欅坂46のファーストアルバム「真っ白なものは汚したくなる」
欅坂46の、最初のアルバムだ。2017年の4月7日に、デビュー1周年記念ライブ(通称:バスラ)が行われて、「サイレントマジョリティー」から「不協和音」までの楽曲が歌われたが、そこから更に16曲の新曲で、合計40曲のアルバムである。まるで堰を切った鉄砲水のように、新しい楽曲が放水された。欅坂ファンの子たちは、しばらくどっぷりと浸かるのではないか。しかし、何一つ、手抜きをしていない音楽。
一番話題になるのは「沈黙した恋人よ」だろう。ひらがなけやきのユニットである「りまちゃんちっく」(潮紗理菜、加藤史帆、齊藤京子、佐々木久美、高本彩花)の曲で、ひらがなけやきのメンバーが初めて実力を発揮出来た曲ではないだろうか。ラジオではじめて紹介した小池美波も「歌いたぁい!」と叫んだように、アイドル歌謡の本道の曲だろう。作曲は杉山勝彦。潮の高音もよいが、斎藤京子のベース的な声が効いている。バイクに乗ったカップルを想像しながら、風とともに疾走するメロディは、何度もリプレイするだろう。
「君が指差すものを僕はみつけられない。」
「君が感じるものを僕は見過ごしている。」
しかし、やはり一番、聞かせたのは、平手友梨奈の「自分の棺」である。「沈黙した恋人よ」とは真逆の、昭和歌謡というか昭和アングラ的な楽曲で、「山手線」以來の平手にしか表現出来ないものである。あれ? 「山手線」がアルバムに入っていない。「渋谷からPARCOが消えた日」もそうだけど、平手のシングル曲は、テレビでは使いにくいだろうが、ライブでは、全体の流れに対して、ものすごくメリハリをきかせる曲である。秋元康のポジからネガ、仲間から個人までの大きな振り幅の中での、平手に要求している個人のポジションであろう。
「罪は信じたこと、罰は出会ったこと。ひとりきりで地獄へ落ちろ」
さて、しばらくこのアルバムを聞くことになるだろう。「Overture」は、バスラの観客12000人の声も収録されていて、僕もその声の一人であるのが気分よい(笑)
追伸
テレビでやってた「月曜日の朝、スカートを切られた」を観た。TAKAHIROの振付が入ると、曲が一気によくなる。不思議なものだ。詩も凄い。これは秋元康の作品だが、平手の存在があって書いた言葉のようにも思える。平手の側が詩も踊りも要求して作られたような、そんな存在感を、ますます彼女は身に着けてきたような気がする。
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