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復活「ポンプ」準備室


ポンプはね、最初は、全世代の投稿雑誌にしたかった。若者たちと両親世代と祖父母世代が、ひとつの雑誌の中でやりあったり、分かり合ったりするメディアを作ろうとした。

だけど、そうはならなかった。高校生と大学生の投稿パワーがすごかったからね。

それで、考え方は変えて、とりあえず「若者ポンプ」を作ろうと決めて、そういう雑誌にしていった。

若者ポンプにすると、若者は投稿しやすいが、他の世代は投稿しににくくなる。だけど、最初は、まず、投稿の練習をしてもらい、その流れを普及したかった。

そして、そのあとに「テーマ・ポンプ」と「世代・ポンプ」を作ろうと思った。

テーマ・ポンプとは、例えば「オートバイ・ポンプ」「料理・ポンプ」「写真・ポンプ」など。「世代ポンプ」は、「サラリーマン・ポンプ」「OLポンプ」「老人ポンプ」など。それらは、僕がやらなくても、誰かが真似してやってくれたらよいと思っていた。自覚的に真似しなくても、時代雰囲気が伝わればいけると思ってた。やがて、それぞれ孤立したポンプが、裏でつながるようになればよいなと思っていた。

僕は毎日、日本各地から集まった投稿を全部読んで、整理して、掲載するものを選んだ。3年間、その作業は、ほとんど、僕がやった。

僕が3年で編集長を辞めたのは、ポンプシステムの基本的な構造を作りたいと思ってはじめたので、それがひと通り分かったから。そのあとやったことは、実は、とても大切なことを追求したのだが、それは、今も追求している。

参加型メディアという言葉は、たぶん、僕が最初に言い出したのだと思うけど、言葉より先に、現実がそうなっていった。リクルートは、ポンプのコンセプトを吸収して、青春の食卓を出して、それは、今のクックパッドにつながった。80年代は、日本各地のタウン誌が投稿ページを大事に育てた。

現在、インターネットが出現したので、もはや、雑誌「ポンプ」の意味は薄まっている。しかし、キュレーターという名前では代替出来ない、「参加型メディアの編集者」という役割が必要なのだと思う。

昨年、ある人が現れて、僕が、最初にポンプでやろうとしたことと同じことを僕に提案してきた。インターネットによって、自己表現の場は充実したが、しかし、コミュニケーションの場は窮屈になっている。

ここらで、もういちど、70年代の意識に立ち返って、「全世代ポンプ」の追求をしてみようと思う。すぐには出来ないが、ゆっくりと、広がっていくメディアを、探っていきたい。全世代の協力者を求めます。

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