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『シン・仮面ライダー』などを踏まえた物語の繋がり,2024年2月22日

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注意

これらの重要な展開を明かします。特に、PG12指定の映画『シン・仮面ライダー』や『仮面ライダー THE NEXT』の描写や、料理漫画『美味しんぼ』についても扱います。

特撮映画

『シン・ゴジラ』
『シン・ウルトラマン』
『シン・仮面ライダー』
『仮面ライダー THE NEXT』

テレビドラマ
『SPEC』
『どうする家康』

漫画
『真の安らぎはこの世になく シン・仮面ライダー』
『ニチアサ好きのオタクが悪役生徒に転生した結果、破滅フラグが崩壊していく件について』
『美味しんぼ』
『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』

特撮テレビドラマ

『ウルトラマンタイガ』

小説

『盗まれた昨日』(小林泰三)
『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』(web,書籍)
『ニチアサ好きのオタクが悪役生徒に転生した結果、破滅フラグが崩壊していく件について』

はじめに

 現在『ニチアサ好きのオタクが悪役生徒に転生した結果、破滅フラグが崩壊していく件について』(以下『ニチアサオタク悪役転生』)のカクヨム原作を読んでいますが、それに影響を与えている「ニチアサ」、特に仮面ライダーシリーズを少し調べています。

 元々『シン・ウルトラマン』繋がりで観た『シン・仮面ライダー』との繋がりもいずれ記す予定ですが、今回は『シン・仮面ライダー』について、おぼろげに考えていたことを幾つかまとめます。

『シン・仮面ライダー』の「少数の幸福」の問題点

 

2024年2月22日閲覧

 『シン・仮面ライダー』の敵は、AIによる組織が「最大多数の最大幸福」を選択せず、「もっとも絶望した少数の幸福」のために、周りと対立する人間の目的をかなえるために、オーグメントという怪人に変えて様々な暴力を引き起こします。
 特徴的なのは、「少数の尊重」という一見良さそうな目的が、他の少数の人間すら脅かす、それを途中から自覚する人間もいることです。
 漫画版も踏まえます。
 ゲイであることを隠して苦しみ、「人間嫌い」から絞め殺す殺人を楽しむようになったクモオーグ、研究不正を押し付けられた生物学者が変化したらしく、ヴィルースの疫病で弱者を淘汰しようとしたコウモリオーグ、親からの虐待により多重人格らしい状態になった「サソリ」が変化したらしい、人間を毒針で刺し殺すのを楽しむサソリオーグ、ショッカーに生み出された人間として独裁を幼いころから目指し、人間全てを操ろうとしたハチオーグ、「裏切りは人殺しより悪、敵討ちは人助けより善」という主張でクモオーグの仇を取ろうとするK.Kオーグ、人間全ての「魂」に当たるプラーナというエネルギーを、「嘘のつけない世界」に連れて行こうとするチョウオーグなどです。
 こうして書くだけで、クモオーグやサソリオーグと、コウモリオーグやハチオーグ、チョウオーグは対立してもおかしくなく、仮面ライダー=バッタオーグの本郷が順番に倒さなくても、協力し合うことは難しかったはずです。
 少なくとも劇中の「少数の幸福」が周りへの配慮をしなければ、他の少数すら不幸にすることが分かります。
 K.Kオーグは「ごめんな」、チョウオーグは「止めないのか?」と代表するAIのケイに話しています。
 『シン・ゴジラ』で、日本のゴジラ災害により円安になり、それで投資家が得をすることもあるのを、「多種多様」と表現する人間がいました。そこに繋がりがあるかもしれません。

『美味しんぼ』の「少数意見」が他の「少数意見」も否定してしまう危険

 PG12指定の暴力描写のある『シン・仮面ライダー』のあとにこの関連は不謹慎かもしれませんが、料理漫画『美味しんぼ』では、「少数の意見」が他の少数意見すら脅かしかねないところがあります。
 『美味しんぼ』ではあまり知られていない料理や食材の知識を披露するのですが、そのときに、「この料理に比べれば一般のこの料理は・・・」という批判が時折、行き過ぎて「食欲をなくす」、「失礼」に感じるときがあります。
 たとえば、「沖縄の島豆腐の濃さに比べれば、本土の豆腐は生ゴミに感じる」と言ったり、インドでカレーなどを手づかみで食べるのを、「だからこそ触覚で感じる美味さがある」と言うのはともかく、「比べてみると、フォークやスプーンなんて電気工事の道具だよな」と言ったりしています。
 沖縄に関係ない、それこそ『美味しんぼ』の序盤で紹介された本土の豆腐や、主人公がのちに開発した「究極の豆腐」すら、沖縄の基準で「生ゴミ同然」なのか、という反論の余地があり、少数の意見が、他のときの少数意見による、「美味い豆腐」すら否定する危険があります。手づかみを肯定するあまりに、他の、たとえば西洋料理のフォークやスプーンで食べるのが当然の例まで「電気工事のようだ」と否定するのか、と言えます。
 たとえが非常に悪いかもしれませんが、『シン・仮面ライダー』の「少数の幸福」による暴力が他の「少数の幸福」すら否定するようなものかもしれません。

『シン・仮面ライダー』の「少数」の「強者」

『シン・仮面ライダー』のオーグメントについてさらに考えるのは、「少数」ではあっても強者であることです。
 通常「マイノリティ」と言えば社会的弱者を表すはずですし、クモオーグもゲイである以上その傾向はあったはずですが、つまるところ身体能力などで「強者」になっています。
 絶対的な「強者」、「弱者」より、「ある意味強いところとある意味弱いところ」を探すべきだと私は考えていますが、オーグメントもそうでしょう。
 だからこそ、本郷を協力者に選びショッカーを止めようとした緑川弘は、「力なき人のためにこの力を使ってほしい」と言ったのでしょう。
 ドラマ『SPEC』で、スペックという超能力を使う人間も、「我々はマイノリティだ」と言うことはありますが、スペックの代わりにハンディキャップを背負うような設定は特になく、マイノリティではあっても強者であり、それを警戒するのはやむを得ないところもあります。『ウルトラマンタイガ』の宇宙人もそうですが。
 「少数者」と「弱者」が必ずしも一致しないときがあることは、考えるべきでしょう。

『シン・仮面ライダー』の一文字の父親

 『シン・仮面ライダー』漫画版で、のちに第2バッタオーグとなる一文字隼人の父親らしい記者が、隼人を従えていたチョウオーグになるイチローに出会っています。
 イチローは父親の緑川弘のショッカーでの活動に幻滅していたようですが、この一文字の父親に、何かを求めているのかもしれません。
 映画でイチローが妹のルリ子の協力者の本郷に、妹との関係を尋ねたのも、「家族になるべき人間」しか認めない感情があるのかもしれません。

『シン・仮面ライダー』の場面の切り替わり

『シン・仮面ライダー』では、特撮の「変身」などにある、場面が切り替わる間にどう変化するかが省略される場面が少なく、「変身」があくまで実体のあるマスクの装着などで示されるので、現実味を重視していると取れます。
 『仮面ライダー THE NEXT』では、人間が跳躍する間にいつの間にか変身している、変身の過程のマスクの装着の場面はあってもそれをどこから持ち込んだか分からない、顎の部分がいつの間にか外れているなどの描写があります。
 『シン・仮面ライダー』では、そういった省略は少ないのですが、本郷が爆発にあい脱出する瞬間に突然ヘルメットをしている、イチローが変身するときにいつの間にかマスクを持っている描写がありました。一文字にはそのような省略がなさそうでしたが。
 これの意図が気になります。

正当防衛と過剰防衛と仮面ライダーシリーズ

2024年2月22日閲覧

『シン・仮面ライダー』では、「優し過ぎる」と評価される本郷の仮面ライダーの攻撃が、殺さなければ身を守れないか相手の殺人を止められないときばかりで、法的に正当防衛にとどまっていると私は考えています。
 クモオーグのときは空中戦にしなければ勝てなかったので蹴るしかなかった、コウモリーグのときは相手から空に逃げた、ハチオーグは殺さないように加減した、チョウオーグのときは双方力尽きただけで故意に殺してはいないようになっています。仮面ライダー第2号の一文字がK.Kオーグの武器を破壊した上でとどめを刺したらしいのは微妙ですが。
 『空想法律読本』で、仮面ライダーの敵の怪人に人権を認めるならば、弱ったところにとどめを刺すと過剰防衛になるとあったように、正当防衛はヒーロー作品で難しいのを『シン・仮面ライダー』では目指しています。
 また、最近気付いたのが、『仮面ライダーTHE NEXT』でも、少なくともチェーンソーリザードやシザースジャガーを仮面ライダー(ホッパー)達が殺したのは、その直前まで刃物を振り回す力が残っていたので正当防衛になり得ることです。
 正当防衛の概念は、仮面ライダーシリーズで前から考慮されていたのかもしれません。

『どうする家康』の独裁と「雲がかかっていた」

 

2024年2月22日閲覧

 ここで、かなり変わりますが、『どうする家康』の秀吉について解説します。
 大河ドラマで豊臣秀吉は、天下人になると残虐になる、あるいは前から狡猾だったように描かれることがあります。
 『どうする家康』では、家康が主人公なので秀吉は悪く描かれやすいのですが、秀吉の権力の源だった信長に追放された、「かつての天下人」だったと言える足利義昭が、天下人として独裁をする秀吉を説得していました。
 「山のいただきにいたように全てが見えていると思っていたが、雲がかかって見えていなかったと気付いた。周りも良いことしか言わないから」というものでした。
 ある独裁政権では、犯罪がないという建前で、法学部の優秀な人間が弁護士になれず、検察が圧倒的な力を持っていたと、佐藤優さんは書いています。
 「北」というある独裁政権が実験の失敗を隠して成功とばかり言うことで、正体不明の暴走を招いたらしい『盗まれた昨日』という物語もあります。
 『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』(以下『ギフト無限ガチャ』)では、弱い種族のヒューマンの立場を守るために、例外的に強くなったヒューマンのライトが、カードで召喚した自分に従う「仲間」のエリーなどに、奴隷から解放したヒューマンを保護させています。
 ライトは貧しい農民の次男から出世して権力者になった、妹がいるなど、日本史では秀吉に似ています。
 ライトの部下のエリーの街では、先述した独裁の特徴として犯罪のない建前があり、犯罪者は追放されて「いなかったこと」にされるようです。
 ライト自身は謙虚なところもあり、自分の政治に疑問や反対の余地を認めているのですが、エリーなどは忠誠心のあまりに、犯罪などの問題を報告していない可能性があります。少なくともこの小説のライトの一人称の語りに、エリーの街での犯罪の描写がありません。
 それは「雲がかかっていて、周りが良いことしか言わない」という説明にも通じそうです。
 

グノーシス主義と「限界を知らない」独裁

2024年2月22日閲覧

2024年2月22日閲覧

 また、グノーシス主義との関連もみられます。
 キリスト教で異端とされたらしい思想として、「霊性の世界の神々の中で最下層の女神のソフィアが、産み落としたヤルダバオトあるいはデミウルゴスの神を、隠すために布でくるみ、その内部しか知らない子供が、自分を全知全能の神だと思い込み、物質のこの世界を作り出した」というものだそうです。
 「雲がかかっていて見えないにもかかわらず、全てが見えている気になっていた」義昭にも、ある意味キリスト教との関連とは別に、グノーシス主義に繋がるものがあるかもしれません。
 グノーシス主義は、独裁への戒めでもあるのかもしれません。
 あるいは、『ギフト無限ガチャ』で、ライトを「神」と崇めるエリーも、布でくるまれる、雲がかかっているように、ライトの短所が見えていないのかもしれません。

 『シン・仮面ライダー』のハチオーグも、子供のようなところがあり、漫画版で、保育園の頃の、「独裁を目指さないルリ子の作ったおもちゃを周りが誉めてくれた」ことへのいら立ち、映画での「あなたのおもちゃを壊してあげる」という言動から、自分の限界が見えていない「子供」、グノーシス主義のヤルダバオトに通じるのかもしれません。
 自分の限界が見えていないことで思い上がるのは、『仮面ライダーTHE NEXT』の風見にも通じ、彼がそれを知ることで「大人になった」ところもありそうです。
 また、『シン・ウルトラマン』の人類は、ウルトラマンの「光の星」に生み出された生物兵器である可能性があり、それが知られて悪用されそうになったので、「光の星」のゾーフィは人類を滅ぼそうとした可能性があります。それもソフィアがヤルダバオトを産み落とし、隠したことで全知全能だと思い込むようにさせたように、ゾーフィ達が人類を生み出しながら隠したことで、「自分達が唯一無二だと思う種族」にしてしまった可能性があります。

まとめ

 今回は『シン・仮面ライダー』を軸にまとまったようです。


参考にした物語

特撮映画

庵野秀明(総監督・脚本),2016,『シン・ゴジラ』,東宝(提供)
樋口真嗣(監督),庵野秀明(脚本),2022,『シン・ウルトラマン』,東宝
石ノ森章太郎(原作),庵野秀明(監督・脚本),2023,『シン・仮面ライダー』,東映
田﨑竜太(監督),井上敏樹(脚本),2007,『仮面ライダー THE NEXT』,東映

漫画

山田胡瓜,藤村緋二,石ノ森章太郎,庵野秀明,八手三郎,2023-,『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』,集英社
烏丸英(原作),どんぐりす(作画),2023-(未完),『ニチアサ好きのオタクが悪役生徒に転生した結果、破滅フラグが崩壊していく件について』,小学館

雁屋哲(作),花咲アキラ(画),1985-(発行期間,未完),『美味しんぼ』,小学館(出版社)
作画/大前貴史,原作/明鏡シスイ,キャラクター原案/tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,講談社

テレビドラマ

植田博樹ほか(プロデュース),西荻弓絵(脚本),2010,『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』,TBS系列(放映局)
加藤拓(演出),古沢良太(脚本),2023,『どうする家康』,NHK系列

特撮テレビドラマ

市野龍一ほか(監督),林壮太郎ほか(脚本),2019,『ウルトラマンタイガ』,テレビ東京系列(放映局)

小説

小林泰三,2008,『天体の回転について』,ハヤカワSFシリーズ(『盗まれた昨日』)

明鏡シスイ,『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,小説家になろう(掲載サイト)
https://ncode.syosetu.com/n9584gd/
2024年2月22日閲覧

烏丸英,2023-(未完),『ニチアサ好きのオタクが悪役生徒に転生した結果、破滅フラグが崩壊していく件について』,カクヨム

https://kakuyomu.jp/works/16817330651963156715

2024年2月22日閲覧

明鏡シスイ,tef,2021-(未完),『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』,ホビージャパン

参考文献

大瀧啓裕,2000,『エヴァンゲリオンの夢 使徒進化論の幻影』,東京創元社
大貫隆,2014,『グノーシスの神話』,講談社学術文庫
大貫隆,2008,『グノーシス「妬み」の政治学』,岩波書店
藤巻一保,2009,『世界の天使と悪魔 図解雑学 絵と文章でわかりやすい!』,ナツメ社
林道義,1980,2007,『ユング 人と思想59』,清水書院
真野隆也,1995,『天使』,新紀元社
佐藤優,2014,『いま生きる「資本論」』,新潮社
盛田栄一,2004,『空想法律読本1』,メディアファクトリー
盛田栄一,2003,『空想法律読本2』,メディアファクトリー

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