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宇野常寛氏が語る、「箕輪編集室」以降の出版①

※こちらの記事は、2017年12月4日に放送された宇野常寛さんのインターネット対談番組〈HANGOUT PLUS〉に箕輪厚介がゲスト出演した回の書き起こし(一部加筆修正有り)となっています。


宇野:評論家の宇野常寛です。この番組はですね、僕が今一番話したい各界のトップランナーを招いて2時間がっつり議論する、そんな番組です。本日のゲストは、いま出版業界で一番嫌われている人なんじゃないですかね。

箕輪:あ、そうなんだ(笑)。

宇野:いや、本当に。一番妬まれて一番嫌われている編集者なんじゃないかなって。

箕輪:聞いたことなかった。

宇野:いや、僕勝手にそう思ってるんですけど違うんですか?

箕輪:いや、そうかもしれない。あんま業界の友達がいないから気付いてないだけかもしれないですね。

宇野:僕も具体的に聞いたことないから、たぶんそうじゃないかなって想像している人です。本日のゲストはですね、株式会社幻冬舎の編集者、箕輪厚介さんです。

箕輪:よろしくお願いします。

宇野:箕輪さんのことを知らない人はほぼいないと思うんですけど、この番組見てる人は。簡単に自己紹介的なところをお願いできますかね?

箕輪:はい。今幻冬舎の書籍の編集者で、メインでやっているのはNewsPicksBookっていうのをリーダーとして編集やってます。そのほかに、箕輪編集室っていうオンラインサロンをやってて今250人ぐらい(メンバーが)いるのかな。

あと、ホリエモンのサロンの編集学部の教授やったりして。わかりやすいところでいうと、ホリエモンの『多動力』とかああいう系の本を作ってます。よろしくお願いします。

宇野:なんか大人しくないですか、箕輪さん。

箕輪:僕酒ないとこんな感じですよ(笑)

宇野:まじ! なんか入れちゃいます?

箕輪:いいんですか?

宇野:いいですよ。うちの冷蔵庫にあるものですけど。

箕輪:じゃあお酒ください(笑)。

宇野:箕輪厚介とは思えない穏当な始まり方で、逆に僕が動揺しちゃう感じなんですけど。

箕輪:あ、氷結がある! さっき目黒の銭湯行ったらですね、体ポカポカになっちゃって、もうポカポカモードだったんです。

宇野:ポカポカモードでいきましょうよ、今日はね。じゃあ改めてよろしくお願いします。僕はレッドブルで(乾杯)。

箕輪:お願いします。いや、(お酒入って)安心した。

宇野:箕輪さん2017年はもう無双状態じゃないですか。Amazonランキングとか箕輪無双状態でしょ。

箕輪:まぁ、Amazonはそうですね。

宇野:もうちょっとね、詳しくNewsPicksBookとか箕輪編集室のコンセプトについて教えていただきたいのですが。

箕輪:はい。まず、NewsPicksBookはNewsPicksアカデミアという月額5千円のサービスで、NewsPicksBookが月一届く。あと、イベントに参加できて、NewsPicksの有料記事が読み放題っていうものです。それで、月に一冊僕がNewsPicksBookを作ってる。

箕輪編集室は、僕のやってる本とか活動とかを自発的にみんなで盛り上げてくれるサロンで、今も(観覧スペースに)スタッフいるんですけど、これは『箕輪大陸』っていう映画を作ってて。彼らが、僕の本を鬼のようにプロモーションしてくれるんで、いわゆる毎回バズみたいなことが起きるって感じですね。

宇野:その新しい仕組みを作ってね、いろんな出版の編集者を「ぐぬぬ...」って言わせているのが箕輪さんなんですよ。一言で言うと。

箕輪:ありがとうございます。

宇野:だから今日はね、そのいろんな出版社を「ぐぬぬ...」って言わせる秘訣をね、深掘りしていきたいなと思っています。

早速ね、箕輪さんを質問攻めしたいんですけど、箕輪さんいつ辞めるんですか?

箕輪:幻冬舎? あ、辞めないですね、多分。

宇野:でも、社内ベンチャーみたいなことやるでしょ。

箕輪:それはもう散々やってるし、年明けも会社作るんじゃないかな。幻冬舎ともう一個(別の会社)で。ただ、幻冬舎の社員を辞めるってことはないですね。

宇野:辞めるでしょ。

箕輪:これ相当言われるんですけど…。

宇野:いや、僕辞めるしかないと思う。

箕輪:いや、僕本当に思うのが。コンサルやって1時間何十万貰えるし、タイムバンクも1時間50万ぐらい。でも、今日も始発で会社行って入稿してたりして、幻冬舎の仕事って時給でいうとぞっとするぐらい低いし、なんだろうって思うんだけど、冷静に考えると僕は毎月今をときめく人たちの本をど真ん中で作って、僕自身も勉強できて。その世の中に対するインパクトって半端ないわけですよ。

それによって、得られた僕の信用とか僕の本で影響を受けてくれた人たちの熱みたいなものが、コンサルだとかサロンとかにいってそこで回収できてる。なんなら僕は幻冬舎は給料ゼロでも、極端な話、金払ってでも今価値を稼げてる場所だなって本当に思ってます。

宇野:でも、それってなんかさ、自走できるようになったらもういらないってことじゃん。

箕輪:自走できるようになったら当然いらないですけど。

宇野:幻冬舎という固有名詞と箕輪厚介の固有名詞の力関係がどこかで逆転するときがくると思うのね、このままいったら。

箕輪:そうなのかな。僕、意外と出版社の流通を自由に使えるところがやっぱ強いと思っていて。要は、僕が一瞬で「あ、いいよ。本出しましょうよ」って言えるのが。

宇野:そうね。今は強いね。

箕輪:今本当強い。時代と共に変わると思うんですけど。それこそすごい優秀な人が独立しても、結局出入り業者みたいな感じで、むしろ「その企画売れるんですか?」って感じで見られるのを見てるから、今のポジションってめっちゃ美味しいなって。

「宇野さん本出しましょうよ!」って企画として決められるっていう強さ。例え僕がフリーで、幻冬舎にどんなに可愛がられても温厚に退社しても、「宇野さん本作りましょうよ! ちょっと幻冬舎の人に聞いてみます」ってこの一言があるかないかって結構強いと思うんですよね。

僕に決定権があるってのはやっぱり社員だからだなって思ってます。

宇野:どこからいこうかな(笑)。それって、今世の中のほとんどの人間が本っていうものに権威を感じていて、本を作るっていうのはものすごい高尚で、ちゃんとした仕事だっていう前提がまだ共有されているから、その状態があるわけであって。

箕輪厚介という編集者は早晩それが無くなると実は分かっているから、ああいう行動をしているのは誰の目にも明らかであって。だから、質問を変えると、幻冬舎を辞めないかもしれないけど、本を作るのを辞めるかもしれないよね。

箕輪:あ、僕本はもともと全然好きじゃないんで、辞めてもいいんですけど今一番の僕の能力...

宇野:そうね。今はそうかもしれないね。この時点でね。

箕輪:そうです。そこには別に何もこだわってないです。

宇野:だから、幻冬舎辞めるって言い方もいいし、まあ編集者を辞めるんだろうなって僕は思ってる。

箕輪:あ、それはそうかもしれないです。それがベストですね。でも、僕は、すげーダサいですけどミーハーみたいで、学生の時は秋元(康)さんとか鈴木おさむさんとか何屋さんかわからないけど、企画している、アウトプットの形がいっぱいある人に憧れてて。

この人たちにどうやったらなれるのかなって思ってたんですよ。だから放送作家になりたいなって。描いてきたわけじゃないけど、気付いたら今もう何屋さんかわからなくなってるから、ここが今一番学生のときやりたいなって思ってた場所ではありますね。


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編集者 箕輪厚介を中心に、魅力的なコンテンツをプロデュースし、世に放つクリエイティブ実行集団こと「箕輪編集室」の定例会ゲストに、ついに評論家・宇野常寛さんがご登場!

紙の書籍・雑誌など旧メディアの生き残り方から、広義のメディアの未来まで、時代を読み解く二人の編集者が熱い議論を交わします。また既にネットで話題を呼んでいる、落合陽一さんの新刊『日本再興戦略』秘話についてもいち早く語ります。
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