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上場企業の子会社となること、起業家についてつらつらと


先日スナップマートのえとみほさんこと、江藤美帆さんの記事を拝読した。

上場企業の子会社になるということ

2016年の7月に上場企業の子会社として事業を再スタートした身としてはすごく共感できる部分や、いろいろと思うところがあり、自分でもこの数ヶ月で起こった変化について振り返ってみようと思う。

※本稿はあくまでも個人的な意見についてであって、親会社など外部の意向とは全く関係がない。


ブログを書こうと思った経緯

端的に言うと、僕と同じように事業を売却するか悩んでいる人に対して、なんとなく僕が教えられることがあるかもと思ったからだ。

売却(Exit)のリリースがあった直後から、とにかく色々な人から連絡がきた。起業しようかと悩んでいる、この事業についてどう思うか、相談に乗ってほしいといったことから、とにかく話が聞きたい、会ってみたいと、アイドルにでもなったような気分だった。

中には「私もいま自分の事業を売却しようか、このまま続けるか悩んでいて…」みたいな質問を多くいただき、意外と自分が何かそういう人達に伝えられることもあるのかもしれないと思った。

余談だが、自分自身の中身はなんにも変わってないのに、周りの人からの扱いが大きく変わったと感じることも多く、メディアの力は偉大だと再認識した。


起業するのに準備が必要か

これについては未だに僕も答えを出せていない。

「こんな夢があって絶対叶えたくて、でも起業しようか悩んでいて…」の後には、大抵、起業の知識がない、まだ準備ができてない、今の環境に満足しているといった言葉が並べられる。

いつも疑問に思うのだが、、、起業するってそんなに準備が必要なのか。そんなに大きな夢を持っているのなら今すぐ挑戦すべきではないか。たぶん、僕たちが思っている以上に人生の中で挑戦ができる時間は短い。

僕が起業した理由は、このままでいいのだろうかという漠然とした不安と、親から扶養を外れないで欲しいと言われたためだった。(注 会社を設立して自分の役員報酬を低額に設定することで、個人の所得は抑えられ、扶養を外さないようにできる。)

起業した当時、大学3年生でいわゆる実務経験(社会人経験)がないだけでなく、会社のビジョンなんてものも存在しなかった。ファイナンスとか会計とか法律とか、右から左まで何もわからなかったし、今でもよくわかってない。いくつかVCにもピッチをしたが、周りの起業家みたいに資金調達はうまくできなかった。親が僕のために貯金してくれていた30万円を元手に、自己資本で会社を作った。資金の問題で会社が潰れそうになったことは無数にあるけど、なんだかんだ創業から1年を耐え、今では上場企業の子会社となり、社員も増えて少し会社っぽくなってきた。

準備万端で成功確率が高い方法もあるだろうけど、1発目の起業からそれを狙うのは難しいし、やりたいことがあるなら難しく考えずやってみたらいいんじゃないかと思う。


オーナー経営か雇われ経営か

経営はざっくり二分される。会社の発行株式の過半数を創業者が保持しているオーナー経営。もしくはそうではない雇われ経営である。

僕の場合、会社を創業して7ヶ月間をオーナー経営者として過ごし、株式売却後に雇われ経営者になった。


大資本の子会社になるメリット

僕の場合は、売却先の親会社に、優秀な人が多いということが売却の大きな決め手となった。

自分で会社をやっていた時は自分はまあまあ仕事ができる方だと思っていたのだけど、世の中そんなに甘くはなかった。なんだかんだ言っても、社会人経験がない学生が頑張って独学でできることは、だいたいの社会人ができる。

だから、優秀な人を採用しづらいベンチャーにとって、優秀な人にすぐ相談できる環境はありがたい。

資本(人、もの、金、信用)の調達が容易ということも大きなメリットだと思う。

資金面の後ろ盾ができたことはもちろん、僕の場合は、売却してすぐに本社で超優秀なエンジニアを2名借りることができ、開発のレベルが段違いに上がった。

いわゆる会社の看板(信用力)を借りられることもよかった。例えば、新規の営業先にも、これからは上場企業の子会社として営業ができる。また採用時にも親会社がいることで安心感が生まれる。銀行で口座を開設したり、オフィスを借りたりする時も全然違う。信用力は長年の積み重ねが重要なので、これを借りられるのはかなり良い。

子会社になるデメリット

反対に、雇われ経営者のデメリットだが、これは自分がオーナーではない、という一言に尽きるのではないか。

会社のルールに関して何かと親会社と統一する必要がある。最終的な大きな意思決定が自分一人だとできないこともある。もちろん、期待された成果を出せなければクビにされる可能性だってある。会社の文化だってどうしても親会社に影響されてしまうことがある。

もちろん、自分で創業した会社をIPOさせるほどの金銭的インセンティブもないことがほとんどだ。

総じて、自社の成長を第一に考えた際に、どこまでを一緒にして、どの部分を独立させた方がいいかなど、親会社としっかりとしたコミュニケーションをとることが大事になる。

幸いにも僕の場合は、株式譲渡後も広い範囲で権限を持たせてもらってるし、意見も非常に尊重してもらっている。良い親会社に巡り会えたと思う。


余談: 起業家が増えればいいと思う

アントレプレナー、イントレプレナーどちらでもいいのだけど、起業家が増えることって世の中にとって凄くいいんじゃないかと思ってる。

僕は起業したことで人生が変わった。事業を伸ばすことはとにかくワクワクする。大変なことももちろん一杯あるけど、乗り越えた先には一つ違う景色が待っている。自分の立ち上げた事業が大きくなっていくほど、社会への影響力も増す。関わる人が増えるほど背負うもの・守るものが増えて、もっと良いものを作らないと、もっと成長させないとって、そうやって退屈だった毎日が、日に日に鮮やかに感じられるようになった。




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