、捻挫したり・・・

ぬかるみにはまって立ち往生することも。

でも、豊かな道を歩いていると胸を張れる。
これが私の道。
誰も代走はできない。
この足で歩いて行く。

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2002年の日記再掲

…この頃はやっぱりまだ病んでいたわ〜

私のブログ 夢で逢えたら… に同じ記事があります

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