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東京オリンピックのエンブレム問題に関連して。


◇佐野研二郎さんのデザインによる東京オリンピックのエンブレムが盗作ではないかと言う騒ぎになっています。盗作かどうかを判断する知識も情報もないので、批判したり揶揄したりすることは控えたい。ただ、この問題も、現代的な課題の一つであることには違いない。

◇情報共有時代におけるコピペ文化とテンプレート社会のことである。人は自分だけで個性を産み出すものではなく、環境や体験や学習などで自分を作っていく。情報化社会以前であれば、それはまさに個人の努力と主体的な姿勢で、テーマを探し、情報を集め、検証吟味し、昇華して自分のものとする。しかし、現代においては、特に自分から探そうとしなくても、町を歩いているだけど、家庭で生活するだけで、情報が勝手に自分の内部に入ってくる。インターネットに触れることによって、勝手に蓄積される情報は無限大に拡大した。それもさまざまなテーマでの世界最先端の情報が入ってくる。

◇そうした環境の中で、個性とはなにか、オリジナルとは何か、ということを考えるのは、表現者にとっては大切なことである。出版業界のことで言えば、インターネットがなかった時代、何かについて書こうと思ったら、関係資料を集め、図書館に通い、現場や関係者に取材して、手間と時間をかけて情報を収集して、その情報をまとめることであった。大手出版社は、やがてアンカーシステムというのを開発し、情報収集することを専門とするデータマンという職業を開発し、著者となるアンカーマンは、現場のこともたいして知らずに、集まった情報を文章化することに長けた人間が選ばれた。現代においては、誰もが世界中のネットワーカーをデータマンとして活用し、どのようなテーマでも、アンカーマンとしてブログを書くことが出来る。

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