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急性壊疽性虫垂炎で緊急手術

手術室へ入っていく子どもの姿を見送るーーー

そんな日がくるとは。


14日(火)

午前1時くらいに長女が腹痛を訴え、

薬を探しにやって来て起こされた。

 

まずは太田胃散を飲ませてみたが、どうも良くならず

結局一晩中、長女は苦しみ、

私や主人も睡眠不足のまま、朝を迎える。

 

その時点では、6月にかかった感染性胃腸炎に、またかかったのだろうと思い、

近所のクリニックへ行くように言い、私は出勤。

 

38度の熱があった長女は、ちょうど文化祭の代休で家にいた次女に付き添いを頼み

昼前に受診。

やはり、感染性胃腸炎の診断で、薬をもらう。

 

その時は割と体調が良かったらしく、点滴はなし。

昼過ぎ、私は帰宅、長女の様子を見、昼食の少量のきつねうどんを作る。

それは食べたものの、やはり長女は具合が悪そう。

 

深夜、ますます痛みが増してきたようで

呻き、泣き叫び、涙をこぼすようになり、

これは救急診察を受けるべきと判断、

主人が車を出し、救急病院へ。

 

15日(水)

午前0時頃、病院着。 

待合で待つ間も、長女は非常に苦しそうで歩けず、車椅子を借りた。

採血、CTを撮り、検査。

近所のクリニックで診断された「感染性胃腸炎」ではない、との診断。

激しい下痢や嘔吐を起こすはずなのに、その症状は全くなかったため、私も納得。

 

医師が虫垂炎(盲腸)のある右下腹部を押しても、長女は左側が痛いと言う。

CTでは腸が炎症を起こしている様子がはっきりと写っていた。

卵巣も腫れているようだ、もしかしたら破裂しているかもしれないと医師が言う。

しかし、正面からのCTでは卵巣は正常に写っているようにも見えるらしい。

そもそも卵巣は、とても写りにくいのだそうだ。

 

卵巣破裂は、まさかないだろうと楽観的に思った。

血液検査の結果、炎症を示す白血球の数値がとんでもなく高く、

とにかく痛み止めと点滴をし、そのまま入院に。

現時点での病名は、骨盤内腹膜炎。

午前4時、私のみタクシーにて帰宅。

そして、2時間後の午前6時に起床、朝食の準備。

 

午前10時くらいに病院から電話があり、

さらに詳しい検査のため、造影剤を使ったCTを撮ることの許可を求められる。

長女の熱も下がらず(38.2)、痛みも全く和らいでおらず苦しんでいるとのことで

すぐに検査に取り掛かってもらうよう依頼。

 

午前11時、病院へ。

盲腸の可能性と卵巣の可能性が両方、疑われるとの診断。

この病院には婦人科がないため、

婦人科と外科があり、手術が即日行えるという条件の病院への転院を勧められる。

 

造影剤を使ったCTでの結果、卵巣に異常があったのか?と質問するが

やはり卵巣は写りにくく、はっきりとはわかりづらい、婦人科のエコーでの診察ならばもっと正確にわかるとのこと。

しかし、卵巣が腫れているのも確か、との返答に内心ショックを受ける。

 

一方、盲腸は昨日のCTでもちゃんと写っていた。

破裂はしていないはず。

ただ、腹水(膿?)が出ており、これがどこから出ているのかがわからない、とのこと。

 

午後、ようやく転院する病院が決まり、手続きを済ませ、

長女と二人、タクシーで向かう。

 

そこでも、またまた検査検査の連続。

 

婦人科の診察は妊婦でも嫌なものだ・・・・・。

まだ未婚で十代の長女に婦人科の診察を受けさせるのは、なんだかかわいそうな気がしてならなかった。

まさかとは思うが卵巣が破裂していたりして機能が悪くなっていたら・・・どうしよう。

まだこれから結婚をし、子どもも産むはずの娘なのにーーー

結婚をし、家庭を持つ平凡な夢を持っている娘なのに。

 

そう思うと胸が痛んだが、苦痛に耐えている長女の横で私が弱気になることもできない。

診察を待っている間も、長女はとてもつらそうだった。

 

婦人科の診断を覚悟して聞いたが、

幸い、卵巣には異常はなく、この程度の腫れは若い女性にはよくあることとの話で

本当にホッとした。

婦人科の疑いは消え、次は外科の診察を受けに移動。

 

外科医は、状況を総合して判断し、虫垂炎である可能性が高いとの診断を示した。

これから手術をすると言う。

えっ!?これから!?そんなにすぐ??

それに、親としては娘の体に傷をつけるのに「可能性が高い」では、ちょっと困る。

もし違ってたらどうするのよー!?と思う。

色々と質問した。

すると、虫垂炎の手術は、昔と違って、

おへその下を目立たないように、ほんの少し切り、

そこから内視鏡を入れて、画面を見ながら手術、

チューブを入れて、おなかの中の膿をきれいに洗うのだそうだ。

 

傷が目立たないと聞いて、少し安心したが、それでもやはり親としては

避けられるものならば手術は避けたい。

薬で散らすことはできないのか、と聞いてみたが

長女の症状ではその方法だと、とても時間がかかるし、不確実、とのこと・・・・・。

とても苦しんでいる長女の様子を見ると、これ以上、長く時間をかけてしまうのは

あまりにもかわいそうだ・・・・・。

 

そこで、長女に直接、「どうする?」と聞くと

「がんばります」とはっきり答えた。

 

そうして午後8時、

長女は車椅子に乗り、手術室へと入って行った。

私の励ましの言葉にしっかりとした表情でうなずいて。

 

二重になった手術室の扉が静かに閉じる。

中からはクラシック音楽が聞こえてくる。

しばらく扉の前に立ち尽くしていたが、様子をうかがい知ることもできない。

ただ、娘と、そして医師の先生方を信じ、祈るしかない。

 

手術は1~2時間と聞いていたのに、

2時間を経た午後10時になっても、まだ終らない。

経過状況も知らされない。

ジリジリと焦りを感じる。

万一、やはり卵巣が悪かったのだとしたら?

それで手術が遅れているのでは?

もし、そうだとしたらーーーー・・・・・・・

そんな嫌な考えも浮かぶ。

しかし、まるっきり打ち消すわけにもいかない。

その可能性だってなくはない。

万一、そういう結果になり、医師に告げられたとしても覚悟はしておかなければ・・・・

 

手術開始から3時間。

午後11時、ようやく終了。

手術は成功。

切除した盲腸も見せてもらえた。

また、手術の途中、婦人科医の先生も呼んで、直接卵巣を見てもらったが

異常はないという所見だったと聞いて、安堵。。。。

膿が溜まっていた腹内を30分かけて洗ってくれたとのこと。

病名は、急性壊疽性虫垂炎。

盲腸の中でも重いものだった。

 

麻酔から覚めた長女は酸素マスクをつけ、

39度の熱もあり、朦朧とした様子だったが、呼びかけにしっかりと答えてくれた。

そのまま、長女は救急病棟に入院。

我々は長い一日を終え、深夜に帰宅。

 

長い長い一日だった。

二日間ほとんど寝ていなかったため、極度に疲れた。

長女の入院はこの後、まだ続くのだけど、それはまた後日に報告を。


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2010年9月の日記再掲

あれから9年、長女の手術のあとはほとんどわからないくらいになっています。

私のブログ 夢で逢えたら… に同じ記事があります。

手術後の日記↓

「盲腸は切ってからが更に痛いらしい」

も良かったら読んでね〜!

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