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火を守る者に関するリサーチ

伝統とは火を守ることであり、 灰を崇拝することではない。
グスタフ・マーラー / 作曲家


日本の伝統的な舞踊、神楽に登場する口をすぼめて曲げたおかしな顔をした男は「ひょっとこ」と呼ばれる。ひょっとこはその表情から道化、まぬけの役として登場するすることが多いが、ひょっとこの語源はかまどの火を守るために火を吹く役目であった「火男」であるとされている。火の粉で髪が燃えないように頭巾を被り、目に灰が入らないように目を細めて火を守るのだ。


通夜とは葬儀の前日に行われる儀式で、葬儀まで故人を一晩中守るという意味が込められている。通夜では一晩中寝ずに故人に寄り添う「夜伽(よとぎ)」という役目がある。夜伽は寝ずの番をするだけではなく、一晩中線香の火を守るという役割も担う。線香の煙はその場を清め、故人を悪霊から守るという効果があると信じられているからだ。


陰陽五行思想というのは、森羅万象の事物を陰と陽の2つに分類する陰陽思想と万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという五行思想が組み合わさったものである。陰陽五行思想によると馬は火に、猿は水に相当するとされている。そのため猿を馬の守り神と考えて正月に猿まわしに厩(うまや)の前で猿を舞わせたり、厩に猿を飼ったり、厩に猿の頭骨や骨を吊るしたりして、馬の無事を願う厩猿信仰が生まれたのだ。(桃太郎が猿・雉・犬を連れて牛のような角を生やし虎柄の腰巻きを履いた鬼を倒すというのも陰陽五行思想に基づく。)


アゼルバイジャンとはアゼルバイジャン語で「火を守る者」という意味がある。「燃える丘」という意味を持つヤナルダグは地中から噴出するガスが自然発火して2000年以上燃え続けているという。拝火教として知られるゾロアスター教の聖地でもあり、寺院では聖火が燃え続けている。


ポタワトミ族とは、北アメリカの五大湖周辺にかけて存在する先住民族である。ポタワトミ族はオジブワ族、オタワ族とともに、「3つの火の連合」と呼ばれる連合の一部である。ポタワトミとは暖炉の火を守るという意味のBoodewaadamiiに由来しており、ポタワトミ族は火を守る者と呼ばれている。また、ポタワトミ族では女性は水の守り人である。

儀式では、女性が聖水を運び、水のために行動する。「女性はもともと水とのつながりが強いんだよ、だって、水も、女性も、生命の担い手だもの」と妹は言う。

「女性は体の中の池で子供を育てるし、赤ん坊は水の流れに乗ってこの世に生まれてくるの。すべての生き物のために水を守るのは私たちの責任なのよ」いい母親であると言うことには、水を守ることも含まれるのだ。
植物と英智の守り人

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