貿易戦争・EU離脱ダブル不安定ひろがる。焦点はG20

通商問題で対立している米中の激しい応酬は23日も継続し、米政府が事実上の輸出禁止規制を導入した中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]について米国務長官が「中国共産党との関係を巡り嘘をついている」と批判したのに対し、中国は通商協議を継続するには米国は「誤った行動」を正す必要があると訴えた。米中通商摩擦が「ハイテク企業を巡る冷戦」に変貌するとの懸念から、世界的に株価が下落している。

米国では前日、議会の超党派グループが通信業者がファーウェイの機器をネットワークから排除する際のコスト軽減に向け、約7億ドルの補助金を提供する法案を提出した。

こうした事態に中国は反発。中国商務省の高峰報道官は23日の定例記者会見で「米国が通商協議の継続を望むのなら、誠実さを示し自らの誤った行動を正すべきだ。対等と相互尊重に基づく場合にのみ、交渉は継続できる」と述べ、事態の進展を注視し、必要な対応を準備する方針を示した。

日本や欧州もファーウェイとの取引を停止する企業が相次いでいる。

各市場が懸念により下落

23日の取引で、原油先物相場が約5%下落。米中貿易摩擦の激化が原油需要見通しに影を落とす中、1日および週間の下げとしては半年ぶりの大きさとなる勢い。

NY株式市場も一時300ドル下落した。

経済への影響拡大の不安拡がる

サンフランシスコ地区連銀のデーリー総裁、
リッチモンド地区連銀のバーキン総裁、
アトランタ地区連銀のボスティック総裁、
ダラス地区連銀のカプラン総裁の米連邦準備理事会(FRB)当局者4人はそろって、今後数カ月で予想される上方リスクについては、貿易摩擦の緩和もしくは解決が鍵を握ると指摘した。

このうちカプラン総裁は2、FRBが次に取る金利政策について「さっぱり分からない」という認識を示した。

貿易戦争が経済への不透明さに多大な影響を示していることがわかる。

そんななか、パーデュー米農務長官は23日、トランプ大統領が計画している160億ドルの農家支援策が新規市場の開拓などに寄与し、米中貿易摩擦の打撃を受けている農家を支援するとの認識を示した。
農家支援策を巡っては、農務省が同日中に詳細を発表し、トランプ大統領もホワイトハウスのイベントで演説する予定となっている。

欧州も混乱へ

メイ英首相の報道官は23日、首相が新たに提示した欧州連合(EU)離脱案を巡る与党議員らの懸念に耳を傾ける意向だと述べた。一方、英紙タイムズはメイ氏が24日に辞任を表明する見通しだと報道。
6月7日までに同案を提出する予定。

この報を受け、欧州市場は下落した。

総括

貿易戦争の焦点はG20に合わせて開催される米中首脳会談にある。
ここで通商協議に合意がなされ、関税が炭水化物緩和されれば、世界経済、特に中国は救われる。

株式市場は6/28-29まで我慢が続きそうです。

出典

ロイター 5/24 ファーウェイ巡る米中応酬激化ハイテク冷戦」懸念で世界株安
ロイター 5/24 原油先物5%安、米中貿易摩擦が圧迫 WTIは半年ぶり安値
ロイター 5/24 米FRBの金利政策、次の動きは不明=ダラス連銀総裁
ロイター 5/24 貿易摩擦巡る不透明性、最大の下方リスク=米FRB当局者4人
ロイター 5/24 英首相、EU離脱新提案巡り協議 24日に辞任表明の報道も