ヒモ的ニッポン●情報小料理屋

「ヒモ」という職業がある。学生時代に「ヒモ生活」に憧れていた友人がいた。どういう根拠なのかはよく分からなかったが、男が主導する社会は戦争に向かっていく、みたいなことを言ってたような気がする。それで、ほんとにヒモになった。それも友人のかなり年上の彼女と駆け落ちして、行方不明になった。1年ぐらいしてからだったか、久しぶりに会ったら「いやあ、ヒモ生活って大変だよ」と言う。「彼女は水商売やって、あんたは小説を書いてればいいから、と面倒みてくれた。だけど、生活のことを考えなくていい、というのは、ジワジワとプレッシャーかかる。これなら、安いバイト代でも稼いで暮らしてた方が気が楽だ」と。結局、ヒモ生活は1年と持たずに、別れて帰ってきた。

人は、仕事をしないと生活が出来ない。生活とは無関係に、お金もあるのに夢中に仕事する人がいるが、そういうのは、趣味かゲームみたいなものだろう。仕事は必死に生きる生活のためにあるもので、それ以外の仕事は、別の作業だ。

サッポロビールという会社がある。恵比寿に広大の工場があり、恵比寿という駅名も、商品名のエビスビールを輸送するための駅だったからだ。その工場跡地が恵比寿ガーデンプレイスに生まれ変わった。工場が閉鎖される時、蒸留タンクに残っていたビールをふるまってくれたので、行ったことがある。サッポロ不動産開発というデベを作り、テナント家賃収入で好調である。しかし、ガーデンプレイスが出来た頃から、本業である、サッポロビールが好調とか、全く新しいコンセプトの新商品を出した、という話はあまり聞かない。

TBSも、赤坂サカスの不動産収入で安泰だろう。読売新聞も、朝日新聞も、銀座周辺の一等地の不動産収入が安定しているのだろう。本業のビジネス構造が、根幹から揺さぶられているのに、大家収入があるから、悲壮感がまるでない。

戦後の発展期に、業務を拡大した企業は、大量の社員を雇い、その社員を収容するためのオフィスビルを確保した。リストラで人員を減らせば、使わないオフィスが残り、それは賃貸にすれば、そのまま収益になる。しかし、会社は安定するが、仕事のモチベーションは衰退する。「仕事で生活するぞ」という意識が「仕事はそこそこでも会社は儲かってるから」という意識になるのは仕方ない。でも、そうやって、日本の産業は衰退していくのだ。

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橘川幸夫

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