【中米貿易戦争】追加課税第4弾は放たれるか?背水の通商協議開始

米中両政府は9日、ワシントンで貿易問題を巡る閣僚級協議を開始した。
米国は2千億ドル(約22兆円)分の中国製品に課す制裁関税を10日に現在の10%から25%に引き上げる構えで、中国も対抗措置を表明している。
協議が不調に終わり関税拡大を実行に移せば、二大経済大国による貿易戦争が激化して世界経済の重荷となりかねない。

米貿易赤字、対中赤字は5年ぶり低水準

米商務省が9日発表した3月の貿易赤字は前月比1.5%増の500億200万ドルだった。市場予想は502億ドルだった。トランプ米大統領が掲げる「米国第一主義」政策の中心的な課題である対中貿易赤字は16.2%減の207億4900万ドルと、2014年3月以来の低水準になった。

バンク・オブ・ザ・ウエスト(サンフランシスコ)の首席エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「米中が通商協議を本格化させる中、今回の統計で貿易赤字の縮小が確認されたことで、トランプ大統領は関税措置は意図された通りの結果をもたらしたと胸を張るだろう」と述べた。

追加課税第4弾も準備

トランプ氏はこの日、これまで追加関税の対象になっていない3250億ドル相当の中国製品に25%の関税を発動する「書類上の手続きをきょう始めた」と表明した。

こうした動きに対し、中国側もこれまでと同様に対抗措置を行うとみられ、実質的に米中間のすべての貿易が追加関税の対象となる。携帯電話やコンピューター、衣類、おもちゃなどの消費財が特に打撃を受ける見込み。

中国、報復と対話を通じた解決に期待

中国商務省は9日、米国との貿易戦争において自国の利益を守る用意が十分にあると表明した。
その上で、米国が一方的な措置でなく対話を通じて問題を解決することを期待するとした。

商務省の高峰報道官は記者団に対し、中国には国益を守る決意と能力があるが、米国が歩み寄ることを期待すると述べた。

通商交渉のプロセスは長く、意見の相違があることは普通だと指摘。中国は貿易を巡る対立の解消に向けて米国と協議を続けることに前向きだとした。

トランプ大統領中国から「素晴らしい書簡」

トランプ氏はこの日、中国の習近平国家主席から「素晴らしい書簡」を受け取ったと明かし、「習主席とおそらく電話で会談するだろう」と発言。
また米中通商協議が今週合意に達する可能性があるとの見方を示した。

これを受けて、大きく下げて始まった米国株式市場は下落分を一部取り戻した。原油価格もこの日は下落した。

総括

両国の報復のラッシュが続けば、世界2大経済大国の消耗により、世界経済への打撃は確実。

9-10日の背水の通商協議で、
①協議決裂
②中国側が求めた合意文書案の大幅修正を撤回
③追加課税はありつつ、中国の譲歩によりさらに合意にむけて協議をしていく
の3つの結果を予想できる。

トランプ大統領は当然②を所望しているが、中国からの「素晴らしい書簡」及び通商協議の基準がどこか。

最悪のシナリオ①は避けてほしいところです。