絵本作家のぶみ氏の炎上問題と、近代的創作の方法論的危機について。


●絵本作家のぶみ氏の炎上

 絵本作家のぶみ氏が作詞した「あたしおかあさんだから」という歌がネットで炎上した。


 以下の説明が、事情を詳しく説明し分析している。

絵本は誰のためにある? のぶみ氏炎上を見て考えたこと

 のぶみ氏は、不登校児から立ち上がり、チーマーのボスになり、社会性にも目覚めた作家である。本人は、なぜこの歌が叩かれるのか意味が分からないと嘆いている。

のぶみwiki

 ああ、いよいよ来たか、と思った。この問題は、歴史の大きな転換期の一エピソードになるかもしれない。結構、大事な問題だと思う。

 僕は1972年にロッキングオンを創刊して以來、参加型メディアを開発し、参加型社会の未来をイメージしてきた。そのエネルギーは、旧来型の一方通行メディアに対する反発であり、旧来型のピラミッド構造の社会制度に対する反発であった。

 とりわけ、インテリたちのジャーナリズムに対しての違和感をずっとかかえていた。僕が創刊した「ポンプ」という参加型雑誌の呼びかけは「体験と実感に基づいた原稿をください」というものであった。客観的な正義や完成度なんかもとめないから、自分の内側にある言葉を投稿してくれ、と。

 旧来型のメディアの世界は、客観的な正義と作品としての完成度を求めているのに対して、リアルでライブな情報空間を作りたかった。

●創作の危機

 僕は1980年以後、ほとんど小説というものを読んでいない。創作という行為に感動できなくなったからだ。作家は、他人の体験や心に入り込み、綿密な取材と冷徹な眼光で、独自の世界を描き切る。そうした、ある種の芸にそれまでは感動したり影響を受けたりしたが、それがどのような完成度を持とうが、そういう方法論は終わるな、と感じたからだ。作家にリアリティを感じるのは処女作だけになってしまった。

 それは作家だけではない、世の中のあらゆるプロフェッショナルと呼ばれている人達が、何者かの「代理人」として動いていることに、違和を感じた。

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橘川幸夫

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