11月米雇用統計は予想を大幅に上回るも、対中追加関税の期限迫る
米国株式市場は続伸。堅調な米雇用統計や米中通商合意を巡る楽観的な見方を追い風にリスク選好の動きが強まった。
主要株価3指数は軒並み、先週記録した最高値に1%に迫る水準で推移。しかし、米中貿易問題を巡る相反する情報やまちまちの経済指標を背景に、週足で上昇したのはS&P500総合のみだった。
11月米雇用統計は予想を大幅に上回る
11月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が前月から26万6000人増と予想の18万人を超えて増加し、伸びは10カ月ぶりの大きさになった。失業率は3.5%と、前月の3.6%から低下した。
インバーネス・カウンセルの首席投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は雇用統計について「経済の基調的な強さを示した」とし、とりわけ米中通商合意を巡る不透明性を踏まえると、「企業に自信を与える内容」と述べた。
バノックバーン・グローバル・フォレックスの主任市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「きょう発表された雇用統計が堅調だったことは疑いないが、経済に対する見方を変更させるほど堅調だったのかというと疑問」と指摘。「米経済は依然として軟化しており、きょうの雇用統計によって第4・四半期の国内総生産(GDP)に対する予想が変わるとは思えない」と述べた。
ニューバインズ・キャピタル(ニュージャージー州)のマネジングディレクター、アンドレ・バコス氏は「このところやや軟調な経済指標も見られる中で、今回の雇用統計は経済状況の力強さを裏付ける内容だ」とした上で、景気が減速しているという見方に異論も出てきそうだと述べた。
米中通商協議は以前近い
対中追加関税の発動期日が15日に迫る中、米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長はこの日、「建設的に協議している。ほぼ毎日話し合っている。われわれは近い」と述べた。
総括
このところ不調だった米雇用統計が復調したが、これが一時的なものかを見極める必要かある。
また、ここ1ヶ月の米中通商協議の進展について詳細な情報がないことから、12月15日の追加関税は発動してしまう可能性が高い。
そうなると、これまで米中貿易の進展期待で上がった株価は下がる一方だ。
今週は一つのターニングポイントと言えるだろう。
出典
ロイター 12/9 米株続伸、堅調な雇用統計や通商合意巡る楽観的見方で
ロイター 12/9 NY市場サマリー(6日)