霊歌

霊歌

目覚まし時計
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右の頬と左の手が涙で濡れて
名を呼んでも それだけでは息もしないの
現実と非現実との狭間で揺れて
なおそれでも 夢なしでは生きていけないの

その記憶の中で 左目を閉じて
暗闇の奥へ行かないで
薄い膜の中で 右の目も閉じて
もう会えない なんて言わないで

ねえ
今のことも過去のことも未来のことも
破り捨ててしまわないと胸が詰まるの
今日のことも明日のこともあの日の夢も
藪に捨ててしまう前に胸を貸してよ

その記号の中で ひらりと踊って
言葉の向こうへ行かないで
厚い服の中で 息の根を止めて
また会いたい なんて言わないで

ねえ
この心も、その言葉も、あの日の夢も
手も届かぬところへなど 行きはしないよ
夜の底で固く閉じた瞼に触れて
なおそれでも このままでは生きていけないのなら

過去の日のことは今だけ忘れて
私のこの言葉、今だけ
お願い、隣にいさせて
あなたの命になるよ

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