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「先生」と呼ばれる職業

米国で自分の職業が嫌になる医者が多い理由

 これは重要な問題。人間関係がフラットになったので、医師は特別に尊敬されることなく、単なる職能になった。だから、訴訟リスクを抱えることになる。尊敬されてたからこそ保てた職業意識が成立しなくなったのだろう。かつてある医師から、医師というのは、ほめられた経験が少ない、ということを聞いた。職業について最初から先生だから、患者からも同僚からも、感謝されても、ほめられない。人間はほめられて成長する。医師とは孤独な仕事なんだと思った。「ほめられない」代わりに「(社会的に)尊敬される」ことで主体性が安定していたのだろう。最初から「社会的権力者」であった職業は、その与えられた権力が弱まっている。これは、教師をはじめ、弁護士、政治家、など、世の中で「先生」と呼ばれる職業すべての問題であり、歴史の大きなターニングポイントだろう。

 私たちは、国家や社会が用意した「尊敬」に従うのではなく、日常的な関係の中で、相互の信頼を重ねて、自然生成された「尊敬」を、結果として得られる人生を送らなければならないのだろう。


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