種をまく

外が暖かくなりだしている。舗装されてない道を歩くと、端にふきのとうがちらほら芽を出しているのが見える。ようやく春が来始めている。

今日は種をまいた。パプリカ、トマト、とうがらし、なすやらなんやら。先にまいた分はとっくに発芽して双葉を広げだした。
これから5月頃までは、多くの苗ものが忙しい時期だ。水やりや温度の管理が毎日のサイクルの大部分を占めるようになってくる。

苗半作、という言葉がある。
苗が上手に出来れば半分成功したようなものということ。それくらい育苗は重要であり、また同時に難しさも表している。

朝、水をあげるとすぐ反応が返ってくる。
しなっとしていた葉は、水を吸ってしゃんとする。少し色褪せていたのが、みずみずしい緑に変わる。
次の日に覗いたときには、もう次の葉を広げようとしている。
けれど水が足りなければまた元気を失っているし、多すぎると濃い緑色していた葉は薄くなり、だんだんひょろひょろとしていってしまう。

こいつらはこっちの都合なんか知らずに、どんどん成長していく。完全にコントロールしようとしたって出来ない。ただ上に上にと伸びていくだけだ。
誰の言うことも聞かない。自分の置かれたところで勝手に好きにやるだけ。
そしてこちらはそれをいかにどういう方向に向かせるか、必死こいて考えるだけだ。 それが難しくて、辛くもあるのだけど。

けれど好き勝手にしている苗がなんだか好きで、時に憎くて、でもそれも楽しくて。
だから私はこの時期がいつもいつも待ち遠しくて、楽しみで仕方ないのだ。

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