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国家が企業になってしまった時代●情報小料理屋 2016/06/01


(1)青島幸男現象

 サミット終了後に安倍さんの支持率があがった。自分の国が大変だからという恐怖感からか世界中がリーマンショック直前だという認識を示して顰蹙を買っているが、だからといって支持率が下がっても、選挙には勝つであろう。大勝しないまでも、国民はお灸をすえる程度で、政権交代まで負けはしないだろう。

 そもそも国民投票をすれば、原発に反対する国民が多数だろうし、TPPに反対する国民が多数だろう。安倍さんの個別政策には反対しているのに、なぜ自民党が圧勝するのか。それは民主党政権時代を見せられて、自民党以外に政治の経営能力がないということが分かってしまったからである。選挙が政策を問うものではなく、行政統治能力を問うものになってしまっているのだ。

 旧民主党の野党時代は、さまざまな領域で自民党を攻撃し成果をあげてきた。しかし、そうした正しい論理を展開する批判勢力に国民が政権をとらせたところ、混乱ばかりで、何も出来なかった。本来、日本政治で根本的に変革しなければならない官僚制度や行政改革に対して、何も触ることが出来ず、官僚のいうがままになった。新聞を読んでいて、大臣の準備もしてこなかった素人の議員が大臣になれと言われて不安を語ると、仙石氏は「日本の官僚は優秀だから、彼らに任せておけば大丈夫だから」と説得したという記事を読んで愕然とした。こうした連中に政治をまかせられないと思った。

 僕は、この現象を「青島幸男現象」と呼んでいる。青島さんは、タレント議員の走りであり、石原さんの前の都知事である。参議院議員の時代は、過激な政府批判で国民の喝采を浴び、選挙活動をしなくても当選できた。しかし、都知事になって権力を手中にしてから、公約にあった都市博覧会の中止をした以外は、なにひとつ自分の政策を打ち出すことが出来ずに一期で辞めてしまった。まわりの友人が「おまえ、権力者なんだから、自分が言ってたことを実行すればよいじゃないか」と言うと、色をなして「おまえなんかに権力者の大変さが分かるか」と言い返したという。

 現状の政治を批判する人は賢く純粋な人が多いのだと思う。青島さんも多才で有能な個人であった。純粋な人だったからこそ、現実に都知事になって、強大な組織の頂点にたったら、それを運営する責任感に身震いし、個人的意見など無力であるということを感じたのではないか。あとは、優秀な官僚のいうがままになってしまった。

(2)国家が企業になった日

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