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大雪

この冬は一度降りだした雪がなかなか溶けなくて、その上に幾度も重なっていくから膝を越えて腰まで積もった。
こうなるとただ生活していくのも一苦労。家を出るのに雪かきしたり、そして道路が大きな除雪車でしっかり雪が除かれるのを待つはめになったり。
この街の人にとって雪は止めようもない、災難でしかなくて、雪だ雪だと無邪気にはしゃぎ回っているのは子供たちくらい。

私は家に建つハウスの守りがいつまでもいつまでも終わらなくて、仕事が終わったら即ハウスに走って、屋根から滑り落ちて側にうず高く積もった雪を遠くにどかして、屋根に積もる状態にしないようにしなくてはいけなかった。
さすがに人力では無理なので、除雪機を動かすのだけれど、ゆうに一メートルを超えた雪は機械の倍以上ある。キャパオーバー。進まない。
しょうがないから、機械が動けるようになる高さまで人力でかいてやる。
すごく原始的だしこのご時世にこんなことするのかとも思うけれど、今自分にはこのくらいのことしか出来ないのは明らかで、もどかしい。

ただ、黙々と手を動かし続ける。どれくらいで終わるかもわからない。でも200万を潰せない。潰す訳にはいかない。そのことだけが明白だ。それに単純に動いていないと、本当に寒い。動く最中は汗をかくくらいだが、考えて手を止めてしまえば、すぐに凍てついて死んでいまいそうだ。

今はただ、少しずつ温かくなって、この憎き雪が溶けだして、田畑を潤して、飲み水となって自分達に恵みをくれる季節を待っている。まだまだ遠いっぽい。

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