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会話と推敲 ポッドキャストことはじめ

ポッドキャスト始めました。
2022年3月1日(火)にスタートして、毎週火曜に配信しています。

使わなくなった持ち物を持ち寄って、持ち主と工芸家が対話しながらそれらをアップサイクルできるプラットフォームを作ろうと仲間たちと準備を始めたのが2020年。
ConCra(コンクラ)と名付けられたそのプロジェクトを本格的に始動させたのが2022年3月1日。(何をもって本格的と呼ぶかは自己申告ということで…)

同日スタートさせたこのポッドキャストは、建前としてはConCraの活動を発信するチャンネルのひとつという位置付けで、工芸をテーマに作り手のゲストなども迎えながらあれこれ話すということなんだけど、実際のところは番組のパートナー、蔡海、福原志保、両氏と会話することが毎回ただ楽しくてやってます。

そもそもポッドキャストをやろうと持ち掛けた言い出しっぺは僕なんですが、音声コンテンツを広報ツールにしようと考えたことには「今ポッドキャストが熱い」みたいなことよりも、対話形式で情報を発信することが、僕たちのやろうとしているプロジェクトの性質と相性が良いだろうという予感があったからです。
ご興味のある方にはぜひ上のConCraウェブサイトをご覧いただきたいのですが、一通り読んでもらえると、恐らくコンセプトはぎりぎり分かっていただけたとしても、じゃあ具体的に何ができるの?とか、どうやってやるの?、今後どう展開していくの?ということについてはいまいち像を結びきらないと思うんです。実は僕たち自身もそう。
なので、ここはもう巻き込む人の数を増やしながら対話と実践を続けるしかないなと思ってやっているのがこのポッドキャストと、その中で繰り返し語ることになるコンクラ・コレクティブというやつです。

ガチガチにプログラムを組んでスタートさせた訳ではないものの、収録期間も含めて2ヶ月ほど続ける中で番組の構成も次第に固まってきました。
#001~#004はConCraのコンセプトと事例を紹介するイントロダクション編、#005~#007は民藝編、#008~#010は複製技術(印刷技術)編、そこから先はゲスト回なども増やしながら、自由にテーマを設定してやっていこうと考えています。


ところで、noteの投稿は昨年末以来4ヵ月ぶりなんですが、文章を書き綴って公開することと、会話を録音して公開することの特性の違いが、リスナーとしていくつかのポッドキャストを聴く中でもなんとなく見えてはいたものの、実際にやってみることで更にはっきりと捉えられるようになってきました。
それは、一言で言えば「推敲のできなさ」です。

僕は自らの文章の下手くそさに後から愕然とすることが嫌なので、一度書いた文章はとにかく寝かして、数日経って、別の人間が書いたもののようにそれを読み、意味が分からんとか冗長だと感じたところは改稿し、また寝かして、また他人事のように読んで、と繰り返します。といって、別に大した文章に仕上がる訳でもないんですけど。
それでもこのプロセスそのものに、わざわざ自らの考えを文章として起こすことの効能があるとも思っています。最初に思いついた考えをいろんな角度から眺め直す感じ。
一方で、最初に勢いでばーっと書いた衝動をソフィスティケートさせていく作業でもあるし、ひとつのストーリーとして都合良く帰着させて、自らそれを信じ込ませるような側面もあります。

対して、会話を録音して番組として公開する時には、こういう推敲はほぼ出来ません。「ほぼ」と書くのは、それが必ずしも無編集ではないからです。聴いている人に意図が伝わりにくくなると感じられるような回り道、言い淀み、言い間違いを編集でカットするということを実は結構やっています。言い淀みや言い間違いにこそ宿るニュアンスだってあるので、やり過ぎないようには心掛けていますが、それでも公開されている自然に聴こえる会話が編集の手が加わったものであることは事実です。

但し、音声の編集は当然文章の推敲と同じようにはいきません。
例えば、話題の前後の順を自然に入れ換えるようなことは、余程偶然が重ならない限り不可能です。会話の中に登場する代名詞は前の話題を引き継いだものになるし、僕たちの発話するテンションは、会話の中身によって常に微妙な浮き沈みを繰り返しています。声以外の環境音がうまく繋がらないということだってある。
言い忘れたことがあったとしても後から録音して足すことはできず、その会話が不完全な結論にしかたどり着かなかったとしても、それがその会話の全てです。

実際は録音ボタンを止めた後も、僕たちの会話は続きます。
「今のテーマだったらあの話しときゃ良かったなー」などと言い合います。だけど録音をスタートさせてからそれを止めるまでの時間の連なりの中に後から介入することはできません。文章ならいくらでもそれが出来るけど。
ポッドキャストの編集作業を終えた後にこうして文章を書いてみると、この取り返しの付かなさが、音声メディアの特性であり魅力なんだと気付かされます。
数ヶ月触っていなかった内にリニューアルされていたnoteのエディタには、まさに話の順番を入れ替えやすいように、段落ごとドラッグして移動できる機能が実装されていました。


さて、僕たちのポッドキャスト「Cra出しRADIO」は始まったばかりで、これからどんどん形を変えていくこともあるでしょう。それでも、この後何年にも亘って続けていけそうな感触をすでに掴みつつあります。
それは、ここには「対話」があるから。
だからこそ、毎回必ず自分独りで考えるのでは辿り着けなかった場所まで行き着くことができるし、次に語るべきテーマが見つかるし、何よりそこに驚きや喜びがあります。

工芸をメインテーマに掲げているものの、これってある意味では人間のあらゆる営みを包含するテーマなのかもしれないというくらいに思っています。とかいって、あんまり工芸という言葉を拡大解釈し過ぎると、それはそれでフォーカスがずれてしまうので、掘り下げるところはちゃんと掘り下げられる番組にしていきたいと思っています。
工芸に興味のある方もない方も、一度聴いていただいて番組をフォローしていただけると嬉しいです。

それでは、Cra出しRADIOでお会いしましょう。


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