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「俺、つしま」

Twitterで知り、毎回楽しみに読んでいる「俺、つしま」が本として出版された。
何軒か本屋を見かけるたびに探してみたのだが、どうも見つけることができず、欲しい本はやっぱりネットで申し込む時代になってるのねぇ…と思っていたところ、なんと!意外な場所で“つーさん”と遭遇!

義父が入院している緩和ケア病棟の本棚に並んでおり、思わず手に取った。
ここには他にも良い雑誌や本が並んでいる。
ゆったりと広い造りの緩和ケア病棟のフロアはベッドごと移動して、外の空気を吸いにテラスへ出ることも可能。
(車椅子に乗ることも困難な患者が多い。)
全て個室の病室の窓からも、景色が見える。(通常、病院の窓は高い位置にありベッドから景色はほとんど見えない。)
冷蔵庫やテレビ、コインランドリー(ドラム式の乾燥機付き!)も自由に使用可。

転院前、急性期病院の大部屋に入院していた時はストレスからの耳鳴りや頭痛を訴えていた義父だが、
こちらへ移ってからはすっかり穏やかな表情で、なんだか元気になったように見えるくらいだ。
「良い所を探してくれてありがとう。」と言ってくれている。

ご存知の通り、緩和ケア病棟へ入院できる患者は限られている。
リンパ節、骨に転移している末期のがん、余命一~三ヶ月以内。
そう宣告された割に、義父は今のところまずまずの感じで入院生活を送っている。食欲も旺盛だ。
宣告された時から既に一ヶ月経ってるんだけどね。

雑学王の義父との会話は毎回、知性と教養を試される。
…ああ~!そういう単語、聴いたことある~!という程度にしか知らない言葉がバンバン出てきて、詳しい解説をしてくれる。
全く知らない言葉の時はスマホで検索!
…いやぁ~、ほんと便利な世の中になりましたわ。
検索すれば写真も出てきて、私も「なるほど!これのことか。」とわかるし、
義父も「ああ!これこれ!懐かしい。」と喜ぶ。
私は自分の知らない話をしてくれる人が好きなので、義父のことも好き。

そんなふうにおやつを食べながら、のほほん生活をしているというものの、
やはりここは緩和ケア病棟。
全員、重篤な患者とその家族。
深い悩みとストレスを抱えた人ばかりなのだ。

広々としたガラス窓から景色を一望できるロビー。その本棚にこの「俺、つしま」があるのはセンスを感じる。
ロビーのチェアーに座り読んでいると、看護師さんから
「それ、いい本でしょ!」と声を掛けられた。

Twitterで読んでいた話もあったが、本として改めて読むと、話の流れがくっきりとし本当に良かった。
猫の自然な姿の絵に心奪われ、
面白いエピソードにほっこりしたり、驚いたり。
そして生き物と暮らしていると必ず訪れる別れも、
全てがリアルで自然に描かれる。

相手を認めること、尊重すること、大切にすること。
失っても残る愛情。
猫との日々の生活の中に当たり前のようにあるそれらは、
緩和ケア病棟において、眩しいような光を放つ。

もちろん、気楽に読んでも楽しめる一冊。オススメ!

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2018年10月の日記再掲

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