カジノ法案について考える。

 カジノ法案が衆議院を通過した。ギャンブルは、人間の結構、根源の欲望に根ざしているから、単純なことではない。すでに、日本には巨大なカジノが存在していて、それは、兜町の株式会社東京証券取引所である。投資は、もちろん健全な投資もあるが、社長の頭に血が登って、本業の売上を仕手株にぶっこんで大惨敗というような話は、過去の新聞を読めばいろいろ出てくる。一個5円の利益を大量に販売して儲ける部品メーカーの社長からすれば、1回の投資で何億の利益が出れば、そちらに走るのも分からなくはないが。そういう社長に限って、自分は株式の天才だと思ってしまうから、つける薬はない。ギャンブラーに天才はいない。いるとすれば、イカサマ師だけ。

 そもそも近代ビジネスのスタートはギャンブルである。ヨッロッパからインドに香辛料の買い付けするための造船費用の出資を求め、無事に帰ってきたら大儲け、途中でシケにあい沈没したらぜんぶチャラという、ハイリスク・ハイリターンが近代資本主義のはじまりだろう。しかし、その結果、航海術が進歩し、グローバル経済もスタートした。

 株式投資は、ある程度余裕のある層や、大企業のサラリーマンやOLたちが好む。一般庶民は、パチンコや競馬・競艇・競輪などだろう。あとは私的な掛け麻雀やゴルフ。公営ギャンブルは、胴元である地方自治体ががっぽり持っていってしまう。なので、公営ギャンブルを実施している地方自治体は、割りと豊か。ギャンブル好きから金をまきあげて、公共事業に使うというのも、妙な話だ。

 カジノが日本各地に出来ると、ギャンブル依存症が増えるというが、増えはしないだろう。すでに、そういう人たちはギャンブルにはまっている。平和島の競艇場に行くとわかるが、ほとんどの客が高齢男性である。おそらく年金生活者である男性である。バスに乗ると、ちょっと異常な空気感である。昨年亡くなった親父もそうだが、定年になって体は動けるけど、仕事したくても仕事がないとなると、競馬や競艇ぐらいしか、頭と体を使うことが見つからなくなるのだろう。

 ギャンブル依存症をなくすには、カジノを作らないことではなく、ギャンブルに行かなくても充実した時間を過ごせる、別の何かを社会が作り出すことだと思う。いきがい、という奴である。震災の被災地で、パチンコ屋が大繁盛になったのも、他にやるべきことが見つからなかったからだろう。行政がやるべきことは、カジノを作ることではなく、カジノがなくても日常をおくれる「イキガイ」を創出することだろう。

 今回のカジノ法案はリゾート開発と一体となったIR法案である。なんだか、80年代後半のバブルの時代に着想したことが、そのまま、こりもせず諦めなかった役人と政治家がいるということか。

 世界有数のカジノ都市マカオは、旧ポルトガル領で、戦後初期、日本の笹川良一の下で公営ギャンブルのノウハウを学んだ英国系中国人のスタンレーフォーが支配していた。フォーはポルトガル政府と交渉して、マカオの賭博場のチップを発行する権利を得た。造幣局みたいなものである。上がりの半分はポルトガル政府に上納することで、その庇護の下、マカオを支配した。日本の公営ギャンブルと構造は同じだ。その息子が、日本のカジノリゾートのコンサルとして動いているということだ。

 世界のカジノは、観光客が対象であり、外貨獲得が目的である。韓国のカジノに行ったことがあるが、案内してくれた韓国人は入り口のところで「韓国人は中に入れませんので」と言って、一緒に遊びにいかなかった。韓国のカジノは、自国の人間は立ち入り禁止のようだ。カジノの守衛の部屋には、壁一面に顔写真がはってあり、「あれは何?」と聞いたら、イカサマ師の国際氏名手配の写真だそうだ。カジノが出来ると、イカサマ師もやってくるのか。

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橘川幸夫

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橘川幸夫

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