株式市場は回復の基調、だが懸念の先行きはなお不透明

米国株式市場は買いが優勢となり、ダウ平 均株価は249ドル値上がりしたほか、ハイテク株の多いナスダック総合指数<.IX IC>も8000ポイントの大台を回復して取引を終えた。中国やドイツの景気下支えに向 けた動きを受け、世界経済に対する悲観的な見方が和らいだ。

しかし、世界経済を不透明にさせている要因の先行きは依然明るくない。

🇺🇸🇨🇳ファーウェイの禁輸措置を延長

まずは米中貿易戦争だ。

米国のロス商務長官は19日、米政府が中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に対する米一部製品の禁輸措置の執行猶予を11月18日まで90日間延長すると明らかにした。ファーウェイは、一時的な猶予延長で不公正な扱いが変わるものでないとコメントした。

ロス長官はフォックス・ビジネス・ネットワークに対し、19日に期限切れを迎える「一時的な一般ライセンス(TGL、temporary general license)」を90日間延長すると述べた。
同時に、米政府が安全保障上の懸念がある企業を指定した「エンティティー・リスト」にファーウェイ関連企業46社を追加したことも明らかにした。今回の追加により禁輸措置の対象となるファーウェイ関連企業は100社を超えた。

ロス長官は今回の延長は地方のネットワーク事業者などファーウェイの顧客である米企業のために実施すると指摘。「(ファーウェイとの)関係を断つためにもう少し猶予を与える」と語った。その後の声明では、他社製品への乗り換えに伴う障害を回避するにはさらに時間が必要と判断したと説明した。

また、米企業に絡む11月以降の展開については「誰もが十分な通知を得ており、大統領とも相当議論している」とした。
商務省は声明で「安全保障や外交政策上の脅威が根強い中、90日間の延長はファーウェイ製品からの移行に必要な猶予を全米の顧客に与えることを目標としている」と表明した。
ファーウェイは声明を出し、この日の決定について「事業に大きな影響を及ぼすものでない」とし、関連企業46社のエンティティー・リスト追加に反対する立場を示した。「この時期に下された今回の決定は政治的な動機に基づくもので、国家安全保障と全く無関係なのは明らか」とコメントした。

🇬🇧合意なき離脱への妥協を要求

次に英国のEU離脱だ。

ジョンソン英首相は19日、ドイツとフランスに対し、英国の欧州連合(EU)離脱に対する態度を変えて、新たな協議に応じるよう求めた。ジョンソン氏は、合意が得られなくてもEUから離脱する考えを改めて強調した。
英国は期限である10月31日に離脱する姿勢を示しており、ジョンソン氏は「合意があろうとなかろうと、10月31日を迎える準備はできている」と英南東部トゥルーロで記者団に語った。
ジョンソン氏は「海峡の向こう側の友人たちは、態度を変えるのを少しちゅうちょしている」と指摘。首相としての初の外遊として21日にメルケル独首相とベルリンで、22日にマクロン仏大統領とパリで会談を予定しており、「彼らが妥協することを望む」とも述べた。
ジョンソン氏は先月、首相に就任。議会の大多数が合意なきブレグジットに反対しているにもかかわらず、合意があってもなくても離脱すると主張している。一方、EU側の交渉者らは再交渉を拒否している。

🇨🇳香港デモに対する情報操作の疑い

香港デモについても激化の一途を辿っている。

米ツイッターとフェイスブックは19日、中国が香港の抗議活動を弱体化させるため、偽のアカウントを使ったとして批判した。

両社は、国家が支援する中国本土からの情報操作をできないようにしたと明らかにした。
ツイッターは936件のアカウントを停止したと発表。情報操作は中国からのもので、国家に支援された協調的なものだったとの見方を示した。これらは最も活発に利用されるアカウントの一部に過ぎないとして、約20万アカウントのネットワークを活発化する前に積極的に停止したとも説明した。

ツイッターが示した投稿には、立法会(議会)庁舎に突入したデモ隊の写真とともに「立法会を破壊した者は気が狂っているのか、悪人から便益を受けているのか。完全に暴力的な行動で、香港に急進的な人間は要らない。出て行け」と書かれていた。

ツイッターから情報を受け、フェイスブックもアカウントやページなどを削除したと発表。内部調査で中国政府との関係がある個人へのリンクが検出されたことを明らかにした。
フェイスブックが示した投稿では、デモ参加者らを「香港のゴキブリ」と呼び、「顔を出すことを拒んだ」と主張した。
ツイッターはまた、今後は国有メディアからの広告は受け付けないことも明らかにした。

総括

チェックポイントは、
今月開催予定の米中通商協議、
9月のFOMC、
10月の英国EU離脱期限。

市場は今事柄に過敏に反応するため、ポジティブな内容でも株価が下落するということも考えられ、非常に予測が難しい。

まずは通商協議で、米農産物とファーウェイの扱いがどうなるか。
進展があればよいが、前回のように時間を切り上げて終わるような身のない協議に終われば、只でさえ貿易戦争が重しとなっている世界経済が更に悪化となる。

米農産物とファーウェイの結果というより、通商協議の進展が今後どうなっていく(であろう)か、がポイントだ。

雨はいつか止むものだが、止み方次第では不幸な結果になってしまう。
そうならないことを願うばかりです。

出展

米国株式市場=ダウ249ドル高、世界経済への悲観的見方和らぐ

米、禁輸猶予を3カ月延長 ファーウェイ「不公正な扱い続く」

英首相、独仏に妥協要求 EU離脱の再交渉巡り

中国が香港デモ巡り情報操作か、ツイッターとFBが批判