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しかめっ面のダンス LEENALCHI / Tiger is Coming

ドラマ『最高の離婚』を観直したくなって、折角なんで未視聴だった韓国リメイク版の方を観てみようと思い先週末から観始めたら、こっちも最高だった!

分かりあえないから、傷つけあってしまうから別れたのに、別れてみたら分かりあえないのに一緒に居ることの愛おしさが分かってきて、愛おしいんだけど分かり合えないからやっぱり一緒には居られなくて…っていう(なんか言ってる内に言語が崩壊するほど)引き裂かれる感情を、二組の夫婦を軸に複雑に矢印の方向を組み替えることで見せつけてくる脚本の妙は、舞台を変えても全く強度を失うことなく、性自認などの新しい問題系を持ち込む韓国版オリジナルのキャラクターやエピソードも魅力的で、毎晩一話ずつ観進めるのを楽しみにしているここ数日。

この中で、本筋とは全く関係ないところなんだけど、ぺ・ドゥナがダンスを踊るシーンが短いながら何度か出てきて、そのダンスがすごく良いんです。
顔は無表情、というかむしろしかめっ面だったりするんだけど、体は他の誰よりも熱狂的に動きまくる、跳ねまくる。
そのコントラストが爆発する感情(あるいは感情未満の衝動)を一層強く感じさせます。
ほんとそれぞれ数秒くらいしかないシーンだけど、ずっと見てたいと思う。

今週のDiscover Weeklyに、そんなぺ・ドゥナのしかめっ面のダンスのような曲が流れてきた。
なんならこの曲に合わせてぺ・ドゥナが躍り続けるミュージックビデオとか作ってほしい。

LEENALCHI / Tiger is Coming

二本のベースにリズムマシン。本当にただそれだけのスカスカなトラックに歌が乗っかるだけ。
ボーカルにエフェクト掛けたりもほとんどしていないっぽい(なのに聴こえる謎の倍音)し、語りと歌のあわいのような独特なコブシの効いた男女四声の掛け合いだけで5分半の曲がドライブしていきます。
途中、上昇するベースラインに合わせてサウンドエフェクトが入ってきたり、ドラムの手数が多少増えたりするものの、カッティングギターすら乗っかってこないし、ほぼ上に挙げた少ない要素だけで構成されているのに超踊れるディスコチューンになってる。

恐らく韓国の土着的なものに根差していると思われる、何を言っているのかは知らないが、何やらとても情緒的な語り。それを支える平熱のベースライン。
このコントラストが、あのペ・ドゥナのしかめっ面のダンスを想起させるのでした。

「そういえば!」と思って、少し前に後で読もうと思ってチェックしてあったこちらの記事を読んだら、このLEENALCHI (イナルチ)というバンドについてばっちり解説されていました。超勉強になるー

「パンソリ」という韓国の伝統音楽の特徴について、全然知識はなかったんですが、実はそろそろDiscover Weeklyにこういうタイプの曲が流れてくるのを期待してもいたのです。
というのも、正月休みにこんなプレイリストを作って最近ヘビロテしてたから。

ご多聞に漏れず Dynamite きっかけで昨年秋頃から BTS を聴き始めたにわかファンですが、ほんの一年前、というか Dynamite がリリースされるまでは BTS って何やらアメリカですごいことになってるらしいけど、多分あんまり自分の音楽の好みには引っ掛かってこない「現象」なんだろうなーくらいに思って全く聴こうともしてなかったんですが、大変浅はかでした。
そこで、BTS が自分とは縁のない現象だと決め付けていた一年前の自分の頬をぶん殴るようなプレイリストを作ってやろうと思ってまとめたのが上のプレイリスト。

自分用に作った訳だから当然自分的に最高なプレイリストになってる訳だけれども、特に冒頭6曲の流れでとても気に入っているのです。
同年の Kendrick Lamar with SZA "All The Stars" なんかのサウンドに素早く反応している2018年のRMソロ曲でグッと引き付けて、続く "Go Go" ~ ”Siver Spoon(ペップセ)" ~ SUGAソロの "Daechwita" ~ "IDOL" の4曲は(パンソリの要素なのかは分からなかったけど)全てペンタトニックスケールのリフが東アジア的なイメージを強調するラップ曲。そしてここで一転、クラシカルなジミンソロ曲 "Lie" その超アクロバティックなサビの転調。
このプレイリストをいつも頭から聴くもんだから、BTSの曲の中でも伝統音楽的な色の強い曲(Daechwitaa と IDOL については前出の記事でも言及されてる)を中心に聴いた履歴が残ったはずで、これは来週辺りこんな感じの曲がやってくるんじゃないかと予想してた訳です。

そして、こうしてひとつの曲についてのnoteを書く時にはその曲を何十回とリピートするので、それがまた次の週の結果に影響を与えていく、と。
そんなことを書いていたら丁度こんな記事が。

「今選んでいる自分の ”好き” は本当に自分の自由意思によるものなのか?」みたいな疑念って中学生くらいの時に芽生えて以来ずっと持ってる気がしてますが、いろんな興味がアルゴリズムに支配されていっているかもしれない時代に、なんとかそれをハックしていきたいなーと思いつつ、今年もたまにこの投稿を続けていこうと思います。

相変わらず話があちこち飛んで要領を得ない記事になりました。
今晩は『最高の離婚』第13話を見る予定です。





どうもありがとうございます。 また寄ってってください。 ごきげんよう。