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データベース消費とインスタ映え

始めに

最近、東浩紀の『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』を読みました。
そこから今やオタクだけではなく日本全体的にこの本で書かれている傾向があるように感じ、今回も筆を取りましょう。

データベース社会とは

 私の考えを話していく前に、この本で書かれている「データベース消費」について大まかに説明しておきましょう。理解の違いがあるかもしれないのですが、そこは目をつぶっていただきたいです。
現代日本社会の特徴について考察されている本なので興味のある人は是非本を読んでみてください。
 
 オタク達はアニメやマンガなどの作品を消費して、時に感動しています。
しかし作品はシミュラークル、オリジナルと区別がつかない中間生産物、であり実体はキャラクターにしかないのです。
なのでオタク達はキャラクターを消費し時に萌えるのですが、これもシミュラークルであり実態は萌え要素の組み合わせなのです。
つまり作品を消費することとは、単純に作品を消費する事でも、背後にある世界観を消費する事でもなく、さらにはキャラクターを消費する事でもなく、オタク系文化全体のデータベース、ここでいう萌え要素、を消費する事へと繋がっています。
これをデータベース消費と呼んでいるのです。

 簡単にいうとオタク達はキャラクターに萌えているのではなく、実際はキャラクターを構成している萌え要素の組み合わせをみて萌えているのです。
つまり、萌えやすいもの、猫耳とか姉属性とか寡黙な女の子、などの要素をオタクが共有しているデータベースから取ってきて組み合わされば萌えてくれると言うわけです。

インスタ映え

 このデータベース消費の傾向はオタク達に限らずインスタ映えにも言えるのではないでしょうか。
つまり私の主張はこうです。インスタ映えしているコンテンツを消費しているのではなく、実態はインスタ映え要素の組み合わせを消費しているのではないかと思うのです。
要素としてカラフルや可愛いなどが挙げられるでしょう。それを組み合わせて売り出す。あのカラフルな綿菓子など典型的です。
皆がわかりきっている事なのだがインスタ映えを狙う人にとってコンテンツは重要でなくその要素がいかに含まれていていい感じに組み合わさっているかが問題なのです。
 
 最近の流れを見ているとインスタ映えが嫌われているような気もします。
このことに関する私なりの考えはインスタをしている人は、インスタ映え要素をインスタ映えのためのコンテンツ以外からも取ってきているからという理由が挙げられます。

 先に書いたオタクでも、嫌われることがあるが、それもオタクのデータベースがオタクと関係のないコンテンツに利用されている時でしょう。
例えば自衛隊のポスターに萌えキャラを使ったところ批判が多少ありました。これはオタクにではなく作者や企画者に批判がいきます。

 インスタ映えでは、インスタ映えと関係ないコンテンツをインスタ映えの要素と一致点が多いからといってインスタ映えに使います。それだけならまだ良いのですが、元のコンテンツを無視しきっている為に批判が起こるのです。これは写真を挙げた人に批判がいきます。
 例えとしては、美味しさを売りにしていたタピオカ屋さんに映えるからといってインスタ映え目的の人が集まり、飲み物としての価値を無視して写真を撮る。そして適当に一気飲みでもするか、ひどければ捨てる。タピオカは飲むものであり撮るだけのものです。

 オタクの例からはデータベースから生み出したコンテンツを他の用途へ使ってはならない事を、インスタ映えの例からは他のコンテンツを要素が似ているからと言ってインスタ映えだけに使ってはならないという事を示しています。

結論

これからデータベース消費がますます増加していくと予想します。
インスタ映えの失敗を教訓にデータベースに蓄積されている要素、その組み合わせによって作り出されるコンテンツの適切な利用方法を考えてこれからのブームを作っていってほしいものですね。

#インスタ映え #インスタ

集まったお金で本を買うか友人とご飯に行きます。 それが執筆の糧になります。 どうぞよしなに。