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吉本興業問題について(2)


「こちら」は、経産省のサイトにあった、吉本興行の事業構造である。

 これを見ると、まあすさまじい規模のイベントをやっている。年間1万だとか。行政や経済界と組んでのイベントや地域おこし事業なども盛んだ。省庁は、経産省、内閣府、法務省、外務省、国土交通省、消費者庁、観光庁など、オールジャパン体制である。もちろん番組制作から配信事業は主力。その他、教育事業から観光政策、店舗運営から海外展開、医療、通販までと凄まじい。更にSDGsからグラミン銀行まで、ダボハゼのような食いつき方である。

 広井王子の総合演出による「少女歌劇団」や、髙平哲郎の脚本・演出によるデジタルアート集団 「MomentFactory(モーメントファクトリー)」のプロジェクトも手掛けている。このリストにはのっていないが、吉本坂46のプロシェクトもある。

 テレビ業界の中だけで、タレント育てて回していくだけのビジネスモデルであれば、吉本は高収益の会社だっだたろう。この資料を見ていると、本当にすべての案件で、きっちり儲けられているのだろうか疑問に思う。また、これだけのイベントを仕切るには、それぞれ最高レベルのスキルをもったプロデューサーが必要になると思うが、そうした人材が多数、いるのだろうか。申し訳ないが、現在の社長のレベルを考えると、その下に、豪腕のプロデューサーがうごめいている感じはしない。

 昔、ロッキング・オンが吉本と組んで、「タテノリお笑いフェス」を幕張でやった。それはロックフェスみたいに、座席のない会場で、お笑いを見せるという野外フェスである。発想は面白かったが、1年で終了したところを見ると、採算的にはよくなかったのではないか。吉本の事業マップを見ていると、発想は面白いけど、ほんまに儲かってるのか、と思うような企画ばかりだ。

 行政のタイアップにしても、確かに、巨額の助成金が動くが、行政との仕事をした人は分かるが、行政の資金をもらったら儲けることは出来ない。各省庁の上にいる金融庁のチェックが厳しいし(それは税務署の調査の比ではない)、基本的に助成なので、吉本がやる事業をサポートする程度である。例えば、加計学園は行政から無償で土地とか建設資金を提供してもらって学校を作ったが、学校事業をやるのは加計学園だから、そこでの事業が赤字であれば、運営は続けられなくなる。運営が赤字になれば、運営助成金も減額される。

 また、吉本興行は、自前の小屋など、不動産を各地に取得している。フローの資金があるということで借入して取得したのだろう。これはリスクでしかない。

 同じような業態であるジャニーズ事務所は、実に見事に、自前の小屋を持っていない。行政とのタイアップもやっていない。ただ、アイドルを育て、メディアに供給するだけだ。吉本興行の事業戦略とは真逆である。

 吉本興行が上場廃止してから、おそらく現在の吉本興行の戦略がはじまったのだと思う。上場してれば、個別の事業収支や事業計画もチェックされるから、無茶な動きは出来ない。非上場になった故に、なんでもトライ出来るようになったのではないか。紳助が「大崎クビにしたら会社潰れるぜ」と言ったのは、この戦略が大崎さんの動きと一体化していることを意味しているのではないか。

▼参考
先日、吉本興行についての原稿を書いたら、結構、反応がよかったので、
追加の原稿です。

吉本興業問題について(1)

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