裁量労働制の問題の空虚さについて。

 裁量労働制の問題は、経営側と労働者側の賃金についての綱引きのように見えるが、ベーシックインカムの条件や課題など、未来社会の「働く」という意味が見事に抜け落ちていて、議論に関心を持てない。

 企業組織側は、給与はコストだと思っているので、コストをなるべく削減させたい。労働者は、給与は、会社の利益の配分だと思っているので、なるべく多くぶんどりたい。しかし。そういう戦いは20世紀の出来事ではないのか。与党と野党の戦いも、古い映画を見ているみたいだ。

 何度も繰り返しているが、「20世紀は組織と組織との戦い。21世紀初頭は、組織と個人との戦い」になる。組織と個人との戦いにするためには、組織の発展を前提に考えた、利益の配分ではなく、閉鎖的な企業組織と、社会の一員としての自覚を持った個人との戦いとして考える必要がある。

 アナリストが1500万円の給料をもらっていて、これを400万円ぐらいの給与にしたい経営側は、その給与コストを削減することによって、より組織としての利益をあげたいわけだ。それなら、アナリストは、個人事業者になって、会社と契約すればよい。会社の社員として条件闘争をするから、会社の利益が第一になる。現在の会社員がすべて個人事業者になって、会社との業務契約になれば、会社のルールや社風に従うことなく、多様な契約企業を選択することが出来る。なんで、個人になろうとしないで、派遣会社の社員として多額のマージンをとられてまでも、「派遣会社の社員」になりたがるのだろう。インターネットは直接性の時代を作り出すものであるのに、派遣という代理人制度は、時代に逆行している。より手数料の低い、P2Pの仕事のマッチングシステムを作るべきだし、作業の保証は、保証会社がやればよい。

 現在の状況の中では夢物語のように見えるかもしれないが、僕達が進もうとする社会は、まちがいなく、そちらの方向だと思う。そのためには、教育からはじめて、さまざまな社会インフラを時間をかけて、整備する必要がある。エストニアの実験のように、すでに動きはじめている国もある。

 「20世紀は組織と組織との戦い。21世紀初頭は、組織と個人との戦い」であり、その先にある21世紀は、自立した個人が法人となってネットワークされた社会であろう。

 個人のネットワークは、ご近所づきあいと同じである。それも大事だが、本当のネットワークは、個人が社会的な存在としての法人となり、法人同士がつながっていく社会であろう。

追伸

こちらもごらんください。

追伸2

現在の法人制度は、組織を拡大するための制度だから、何もしなくても基本的なショバ代のような税金をとられるし、気楽に法人化すると、かえって大変になる。だから、独立をするのはアホだ、みたいな本が売れたりする。時代の本質的な流れが見えない、チャチいれるような手合いが多い。そうではないのだ。いつか上場して大金をつかむ、のような幻想を持つための法人ではなく、自分自身の生命を対象化し、社会化するための自己法人が必要になってくるのだ。それは、現行の法人制度とは別なものになるかもしれない。経理や法務などのアウトソーシングの流れが更に加速し、AIを個人コンサルとして使えるようになった段階で、自己法人の具体的な制度が見えてくるだろう。今は、その歴史的離陸のための、試験走行の時代。



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橘川幸夫

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橘川幸夫

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