デザイナー佐野研二郎氏の諸問題について(2)デザイナー諸氏へ

 佐野研二郎氏の問題が止まらない。今年のネット界隈は、岡田斗司夫氏の女性問題から始まったが、どうもサノケン問題も、それと同じような個別事象の真相解明みたいな祭りになっている。調べる側が「黒の印象」で調べるわけだから、たくさん仕事した分、アラはいろいろ出てくるだろう。しかし、佐野さんたち、パクルにしても、あまりに芸のないパクリであることが情けない。

【驚愕】佐野研二郎にまた新たに見つかった6つのパクリ | netgeek 

 さて、こうした状況の中で、特にデザイナーの人たちは、もう一度、自分の仕事の意味と役割を考えることは、とても大切なことである。

 僕が「デザイナー」という職業に持つイメージは「職人」である。技術者ということだが、それは、まだデジタル技術が普及していなかった頃、デザイナーたちは、ロットリングで(もっと昔は烏口で)何もない白紙に、定規を使って直線を描き、フリーハンドで味のある楕円を描いていた。打ち出された写植文字を、一文字一文字に解体し、字間を調整しながら、規定された幅の中でペーセメ(ペーパーセメント)で文字をはっていた。インレタ(インスタンレタリング)の全面ドットのものを、一行ずつ切って、段落のケイの代わりに貼りこんでいた。そういう風景がデザインの現場であった。

 そういう時代の中で、コツコツと作業を積み重ね、やがて周辺から評価され、業界的にも評価され、スター・デザイナーになった人はいる。そういう人たちと、現在の「スター・デザイナー」の佐野研二郎氏と何が違うのか。やはり「デジタル文化」ということだと思う。

 90年代に、WIRED日本版の創刊に関わっていた山下卓が、うちにきて、DTPの使い方を模索していた。アドビのソフトが揃い始め、DTPはQuarkXPressの時代だった。PR誌の編集はしてきたが、デザインなどやったことのない山下だったが、DTPソフトを使うと、なんとなくカッコのついたデザインが出来上がった。その時に山下が言った言葉を覚えている。「橘川さん、もうデザインなんて修行しなくても、誰でも出来てしまいますよ」と。その時、僕は、「表面的には同じようなものが出来ても、そういうのはデザインとは言わないんだ」というようなことを言った。

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橘川幸夫

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橘川幸夫

S氏問題2015

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コメント19件

ああ、そうか、君が芸人なのか。僕は芸人さんを馬鹿にしてないし、だいたい、芸人たるもの、馬鹿にされても、芸で返さないとダメだと思うよ。
馬鹿にしていない?…、ということは「芸人デザイナー」は褒め言葉なのですね。すると佐野氏のことを「芸人デザイナー」というのは、今回の佐野氏を褒めているのですか?おどろきました、無教養なのでしりませんでした。私がしっている日本語では通じなそうなのでもうやめますね。もうしわけありませんでした。
職人デザイナーの対義語としての芸人デザイナーではないでしょうか?職人は表に出ることなく作品を通して自己表現し、芸人は人前で自分の身体を張って自己表現するという…。舞台で例えれば「黒子」と「役者」の関係でしょうか。舞台に出てきて顔出しで演技する黒子(件のデザイナー)への違和感を表現した言葉と思います。芸人の定義の問題ではないでしょうか。私はこう解釈しましたという意味でカキコさせていただきます。
はじめまして。あらかじめですが批判も他意もないです。ただ現職の1デザイナーの意見をいわせていただきます。
この件の前のコラムは共感しました。が…。
私は半分手版、半分デジタルの時代からこの仕事に就きました。デジタル/アナログの比較で論じるのは分かります。でも現在のデザイナーに「思考」や「職人性」が薄れた...と感じられる論調は共感できかねます。総体的なご感想は理解しますが、あまり論じると、それは他のデザイナーにも悪い風評を生みます。現在もまだ「思考」はあり、媒体物は制作されてます。その点に於いては、写植とアプリケーション云々はあまり関係ありません。
ただ、ネットが文献をみやすくさせ、資料も集められやすい便利な傾向が、今回のような弊害をもたらす危険性は感じています。
wataru9999さんも他意はなくすみませんが、以下のような考察は、これは少々ご配慮がないと思えます。
>>それでなくとも、デジタル時代になりデザインやデザイナーが陳腐化しているように感じるのですが(誰でもできるという点で。)
総体的な感じ方は否定いたしませんが、デジタルでも温かみを出す制作者は厳然と今も存在しています。
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