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非組織労働の時代

政府は、非正規雇用の賃金を上げて、正社員の7~8割にするという施策を発表した。21世紀に突入してからの政府の政策は、どの政党であろうと、根本的に進むべき未来を見失っているように思えてならない。

非正規雇用の賃金をあげて、同一労働同一賃金を目指すというのは、公平な視点のように見える。しかし、そのために政府は、実施した企業に助成金を出すという。しかし、その助成金は税金である。

僕の違和感は、政府は、企業(特に大企業)の経済活動が順調であれば、社会全体が順調だという考え方だ。法人税減税についても、雇用促進についても、組織を守ることが前提になっている。しかし、そうした企業組織と社会の発展が同一基軸にあったのは、20世紀型の社会なのではないのか。インターネットの登場によって「組織」に属さない「非組織=個人」が活躍する社会環境が整ってきたというのに、施策はすべて組織型に対するものばかりだ。野党も、組織労働者の権利ばかりを主張している。

これからの時代の中心になるのは、大組織の下請けでも、アルバイトでもない、個人や小さなグループの独自の経済活動だと思うのだが、そういうところへの発想は、政府にはみじんもなさそうだ。非組織の個人には量としての投票行動も望めないからだろう。

シャープも東芝も、優秀な個人社員を抱えながら、愚かな経営者たちの勘違いのギャンブルで破綻する。自分の力で生み出した組織でもないのに、三代目の道楽社長が暴走するのだ。こうやって、戦後日本は崩壊していく。崩壊していくものは崩壊すればよい。でも、それでも新しい時代は、再び生まれてくるのだ。既存の組織に頼らないで、組織そのものを利用する自律的な個人や小さなグループの活動が、大事なのだと、僕は、ますます確信している。

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非正規雇用の賃金上げ、正社員の7~8割に 政府原案

一億総活躍プラン

2016/4/23 1:50日本経済新聞 電子版

 政府は非正規雇用の待遇改善などを柱とする「ニッポン一億総活躍プラン」の原案を固めた。非正規雇用の賃金を正規の7~8割程度まで早期に引き上げ、欧州並みにする目標を明記した。高齢者の活躍で経済全体の生産性を高めるため、今後5年間を65歳以上の継続雇用の延長と定年引き上げの集中期間と位置づけ、実施した企業には助成金を増やす。5月中旬にまとめ、同月末に閣議決定する。

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