見出し画像

大学はどうなるのか。達人大学へのご招待。

大学はどうなるのか。

 インターネットの登場によって、近代の枠組みがどんどん崩れていく。崩すことを遅らせる側に回るのか、崩すことを加速させる側に回るのかが、今や生き方の選択肢となっているのだろう。

 現在の大学の構造は、明治時代の開国により、世界の先進的思想や技術を日本に導入し、それらを扱える人材を育成するために作られた。国立大学はよりレベルの高い人材を育成するために国費が投入され、私学はそれぞれの建学趣旨に合わせた多様な人材の育成を行ってきた。

 しかし、すでに、根本的に導入すべき諸外国の思想や技術はなくなり、それぞれの国が自らの地域的なエートスと独自の文化的経験を元に、独自の思想や技術を生み出さなければならなくなってきた時に、現在の大学にどれほどの意味と価値があるのか。インターネットの登場によって、特殊な文献や情報ソースを独占してきた学術の領域においても、本質的な変化が訪れているはずである。

 さて、現在の大学は偏差値でランクが決められている。なぜ、東大は明大より偏差値が高いのだろうか。科学的な根拠ではなく、「ブランド」という時代の気分のようなものだろう。例えば、僕たちは「早稲田大学」というと、早稲田大学というブランドが保証する教育環境に価値を見出すのであろう。それは、教授陣や教育環境や伝統や卒業後の就職率など、すべてが含まれている。そのブランド力によって、偏差値という具体的な数字がつけられているわけだ。僕たちは、その大学に入学してみなければ、どうな授業をどんな先生が教えてくれるのか分からない。ブランドを信用するしかなかったわけだ。

 Massive Open Online Course (ムーク) はアメリカで始まった、大学の講座をインターネット上で公開していこという試みである。日本でも、JMOOCの動きがはじまっている。これは一般的には、大学の講座を、大学以外の人たちにも共有する動きとしてとらえられている。

 しかし、そうではないと思う。この動きが始まれば、受験生は、これまで大学というブランドでしか想像出来なかった、大学の中身に直接触れることが出来る。それはやがて、何々大学に入りたいのではなく、何々先生の授業を受けてみたい、という意識に変わっていくはずだ。すでに問題意識の高い受験生の潜在意識の中に、そうした動きが始まっているはずである。

 インターネット革命の本質の一つに「中抜け」がある。近代のビジネスというものは、人と人との間に入って両者をつなぐことでマージンを稼ぐものであったとしたら、インターネットは、直接、人と人をつなぐ。そして、間にあってつなげていたものが逆に壁となり、それを排除する。

 教えたい人と教わりたい人が直接、つながることが出来れば、これまでの大学の伝統的なブランドというものに意味がなくなる。動画を見て、関心を持てる講座をやっている大学のブランド力が向上するだろう。

 さてさて、そういう風に考えてみると、現在の大学で「面白い」講座をやっているのは、圧倒的に非常勤講師である。大学の閉ざされた環境の中で研究を続け、学内の権力闘争に勝ち残った教授よりも、社会のさまざまな領域の現場で活躍し、引退したので、非常勤講師をやっている先生の方が、生きた情報を持っているのは当然だ。また、非常勤講師というのは、とんでもなく薄給だが、それでも、自分の経験してきたことを若い世代に伝えたいという情熱も、非常勤講師は持っている。

 しかし、僕も非常勤講師を務めたことがあるが、知り合いの教授に声かけられて、気軽にやることが多い。大学が何かサポートしてくれることはない。公募でも募集することがあるが、面倒な審査があるので、コネの方が手早い。

 インターネット以後の大学(その他のすべての学校、教育機関)において、非常勤講師の重要性は高まると思う。古い学問領域であれば、旧来の派閥の人脈で手当て出来るだろうが、最先端の領域、たとえば、「ソーシャルビジネス」「グローバルビジネス」「サブカルチャー」「ITコミュニケーション」などは、教えられる人は現場の一線にいて忙しいので教育人材の不足している。

 こうした認識の上で、僕たちは「達人大学」をスタートします。

◇各領域の達人を募集します。
◇自称達人には、講義を実施してもらいます。実施については、クラウドファンディングを活用します。
◇講義の成果によって、達人認定をし、登録されていただきます。
◇同時に、「非常勤講師入門講座」を開設準備中です。橘川の古くからの同志である、仁上幸治さんが、運営します。現役の非常勤講師の方の講座も準備中です。
◇全国の大学、教育機関、セミナー実施団体に、達人大学の達人を紹介していきます。

とりあえず、関心のある方は、橘川の「達人大学オリエーテーション」を行いますので、ご参加ください。

達人大学の案内、登録はこちら。

追伸

大学には教育とは別に学術の追求という役割があるとよく言われる。学術的成果をあげられる人が必ずしも教育者として優秀かどうかは別問題だと思う。学術的成果を追求する人は、別に教育者である必要もないと思うのだが。大学は、研究機関と、教育機関を分けるべきではないのか。教育は、ある意味、エンターテイメントの要素が必要であろう。

橘川幸夫の無料・毎日配信メルマガやってます。https://note.com/metakit/n/n2678a57161c4