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帰省

帰省しようかと思ってるときに連絡が入り、本人とその交際相手のふたりから一緒に連れてってくれないかと言われたので、1人の運転が3人になった。

ふたりはまだ大学生で、昨日も飲み会だったのでしんどい~と言いながらも元気よくしていた。これから実家に帰って親に挨拶しに行くらしい。
緊張する、どうしようなんて言い合っている。何を喋ろうかと聞いてきたから、そんなことを考える必要はない。あなたは黙ってニコニコして、質問に答え、これからもこまめに相手の様子を連絡してあげるのが一番だよと答えた。我ながらおばさんみたいなことを言った。だがこれが正解だからな。

目的地まで送って別れた。その後地元の友人に会った。腕には二ヶ月の赤ちゃんがいる。可愛い盛りだ。大変かと訊ねたら、大変だけど、でもどうにかしてきてると。なんとかしなきゃ他にどうしようもないよ、自分しかいないんだもんと少し困った顔で笑っている。そうだよね。
いつも答えは決まっているようなことを聞いてしまうくせに、そうだよねしか言えないから自分はたちが悪いなと思いながら、コーヒーを飲んだ。

解散した後、ふたりはどうなったのだろうと思い連絡すると、もう終わったから遊んでいる、大丈夫だったと安堵していた。それからとめどなく、私の仕事の話を聞かせたり(私の今のブームは自分の生産物をどうしたらいいのかを人に相談しまくること)、まだ学生のふたりは今なにをしてて、なにを考えてるのかとか、ひたすら喋った。
今頑張って成績良かった順からゼミ好きなの選べるから頑張ってるとか、部屋を引っ越そうかなとか、楽しそうにしていた。

ふたりとも別れて買い物を終え、帰り道を走る。今度はひとりでの運転だ。
好きな曲をかけながら静かに集中するこの作業が得意ではないけど好きではあるなと思う。
今日のことを思い出しながら耳を傾ける。

友達の子供は次会う頃には首がすわるだろうか。少し間があくと、あっという間に人の想像を超えて喋っていたりするからいつも赤ちゃんには驚かされる。
ふたりは今度は次は今なにをしてると言うんだろうか。きっと考えもしなかったことを突然言われたりするんだろう。
日々新しいことをどんどん吸収していくのだから、楽しいよな。私にはできないことも出来るようになるのだろう。
若さって、綺麗だ。
素直にそう思った。そしてちょっと泣いてしまった。自分でも突然涙が出てきたので驚いてしまう。
羨ましいのだろうか。妬ましいのか。
そうかもしれないけど、だけど、ただただ、美しい
と思う。なににだってなれるんだ、この人達は。

選択すれば自分だって、なにかにはなれるだろう、ただ失うものも多いのも見えている。そして簡単には下ろせない荷物になると分かっている。

応援しよう。これから何かをするかもしれない人を。そしたら、何にもなれないかもしれない自分にも、少し光を照らしてくれ。

家に帰ってテレビをつけると、明日からは雨、今日も夜3時から降りだすでしょうといっている。
きっとこんな天気だから、少し気が滅入ったのだと思った。

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