米国市場、中国株の廃止を検討

米国株式市場は下落して取引を終えた。トランプ政権が米証券取引所に上場する中国株の廃止を検討しているとの報道を受け、米中貿易摩擦が激化するとの懸念が高まった。

米国市場、中国株の廃止を検討

 トランプ米政権が米証券取引所に上場する中国株の廃止を検討していることが、複数の関係者の話で分かった。米国から中国企業への投資を制限するための方策の一環という。ある関係筋は、中国の活動を巡ってトランプ政権が安全保障上の懸念を強めている証拠だと指摘した。

ただ、具体的にどのように中国株を上場廃止にするのかは不明。

米議会は今年6月、米国に上場する中国企業に対し、米当局による監督受け入れを義務付ける法案を提出した。現状では中国の法律で監査資料の開示などが制限されているが、同法案が成立すれば、財務情報の開示が必要となり、要件を満たさない企業は上場廃止処分となる。

ある関係筋は「これはトランプ政権にとって非常に優先度の高い問題と言える。(公開会社の監査を監視する)公開会社会計監視委員会(PCAOB)の手続きに従わない中国企業は米国の投資家にリスクをもらたす」と述べた。
また複数の関係者によると、株価指数に採用されている中国企業への制限方法についても検討されている。ブルームバーグによると、いかなる提案もトランプ氏が最終的な是非を判断する。

中国外相、関税や貿易摩擦がリセッションを招く

中国の王毅国務委員兼外相は27日、国連総会で一般討論演説を行い、関税や貿易摩擦が世界の景気後退(リセッション)を招く恐れがあるとし、中国政府は「冷静かつ理性的、協調的に」問題を解消することにコミットすると表明した。

同相は「壁を作ることは世界が直面する課題を解決しない。自国の問題について他国を責めることも奏功しない。世界大恐慌から得た教訓を忘れてはならない」と言明した。
トランプ米大統領に直接言及することは避けつつも、「関税や貿易摩擦を誘発する行動は世界の産業・供給チェーンを混乱させ、多国間の貿易体制や世界の経済・貿易を巡る秩序を弱体化させる」とし、「世界をリセッションに陥れる可能性もある」と警鐘を鳴らした。

関係筋はこの日、トランプ政権が米証券取引所に上場する中国株の廃止を検討していることを明らかにした。さらに米国の対中投資を制限するための方策を検討しており、中国に流れる米国のポートフォリオ(金融商品)資金を抑制する案も検討しているという。

王氏はまた、トランプ大統領の対北朝鮮政策を念頭に、朝鮮半島における新たな動向を踏まえ国連が対北朝鮮制裁決議を緩和することを検討するよう促した。その上で「非核化と和平メカニズムの実現を平行して進め」、段階的に信頼を確立することが、前進するための「現実的かつ実行可能な」方策と強調した。

総括

株価が上昇すれば強気になるトランプ大統領。
また、通商協議が近づけば牽制の発言も多くなる傾向がある。

10月10-11日の通商協議は、中国の米国農産物の購入と米国の追加関税延期分の中止という結果になると予想する。

というのも、6月の首脳会談をもってしても貿易戦争は進展していない。
であるならば、今回の通商協議で話が進む部分はその時点からマイナスになった事項の解決である。
それは、米中ともに発した追加関税の中止が考えられる。

但し、この結果になった場合、短期的に貿易戦争の先行きが好転しても、6月の首脳会談の状況から好転していないため、中期的には徐々にマイナス心理が強くなっていくだろう。

10月はギリシャショックなど、経済的事件が起きやすい月である。

貿易戦争の他にも、英国EU離脱や、ソフトバンクのwework上場問題など経済的ショックの火種はあるため、常にアンテナを広げて注意が必要である。

出展

ロイター 9/28 米国株は下落、米上場の中国株廃止巡る報道で

ロイター 9/28 トランプ政権、米上場の中国株廃止を検討か 対中投資を制限

ロイター 9/28 関税や貿易摩擦、世界を景気後退に陥れるリスク=中国外相